去年の桜笑



「決定は覆りません。ここに一定時間以上留まれば攻撃します。名前を呼ばれた方はどうぞお帰りください。名前を呼ばれていない方は仕事を続けてください。そしてもう少し仕事の速度を上げてください。誤解を受ける事が無いように。」武装していないオリオンの端末が言った。

 

小惑星帯で数分遅れの放送を見ながら

「おい見たかよ、飛ばされた奴の顔。すげえビビってんの。」大笑いしながらヤマダは言った「そりゃビビるだろ。浮かんで飛ばされるなんて滅多にないぜ?」とヨシュア。彼らは仕事を片付けて食事を摂っていた。

 

「アップワードおじさん。俺、アルテミスって好きだな。良い奴じゃないすか?」とヤマダ。

「まあな・・今のところは。しかし何を考えているのか分からんぞ?こういう女は。」とアップワードは言った。

「こんな女みたいなの知ってるの?おじさん。」とヨシュア。

「まあな。俺も昔は女には困らなかった。」とアップワード。

 

「なあヨシュア。ほんとに地球に行こうぜ?アルテミスに会いに。」とヤマダは言った。

ヨシュアは、まずいことを言うな、という顔をしたがヤマダは気づかない。

 

「何だ、お前ら、地球へ行くのか?」とアップワードは言った。

「いやあ、まだ決まったわけじゃないんすけどね。ずっとここにいてストルムグレンの奴に見つかると、おじさんにも迷惑かけちゃうし。」とヤマダ。

「そんな事を気にしてたのか。まあ・・そうだな、厄介者はさっさと出て行ってくれた方がこっちも助かる。」アップワードはそう言って笑った。