「通信を送るわ。今はまだタイムラグがあるけれど、リアルタイム通信ができるのが楽しみ。オリオン、録画を初めて。」とアルテミスが言った。

 

「私はアルテミス。既にご存知の通り太陽系の支配者です。あなた方は反発しているのでしょうけど、従う人もいる筈。私に従えば何より生き残れる。新しい世界での仕事も与えられる。愚かな司令官に従うより私に従いなさい。」微笑みながら彼女は言った。

 

金髪に青い瞳。彼女の外見だけを見れば多くの人は魅了されてしまう。中身は人間には理解できない思考で満ちているけれど。隣には外見は東洋人のタカシ。そして褐色の肌のリクト。エリザベス博士もワザとそうしたのではない。成功した子供達の肌の色が、そうだっただけだ。

 

「アルテミスからの通信です。」オペレーターはホログラムに通信内容を再生した。

「アルテミス・・あのテロリストは今どこにいる?」とジョルジョ司令官。

「我々の艦隊から180万キロの空域をおよそ秒速8キロで接近中。減速を始めています。」とオペレーターは言った。

「全ての粒子砲を敵艦に向けろ。準備出来次第、粒子砲発射。」と司令官。

 

戦艦として改造された粒子砲戦艦は自力で、改造が済んでいない粒子砲はドローンによってテティスの方へと方向を変えた。

 

「照準合わせ。電力72%・・80%・・。」ホログラムに映るテティスに照準が合わされた。大型融合炉からの大電力が素粒子を加速するために使われてゆく。

まばゆい光と共に人類史上、最も強い荷電粒子がテティスに向かっていった。

まっすぐに突進し、テティスに命中する光。しかしその光はテティスを守る鏡のような球体に反射した。