20年ほど前、私は実家のある愛知県に住んでいた。当時は、電話やインターネット投票なんてあるはずもなく、自宅のテレビで競艇観戦ができるなんて想像もつかなかった時代。 情報と言えば、中日スポーツだけだった記憶がある。 やっとSGの場外発売が始まった頃だと思う。 ファンは現場に足を運び、早朝練習や足合わせをじっくり見て、そして、レースをしっかり見て選手の気配(エンジン)を掴もうとした。 ストップウォッチで1周タイムを計測している人もちらほら見かけた。 選手のネームバリューが人気を左右する傾向は今もあるが、昔のほうがその傾向は強かった。 だから、「エンジンの力を早く掴んだ者が勝つ」 という構図があった(私に限らず、ベテランの目利きのファンの方はそれに近い考えを持っていたと思う)。 私にとっては昔のほうがやりやすかった。 つまり、たやすく儲けることができるケースが多かった。
時は流れ、スポーツ新聞の競艇枠は徐々に大きくなり、多くの選手情報を掲載するようになった(以前、中日スポーツに選手のコメントはなかった)。 競艇雑誌もまず、マクールが創刊され、次いでボートボーイ、その頃から数々の小冊子が発行されるようになると同時に電話投票がスタートした。 それまでは良かった。 特に電話投票が開始された時期は、現場ファンにとっては 「絶好のカモ」 が増えることになり、喜ばしいことだったかもしれない。 しかし、しばらくするとCSアンテナを取り付けることにより、自宅での競艇観戦が可能になった。 さらに、インターネットの普及に伴い、スカパー(スカイパーフェクTV)と称して、スマップの中居クンがCM出演した影響か、CS放送の普及率はグ~ンと跳ね上がったように感じる。
これによって、現場観戦のメリットは少なくなった。 実際、私も現場に行く回数は激減した。 CS放送の中でもJLC(日本レジャーチャンネル)は視聴料が高かった記憶があるが、それもチャンネル数の増加と同時期に視聴料は低下し(このへんは定かではないが・・・)、今では、競艇ファンのほとんどがJLCの視聴者と言っても過言ではない。 そのJLCがもたらす影響力は非常に大きい。
正直、「解説者による予想番組(当日の予想コーナーも含む)」 はそれほどの影響力を持たないと思う。 もちろん、すばらしい解説をしてくれる方もいるが、大半がそれなりの予想だったり、時に的外れなことを言ってくれるから、逆に、目利きのファンにとってはありがたいのではないか? しかし、数々の情報収集番組は競艇雑誌と同種のもので、ファンにとってはたんへん役に立つものが多いし、直前のピット情報に関して言えば、専門紙やスポーツ新聞に掲載される選手コメントよりも 「新鮮な情報」 を提供してくれる。 舟券に直結するものであるため、その影響力は計り知れない。
便利な時代になり過ぎたと思う。 素人ファンにとってはありがたいはずである。 横になってテレビを見ているだけで、いわゆる 「タダの情報」、しかもそれは的確(な場合が多い)とくれば活用しない手はない。 素人ファンに限らず、この便利な部分を上手に活用している人が多くいるから番組が成り立っているとも言える。 しかし、逆にそれは専門紙泣かせの情報である。 目利きのファンにとってもありがたくない。 1つの事象には必ず正と負が共存するのだから仕方のない話だが、個人的にこの件に関して言わせてもらえば、私にとっては 「負」 の要素のほうが大きい。
つづく