手賀沼の最終処理場へ高濃度の放射性廃棄物が持ち込まれる動きが県により周囲の住民が納得していない中進められようとしています。
この問題についてまとめて、市民のお一人にまとめて頂いたので転載させていただきます。



 生活すればゴミが出る。ゴミをそのまま全て埋めるには量が多すぎるし、生ごみは腐り不潔になる。で、燃やせるものは燃やして灰にして処分する、という当然の帰結になるわけですが、これは(当然と言えば当然ですが)放射能が入ってくるなんて考えていませんでした。灰になって終わり、ではなかったのです。各市が、灰の汚染レベルが非常に高い、という現実に直面したのは昨年7月頃です。放射能基準値(暫定)をはるかに超えた焼却灰のニュースは、かなり衝撃的でした。灰はその後も増え続け、今も市によっては日々出続けています。

<経過>
 昨年7月に柏市と印西市の焼却灰から高レベルの放射性セシウムが検出された、とのニュースが新聞地方版に載りました。これは国の暫定基準値8千ベクレル/kgをはるかに超えていたので、最終処分場埋立てが出来なくなり、とりあえずクリーンセンターに一時保管することになったというものです。
当時の最高値は柏市7万ベクレル/kg、松戸市4万7千ベクレル/kg、印西市約1万4千ベクレル/kgという状況でした。同年末には保管所が満杯となり、ゴミの収集ができなくなる恐れが出てきて、各市は焼却灰の主因と思われる草や剪定枝を燃えるゴミと別収集にするなど、懸命の努力でどうにかしのいでいる状況です。そこで、溜まっている灰の一時保管場所を確保してほしい、と柏・松戸・流山・我孫子・印西地区事業組合が連名で県に要望したところ、我孫子市と印西市にまたがる手賀沼終末処理場(千葉県流域下水道終末処理施設)を県から提案されたのです。
今年5月の8千ベクレルを超える焼却灰の保管量は、4市1組合合計3581トンになります。

<状況>
 6月18日、県は手賀沼終末処理場への焼却灰一時保管を決定しました。
県の説明によると、場所は印西市発作地先。広さ2万㎡。焼却灰の保管可能量2500トン。保管期限は平成26年度末まで。12月の新聞報道ではテントを建てる、とありましたが、コンクリートの基礎&床を設けた仮設倉庫15棟を建て、フレキシブルコンテナを積む方法です。
ここは下水汚泥の焼却灰が、県内下水処理施設の中で唯一8千ベクレルを超えた場所で、すでに650トン保管(昨年11月)されています。水田に囲まれ、手賀川が利根川に注ぎ込む途中にあり、野生の水鳥も多く生息している水辺です。

<不安要因>
 例えば、利根川下流には、県営・市営の水道取水口があり、大きな災害で影響を受けかねないことです。建物構造は雨水流入対策くらいしか考慮されておらず、大災害への対応がありません。何よりも環境への汚染が絶対ないとは言い切れないことです。県立高校から150mしか離れておらず、周辺の農業、漁業、宅地への影響も心配であり、この場所が適切だとはとても考えられません。昨年の東日本大震災の際には、近くの我孫子市布佐で液状化現象が起こり、住宅地に深刻な被害がありましたが、ここの地盤が安定しているか、調査をしたかも不明です。
今年6月には、県主催住民向け説明会が開かれましたが、住民の納得を得るまでには至らないまま、県は決定をしたことになります。印西市発作下町内会からは全世帯反対の署名が市に提出されています。

<考えてほしいこと>
 どこに保管するか。うちに来てもらっては困る。ということは、逆に言えば、お互いに他所へ持って行けない、ということでもあります。汚染レベルの高い他市の焼却灰をどうするか。やはりその市で考えざるをえないのではないでしょうか。一番恐れるのは、一度搬入すると、その状況が固定化、長期化するのではないかということです。最終処分地が決められない現状では、最も不安なところです。もちろん周辺市との助け合いは大切なことですが、他市にも県有地があることを考えると、自区内で解決する方法はあるのではないでしょうか。エゴなのではなく、この地域の子どもたちにどう引き継ぐのか互いに考えなければいけないことだと思います。
放射能について大事なことは拡散させないこと。とくに水と接触させないこと。流れる水に入ると、どんどん広がっていきます。飲み水、農作物、水産物と、影響は大きく広がります。放射能を封じ込めるために、県や市に、自区内処理が原則であることを考えていただきたいと思います。
(M.S)