代表の光永です。

講演会の内容をまとめましたので報告します。
分かりにく部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。
また、資料の公開も了承いただきました。
以下の内容とあわせてご覧ください。

【資料】
 以下のリンクからダウンロードできます。
  http://yahoo.jp/cSTtg4

【講演模様】

○放射能による健康への影響
 ・この地域で急性被曝を受けることは無い。
 ・ただし、低線量だから安全かというとそうではない。
 ・高線量に比べて低線量は安全かというと種類の違う被曝であることを理解する必要。
 ・人の体は細胞で出来ている。細胞の集合体が人間であり生物と言っても過言では無い。
 ・細胞「核」が放射能によりダメージを受けると細胞そのものが死んでしまう。
 ・少しの細胞が死んでも周りの正常な細胞が増殖して埋め合わせることができる。
 ・問題になるのは、放射線があたっても死ななかった細胞。
 ・核の周りに放射線があたった場合に、細胞が怪我や病気をしたような状態になる。これを障害細胞と表現している。
 ・細胞を修復する場合、体は薬のようなものを使う。健康な状態では作られないタンパク質が作られる。熱ショックタンパクという総称で呼ばれ修復に使われる。
 ・そのタンパク質の中のひとつに、ガン遺伝子によって作られるガン抗原が作られる。
 ・ガン抗原が発ガンの原因となる。これをイニシエーションと呼び、「ガンの芽」が作られる。
 ・イニシエーションは、通常の生活でも起きている。ガンに対する免疫が作られ、ガンの芽は排除される。したがって、すぐにガンにはならない。
 ・ところが、ガン免疫によって排除しきれなかった細胞が増殖し始めた時に、「発ガン」の状態となる。
 ・ガンに対する免疫により、ガンになりやすい、なりにくいという個人差ができる。
 ・低線量被曝の状態は、普段よりもイニシエーションが多く起こる状況。普段であれば、がん免疫で抑えられていたものが、抑えきれなくなる可能性がある。
 ・細胞に対するストレスが多く起こった場合に、細胞がガン化する。
 ・たばこを吸うことにより、肺へのストレスとなり肺ガンになる可能性が出る。

○低線量被曝の影響
 ・熱いものを好んで食べる人は食道ガンになりやすいと言われている。日常的に熱いものを食べることにより、食道に熱によるストレスを与えている。
 ・一度の刺激が大きい場合と、日常的に刺激を受ける場合とどちらの方がガンになりやすいか。
 ・日常的に刺激を受けた方が、ガンになりやすい。
 ・大きな刺激の場合は人はその刺激を受けないようにするが、小さな刺激であれば、例えば食べられるくらいの熱さであれば、日常的に食する。
 ・放射能に置き換えれば、低線量の地域で普通に生活をしているのと同じ状態。
 ・低線量のリスクはここにある。
 ・職業被曝をされる方は、5年で100mSvの制限がある。
 ・これが安全かというと、急性被曝の基準に基づいて決められたものであり、本当にこの基準で安全かというと確証は無かった。
 ・反復的な被曝と持続的な被曝のリスクは同じではない。
 ・CTを何度も受けると、とても高い被曝量になる。
 ・日本は、世界で一番CTスキャンが普及していると言われている。
 ・3%くらい多くガンになっているというような論文を発表した人もいる。

○医学的事象を証明するためには
 ・アメリカのデトロイトの学者がタバコを吸う人の中に肺ガンになりやすいということを言った。
 ・ここで、喫煙は肺ガンの原因であるという仮説をたてた。
 ・実際に実験をしてみると、肺ガンになる可能性が高くなることが分かり、仮説が証明された。

○チェルノブイリでは
 ・小児の甲状腺ガンが増えたということが言われているが、環境放射線量等のデータが残っていない。
 ・どの程度の線量で甲状腺ガンが増えたかのデータが無いため、低線量被曝により甲状腺ガンが増えるという仮説を証明できない。

○放射線従事者40万人のデータにより23年6月に出された研究結果
 ・5年間100mSvの基準はクリアしている。
 ・これらの方々のガンにより死亡する確率はそれぞれの地域のガン死する割合の10%増ということが分かった。
 ・日本でガンにより死亡する人は30%。ガンになる人はその2倍くらいの方なので、60%くらい。
 ・つまりガンになる確率が60%から66%になるということ。
 ・松戸、我孫子、柏だけで100万人になる。100万人にあてはめると6%ということは6万人にあたる。

