こんなことで、どれだけの人間の気持ちが動かせるかは、アルテミス自身にも疑問があったが、あの醜悪な司令官を見ていると思いついてしまったのだ。この顔を兵士たちに見せたらどう思うのかしら?と。
ヤマグチはそんな歳でもない。50代だろうか。色白で神経質そうな顔。蛇のような目つき。別に美男子なら性格が良い、なんてことはないけれど、多分、彼は利己的なんだろうと思われがちな、冷たいブ男。髪は細くストレート。そんな男。
一時間が経過し、ホログラムにアルテミスの姿が映し出された。「時間が来たわ。答えはどうかしら?ヤマグチ司令官?」アルテミスは内心諦めていた。だから、思いっきり尊大な言い方をした。
そして思惑の通りの答えが返ってきた「降伏などするものか!お前に従うのなら死んだほうがましだ!」その時ヤマグチ司令官の首がスパッと切られた。後ろに落ちる頭。吹き出す血液。「もういいわ。あなたはいらない。」とアルテミス。
この映像も艦隊全ての乗組員の頭に直接送られた。ヤマグチ司令官の周りにいた者の叫び声も一緒に。
「あなた達はどうするの?」抵抗したいなら機会をあげるわ。一旦武器を使えるようにしてあげるわ。」とアルテミス。
彼女は、攻撃した船だけを破壊するつもりだった。その船の中にも、もしかしたら降伏したいのに、言えないだけの者もいるかもしれないが、それはどうでも良かった。しかしいくら待っても攻撃はされなかった。「どうしたのかしらね。攻撃してこないわ。」アルテミスは言った。