「そうか・・。降伏したことは通信されてるの?」とハッデン。「いいえ。降伏について通信は送られていません。伝えるのを躊躇したのでしょうか?」とオリオン。

 

「アルテミス、話していいかい?」とハッデン。アルテミスはソファに横たわっている。眠っているのではない。今までオリオンと一緒に、残った合衆国戦艦のコンピュータをハッキングしていたのだ。

 

「大丈夫よ。ほとんど終わったわ。後はオリオンだけでできるでしょう。木星にいる艦隊と小惑星帯の艦隊。次はそれをどうするかね。彼らはそんなに抵抗するとも思えないわ。もちろん単なる推測だけれども。それとね、ハッキングついでに木星にも降伏勧告を送ったの。」とアルテミスは言った。ゆっくりと浮かび上がり、ハッデンの元に漂うアルテミス。

地球合衆国大統領を捕縛した時の放送も、木星に向けて発信されていた。アルテミスの自己紹介は木星にいる軍人たちも知っていることだろう。

 

 

そこへタカシとリクトがやって来た。

「アルテミス、テティスにオリオン本体を積み込むのに、僕達ハッデンさんの植民島に行くんでしょう? 遂にテティスも仕上がるんだね。楽しみだな。」とタカシ。

「でもさあ、アルテミスって人間のことはあんま好きじゃないよね?それなのに人類っていう種は守りたいんだ。」とリクトは言った。

 



「そうね。人間のことはあまり好きになれないかも・・でも人類には安全で平和でいて欲しいわ。だから地球の政治形態はそのままよ。私はただ戦争と差別を無くす為に軍事を取り仕切るの。安全な世界を邪魔する者は容赦しないわ。リクト、もしかして私に反対なの?」とアルテミスは言った。