「ありがとう・・そうだね。少しずつなら出来そうだよ。僕だって君たちを疑ってなんていないんだ。ホントはね。」タカシは言った。「そうだぞお前。考え過ぎなんだよ。」リクトは言った。タカシはリクトのこんなところも好きだった。彼の言い方はどこか優しい。ただの毒舌とは違うのだ。

 

「私もそんな風に思っていませんよ。もっとも、分かっていらっしゃると思いますが。」とオリオン。

「私だってそうだよ。オリオンほど、信じてはもらえないだろうが。」ハッデンは少し意地悪な笑いを浮かべて言った。実は、彼らをつなげているのはオリオンかもしれない。悪意を持たない、少なくとも人間より悪意がないと本当に信じられる存在。

 

「じゃあ、アルテミス。敵に降伏勧告をしようじゃないか。」とハッデンは言った。

 

「ミサイル全段消滅。」とオペレーター。すべてのミサイルを焼き払い、テティスは艦隊めがけて向かってきている。「全艦高出力レーザー用意。目標は正体不明戦艦」ヤマグチ司令官は言った。

 

その時オペレーターが言った。「敵艦から通信が入っています。」ヤマグチ司令官は内心降伏を言ってくることを期待していた。彼には優れた戦術などはない。実は飲み屋で面白いやつ、そう言われる能力しかないのだ。利害なく話せば面白いだろう、確かに。

そして、彼から(いじり)の標的にさえならなければ、だが。侮られたが最後、集団の感情のはけ口、又はケープゴートの役を何が何でも押し付けてくるだろう。そう言った口の上手さは持っているのだ。そして威厳を保つ演技も上手い。

 

「よし。通信をつなげろ。」ヤマグチは言った。

ホログラムに映し出されるアルテミス達。「子供がいるのか?」とヤマグチ。