紅子は慧大のことはまったく知らなかった。
「紅・・・本当に忘れちゃったの?」
「あなたのことなんか、まったく知らない。もういい私帰る。」
「帰るって、どこに帰るの?」慧大は不思議そうに紅子を見つめた。
慧大はすっとして、整った顔をしている。でも特に特徴があるわけではないが、
誰でも慧大に吸い込まれていきそうなほど、青い青いビーだまのような目をしていた。
紅子はそんな慧大にドギマギして、「自分の家に決まってるでしょ。」と
余計にムキになって強く言い返してしまった。
「紅、君はさっき言ったよね。『もう人間やめちゃおうか』って、その時点で君は人間やめたんだよ。」
紅子は何言ってるのかわからず、もう相手なんてするもんかと思い歩きだした。
その時、今足元にあった地面がとたんなくなって、自分の体がふわっと宙に浮いていることに
気がついた。足を動かしても思うように前に体が進まない。足だけが、空中で空回りしていた。
「これは何、私はどうなっちゃったの。」
「やっと今の状態がわかったの。紅が望んだんでしょ。だから僕がここにきたんだよ。」
「あなたは誰、私に何をしたの。もういいから家に帰りたいんだけど」
「紅はもう家がないんだ。家どころか住んでいる世界がないんだ。」
紅子はこの慧大が言っていることが、いや慧大そのものが夢なんだと思ったのだ。
(夢から早くさめなきゃ)白い靄の中に閉じ込められたかのような静寂が紅子を包む。
本当に紅子以外は誰もいなくなったかのようだ。
「夢じゃないよ。じゃ現実と今ここにいる君の境まで連れて行ってあげるよ。」
そう言うと、慧大は紅子の腕を強くつかんで引っ張った。
とたん、今まで白い靄に包まれていたのに、一瞬にかき消されて紅子は、自分の家の上に立っていた。
「あっお母さんだ。」紅子はお母さんの姿を見た。慧大の手を振りほどくと、紅子の体は急に
地上に降りていった。「お母さんお母さん」叫びながら母に近づいていったが、母に抱きついた
瞬間その体をすり抜けてしまった。紅子が触るものがバーチャル映像かの様に、そこに
存在しているのに、触ろうとするとそのものをすべてすり抜けてしまう。母には紅子の声さえ聞こえない。
よく見ると、紅子の手の向こうが見えていて紅子の体自体が半透明のようになっていた。
「ねえ、どうしたのなんで・・私の体どうなったの、私の声はみんなに聞こえないの」
「紅、オレの言っている事が、やっとわかった。」
「君はもうこの世界には存在しないんだよ。」
「私死んじゃったの?」
「いや違うはじめから、紅、君は存在してないんだ。」
慧大は心配そうに、紅子の手をとって悲しげに話した。
紅子は自分の置かれている現実に戸惑い、困惑しているだけだった。
To the next Sunday
「紅・・・本当に忘れちゃったの?」
「あなたのことなんか、まったく知らない。もういい私帰る。」
「帰るって、どこに帰るの?」慧大は不思議そうに紅子を見つめた。
慧大はすっとして、整った顔をしている。でも特に特徴があるわけではないが、
誰でも慧大に吸い込まれていきそうなほど、青い青いビーだまのような目をしていた。
紅子はそんな慧大にドギマギして、「自分の家に決まってるでしょ。」と
余計にムキになって強く言い返してしまった。
「紅、君はさっき言ったよね。『もう人間やめちゃおうか』って、その時点で君は人間やめたんだよ。」
紅子は何言ってるのかわからず、もう相手なんてするもんかと思い歩きだした。
その時、今足元にあった地面がとたんなくなって、自分の体がふわっと宙に浮いていることに
気がついた。足を動かしても思うように前に体が進まない。足だけが、空中で空回りしていた。
「これは何、私はどうなっちゃったの。」
「やっと今の状態がわかったの。紅が望んだんでしょ。だから僕がここにきたんだよ。」
「あなたは誰、私に何をしたの。もういいから家に帰りたいんだけど」
「紅はもう家がないんだ。家どころか住んでいる世界がないんだ。」
紅子はこの慧大が言っていることが、いや慧大そのものが夢なんだと思ったのだ。
(夢から早くさめなきゃ)白い靄の中に閉じ込められたかのような静寂が紅子を包む。
本当に紅子以外は誰もいなくなったかのようだ。
「夢じゃないよ。じゃ現実と今ここにいる君の境まで連れて行ってあげるよ。」
そう言うと、慧大は紅子の腕を強くつかんで引っ張った。
とたん、今まで白い靄に包まれていたのに、一瞬にかき消されて紅子は、自分の家の上に立っていた。
「あっお母さんだ。」紅子はお母さんの姿を見た。慧大の手を振りほどくと、紅子の体は急に
地上に降りていった。「お母さんお母さん」叫びながら母に近づいていったが、母に抱きついた
瞬間その体をすり抜けてしまった。紅子が触るものがバーチャル映像かの様に、そこに
存在しているのに、触ろうとするとそのものをすべてすり抜けてしまう。母には紅子の声さえ聞こえない。
よく見ると、紅子の手の向こうが見えていて紅子の体自体が半透明のようになっていた。
「ねえ、どうしたのなんで・・私の体どうなったの、私の声はみんなに聞こえないの」
「紅、オレの言っている事が、やっとわかった。」
「君はもうこの世界には存在しないんだよ。」
「私死んじゃったの?」
「いや違うはじめから、紅、君は存在してないんだ。」
慧大は心配そうに、紅子の手をとって悲しげに話した。
紅子は自分の置かれている現実に戸惑い、困惑しているだけだった。
To the next Sunday
として、一瞬時間が止まったかのように紅子の周りから音と背景が