○チェルノブイリから1,600km離れたスウェーデンの北の町
 ・チェルノブイリ事故によりホットスポットになった。
 ・25年間の平均が0.016μSv/時の空間線量だったが、その町では他のスウェーデンの町よりガンで亡くなる方の13%増だったという。

○2つのデータから言えること
 ・反復被曝よりも持続性の被曝の方が影響(ガンになる可能性)が大きいのではないかという仮説を立てることができる。(証明は出来ない。)
 ・いろんな仮説があるが、どの仮説が正しいのかは分からない。20年、30年経たないと分からない。
 ・分からないのであれば、より危険だという仮説に立ったほうが、より安全だということは言える。
 ・誰も分からないということ自信をもって認識すること。
 ・職業被曝の研究データも、スウェーデンの北の町のデータも、ある状況でのデータにすぎない。

○ガン検診の必要性
 ・ガンになる確率が全体でどれだけ上がっても、一番大事なのは自分の子どもがガンにならないことでは?
 ・必要なのは、ガン検診。逆に言うと検診しか無い。ガンにならない方法は無い。
 ・毎年胃ガンの検診を受けている人は、胃ガンになることはあっても胃ガンで死ぬことはない。
 ・大腸の場合は、3年に1回の検診で大腸ガンで死ぬことはない。
 ・チェルノブイリのもっと広いデータでは、甲状腺ガンだけでなく全てのガンが増えている。
 ・甲状腺に関わらず、全てのガン検診を大人も含めてしっかりと受けること。

○なぜ甲状腺検診を始めたのか
 ・甲状腺は外部被曝だけでなく内部被曝にも弱いということ。
 ・甲状腺の検診は一般的には行われない。だから私が検診を始めた。
 ・子どもに胃カメラは無理。甲状腺だけは、子どもに対しても行えるガン検診。
 ・子どもに対しては、せめて甲状腺だけでも検診してあげようということ。

○甲状腺の検診は誰がやるべきか
 ・甲状腺の専門家?そうではない。甲状腺の専門家はごく一握りしかいない。
 ・甲状腺の専門家は、甲状腺に異常があるという人しか見たことが無い。
 ・甲状腺に異常があるかどうかを見つけるのは、第一線でプライマリティーケアを行なっている医者。
 ・子どもの診療は小児科医でしかできないか。
 ・子どもが骨折したら整形外科に行く。耳が悪くなれば耳鼻科に、目が悪くなれば眼科に。
 ・内科の子どもの部分が小児科である。従って、内科の医者は子どもを見ない。(見れない)
 ・小児科は超音波(エコー)の機械を持っていない。
 ・だから、誰も子どもの甲状腺検診を出来ない。

○甲状腺検診
 ・一番大事なのは超音波検査。
 ・超音波検査で何も見つからなければ安心を得ることができる。
 ・放射能を浴びると免疫が落ちる。原因は白血球が少なくなったり異常が起きたりすることで起こる。
 ・免疫力が落ちる一番の原因は精神ストレスにある。特に解決ができない不安を抱え続けること。
 ・まさに放射能による精神ストレスは直接的ではない間接的な放射能被害。

○手賀の杜クリニックにおける甲状腺検診結果
 ・若いお母さんが子どもを連れて検診に来るが子どもだけ受けて親は受けずに帰る。
 ・10~19歳のうち14歳以下が20名なので、15歳から29歳はわずか2名。
 ・子どもの嚢胞は多い。10代は40%以上(ほぼ14歳以下)。8歳、9歳はそれぞれ3人。
 ・8歳~14歳は、嚢胞がものすごく多い。(約40%)大人よりも多い。嚢胞は本来固まってしまえば大人になってもそのまま残る。
 ・大人の嚢胞とは別のものかもしれない。

○嚢胞が見つかったら
 ・嚢胞が悪性かどうかを判断するためには、針をさして検査をするしかないが、必ずしもそこまではしない。
 ・3~6ヶ月後に再検査をして大きさ等が変わっていなければ悪性で無いということが判断できる。
 ・嚢胞が見つかった場合は、再検査をしたほうが良い。

○検査を受けたあとはどうするか
 ・検査レポートは必ず保管しておくこと。
 ・結果は対面できちんと受けること。遠方で郵送した方でも半分以上の方は説明を聞きに改めて来られる。
 ・検査は年に1回、継続的に受けること。次に検査をした時に、前回検査した以降に新たにガンが出来ていたとしても手遅れにならない期間は1年間。

