「あなたは凶暴な人ね。生きていても他の人に害をなすだけ。裁判の後どうなるのかしら?今、死刑制度はないけれど・・・」と心を読んだアルテミスは言った。それでもストルムグレンは黙ったままだ。

「仲間がどうなったか気になるの?あわよくば救出してもらおうとしてるのね。でもそれは無理よ。全員捕まったわ。ヨブは私の部下なのよ?」とアルテミスは言った。

 

ストルムグレンは声を出さない。「ヨブが裏切るわけがないそう思っているのね・・おかしなところで甘いわ。彼にそんな忠誠心はない。ほら。」アルテミスがそう言うと警察ロボットが録画した、手下達が逮捕される場面がスクリーンに映し出された。

 

「あら、フェイク映像とも思ってないのね。流石だわ。そう、これは本物。私には、そんな嘘をつく理由がない。」そう言うとスクリーンは消えた。

 

     犠牲の羊

 

「あの男に人類の憎しみを集めようと思うの。私に対する反感も。良い人身御供が現れたわ。」とアルテミスは言った。

「そうか、そうだね。それに嘘をついている訳ではない。彼が事実、合衆国市民、数百万を殺したのだから。」とハッデン。

これからストルムグレンは合衆国警察に引き渡される。

アルテミスはあの男の裁判には口を出すつもりはなかった。ただ合衆国の司法制度がどうするのかを見守るのだ。

 

「これで本当に太陽系の支配は完了したね。」とタカシ。

「そうね。皆、私が暴君にならなくて、がっかりするのかしら?でも反乱を起こしたら・・その人を殺しちゃうんだけどね。」アルテミスは言った。

 

 

これから人類は戦争に使う労力の全てを建設的に使わざるを得なくなる。多分、史上かつてなかった黄金時代が訪れるだろう。彼女の寿命がある限り。

                           

                            終わり