現在の政治形態も維持していただいて結構ですよ。現に次期大統領選出にむけて選挙活動も始まっています。あなた方ご存知の通りです。では、良い日をお過ごし下さい。」そう言うとホログラムは消えた。

    

小惑星帯のアップワードおじさん

 

「おい、本当だと思うか?」アルテミスの放送を聞いていたヤマダが言った。彼らは小惑星帯に居る、アップワードおじさんの所に匿われていた。アップワードおじさんは表向きは廃品業者だが、殺人以外は、そこそこにこなす、少し悪い人だ。

 

小惑星帯で稼ぐためには良い人の面ばかりではやっていけない。でも、あまり悪くなりすぎても抗争で殺される。そこをうまく渡っているアップワードおじさんは意外と凄いのだ。しかし見た目はパッとしない。背は高いが見事にでっぷりと突き出た腹。程よく小汚い格好。でもそれが不思議な安心感、時には微妙な優越感を相手に感じさせていた。

 

「お前らサボってるんじゃねえ。タダ飯食わせる訳にはいかねえんだぞ。」アップワードは言った。

「おじさん。すげえことになってるんだぜ?一気に太陽系の支配者が変わったんだ。何とも思わねえの?」とヨシュア。

「そんなことは、ここには関係ねえ。小惑星のこと何なんざ、このお嬢さんは関心ねえよ。」テレビに映るアルテミスの事をアップワードは言った。

 

「何だ、見てたんじゃん。じゃあ何か俺達にもチャンスがあるんじゃねえの?下克上だぜ?」脳天気にヤマダが言った。

「どう下克上するんだ?地球にもいないのに。」とアップワード。

「それは・・そうだ!コイツ、このアルテミスと知り合いなんだぜ。アップワードさん。」とヤマダ。