○貧血の子どもが多い
 ・放射能の影響で骨髄の細胞が減って貧血になることはあるが、血液検査の結果そうではない貧血の子どもが多い。
 ・検査に来られる方は、放射能に汚染されていない食材を選んでいる傾向が高い。
 ・結果として牛乳、レバー、海藻が食卓から無くなってしまっている。これらの理由で鉄分欠乏性の貧血を起こしていると考えられる。

○性別による放射能影響の差異は
 ・卵子は思春期にしか作られない。
 ・放射能の影響により卵子に傷がつくと不妊率が高くなるという予想はつく。
 ・X染色体を持った精子は女の子の元になる。Y染色体の精子は男の子の元になる。Y染色体は弱いと言われている。
 ・放射線を多く受ける職業被爆者の男性のお子さんには女の子が多い。

○この地で生きていくためには
 ・外界から受ける刺激は全てストレスと呼ばれる。放射線もストレスのひとつ。
 ・給食の牛乳を拒否すること、給食そのものを拒否すること、修学旅行に自分の子供だけ参加させないこと。
 ・人と違う生活を強いられる子どもたちは大きなストレスを抱えることになる。
 ・疎開する子ども。疎開先でいじめにあうということもある。収入面でストレスがかかるということもある。
 ・家族離散によるストレスもある。
 ・放射能も含めた家族全体のストレスはどのくらいか。他人がとやかく言えることではない。
 ・自分にあった対策を考えること
 ・子どもの時に外で遊ばなかったら運動能力に差が出てくる。
 ・無駄な被曝は避けるべきだが、仕方の無い被曝は仕方が無いと割り切ることが大事。
 ・例えばCTスキャンで無ければ見つからない病気を見つけるためにCTスキャンを受けることは仕方の無い被曝。
 ・これと同じで割り切ること。

○ホールボディカウンターの検査は?
 ・健診は何のために行うか。安心を得るために行う。
 ・ホールボディカウンターの検査を受けた結果として、安心することはできるか。結果を見ても何も分からない。
 ・検査の意味は、大量な正常のデータがあり、その数値内に収まっていることを確認することでしか安心を確認できない。
 ・そういった意味では、現時点では意味が無いと考えられる。
 ・ただし、データが集まれば将来的には意味がある。
 ・また、期間をおいて複数回受けることで数値の比較をすることでの意味はある。
 ・我孫子で来年から学校の検診において甲状腺の触診をするようだが、触診では絶対に分からない。

○半年で173件という件数の評価と自治体の助成について
 ・私一人で検診した件数として週に1回半年間で173件という件数は、他の検診もしながらなので多いと思うが、この地域で必要な検査の件数としては足りないと考える。
 ・助成も必要と思うが、何より検査を実施する医者がもっといないといけない。  

○普通の内科の先生でも検査できるのか
 ・超音波の機械さえあれば、内科の先生で検診は可能と思われる。
 ・子どもは暴れたりするので検査は大変

○福島の甲状腺検査
 ・甲状腺のエコー検査は主観を交える検査
 ・福島県で検査を行なっているのは放射線技師。

○甲状腺検査について国から通達が出ている?
 ・福島県での甲状腺検査について、セカンドオピニオンをしないように通達が出たとか出ないとかという噂は聞いている。

○30代、40代に腫瘍が多いが
 ・不安を持って検査を受けられたと思われるが、それにしても多いとは思う。
 ・腫瘍が見つかった場合は、すぐに専門医に紹介する。

○印西市から甲状腺検査は医学的見地に基づいていないということを言われたが・・・
 ・福島県では、検査において異常が見つかりすぎたのでビックリしたと思う。
 ・おそらく財政的な見地から、2次検査の費用を抑えるために異常かどうかの線引を非常に高くしたのでは。
 ・政治的な判断では無いか。下手に甲状腺検査をすると大変なことになるという話が自治体にまわっているのかもしれない。

○甲状腺の検査は何歳からした方がよいか
 ・できるかできないかで言えば、0歳でもできる。

○検査にかかる時間は?
 ・検査そのものは超音波であれば大人は5、6分。子どもで長くて10分くらい。

○今後も検査は続けられるのか
 ・今後も手賀の杜クリニックで毎週土曜に検査を行う予定。


以上