レズビアンふうふの「不貞」とは | 女々しい奴

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セクシュアリティ・ジェンダー・防災などなど,仙台に暮らす独り者バイの日々雑感。

「相手の貞操に対する権利の獲得」というのは,多くの現代日本人が婚姻に求めている主要ファクターの筆頭なのではないかと思うのだが,その割に昨今の同性婚論議ではほとんど語られていないのが気になるところだ。


同性婚法制化を求めて積極的に行動している同性カップルの多くが盛んにラブラブアピールしているので,ある意味当然なのかもしれない。


ラブラブ同性カップルが登場して「愛し合う私たちに婚姻の権利を!この人が病に倒れたら私が介護したいんです!」などと主張する感動ストーリーの中で「この人が浮気したら訴えて慰謝料巻き上げる権利が欲しいんです!婚姻しないと叶わないんですよソレ!」などという主張を盛り込むのは確かにちょっとやりにくそうだ。


しかし,婚姻制度を婚姻制度たらしめているとも言える,非常に重要なファクターであるこのテーマは,もっと積極的に論じられてしかるべきだと思う。




そもそも,もし同性婚法制化されたとして,同性婚した人の「不貞」っていったい何をもってジャッジされるのだろうか。

特に女同士の場合「友愛関係」と「性愛関係」を(当人たちの認識はともかく)外観からジャッジするのってものすごく難しい気がするのだが。


こういう話ってデリケートだし,同性婚法制化積極推進派の当事者たちにも避けられがちだけれど,でもこの問題こそ当事者コミュニティでとことん議論しておかなければいけないと思う。

だってそうしなきゃ,女同士の不貞とは何ぞや?って,「レズなんてAVでしか見たことない」みたいなノンケの裁判官にジャッジされちゃうかもしれないんだよ?

男女の問題ですら「トンデモ」な判決がゴロゴロあるのに,これが同性カップルとなればいったいどうなることか。


「女同士・男同士のカップルにとっての不貞行為とは何ぞや」というのは,異性愛者が決める話じゃないと思う。でも,同性愛コミュニティでしっかり議論しておかないと,異性愛者に勝手に決められてしまうハメになるかもしれない。

放っておくと「女同士の不貞ライン=貝合わせ」とか「男同士の不貞ライン=アナルセックス」とか「同性婚ゲイがヘテロ女性と旅行に行くのは不貞じゃないけど同性婚レズビアンがヘテロ男性と旅行に行くのは不貞」みたいなトンデモ判決がバンバン出てしまいそうで怖い。


しかも恐ろしいことに,現代日本では「配偶者が不貞行為をしたら配偶者当人のみならずその相手方にも損害賠償請求できる」ことになっている。法律に明文化された規定はないが,そういうことになっている。婚姻カップル当人同士の問題では済まず,第三者も容赦なく巻き込むのである。恐ろしい話である。



「不貞行為」についてワケわかんない定義をされてしまったら,婚姻カップルの周囲の人間も酷い目に遭うことになる。



「不貞行為とは何ぞや」という問題は,だから婚姻しない人間にとってもものすごく重要な話なのだ。




※この記事はTwitterに投稿した文章(↓の一連のツイートの前半部分)をまとめ直したものです。

https://twitter.com/MEMEsendai/status/604627509573844992