Lesson 13

 

 

解答

Q1 行動を起こすかもしれない人が周りにいるので,(自分)個人は介入しようという責任を感じないということ

Q2 how and when the bystander effect comes out

Q3 c)

Q4 1. 起こっていた[色水がこぼれた]ことに実際に気づいたかどうか

2. (実験者の)大人が助けを必要としていたことがわかっていたかどうか

3. 助けを必要としている大人を,自分が助けなければという責任を感じていたかどうか

Q5 b) 

Q6 b)

 

設問解説

Q1「1)the diffusion of responsibilityとは何か。日本語で説明しなさい。」(➡1)

下線部1)は「責任の分散」の意味。直後にthat is「つまり」という表現があるので,下線部1)の具体的内容は,that is以下のan individual ... might actの部分を日本語に直せばよい。

語句〈that is (to say)〉は,前述の内容をより正確に述べたり,具体的に説明したりするときに用いる。

注〈there be+S ~〉は,〈S be ~〉と同じような意味と考えればよい。

there are others around (who might act) ≒ others (who might act) are around

 

Q2「2)thisは何をさすか。この段落から,英語8語で答えなさい。」(➡2)

下線部2)を含む文は「子どもにおけるこのことに関する過去の研究は,ほんのわずかしかない」の意味。thisのさす内容なので,まずは直前の文を参照すると,l.8のThere has only been a little bit of past research into ~「~に関する過去の研究はほんのわずかしかない」は,l.7のdo not know much about ~「~についてあまりよく知らない」と同様の内容を表しているとわかる。よって,thisのさす内容は,how and when ... comes outの部分である。

語句〈come out〉は,ここでは「現れる」の意味。

 

Q3「傍観者効果の実験にあてはまるのは,次のうちどれか。」(➡2~3,6)

×a)「1人の子どもは大人が壁を塗るのを手伝い,別の2人の子どもは自分の塗り絵をした。」

l.10のEach kid ... cardboard wall. に,「大人が段ボール製の壁に色を塗っている間,子どもはそれぞれ塗り絵をするように言われた」とあるので,誤り。

 

×b)「実験パターンの1つでは,被験者である子どもは,部屋にいる別の2人の子どもを見ることができなかった。」

ll.14~17のIn one ... condition). とl.32のIn the ... each otherより,別の2人の子どもを段ボールで仕切った状態でも,「段ボールの壁は低いので,被験者である子どもから別の2人の子どもは見えている」ことがわかるので,誤り。

 

〇c)「実験パターンの1つでは,被験者である子どもはほかの子どもたちが大人を助けるのをあてにすることができなかった。」

ll.34~35のthe only ... or herselfより,これが正解である。

 

Q4「実験後に研究者が被験者である子どもたちについて知ろうとした3つのこととは何だったか。日本語で答えなさい。」(➡4)

ll.21~24のafter the ... to helpより,l.22のdetermineの目的語である3つのwhether-節を,それぞれ日本語に直せばよい。

注 whetherは接続詞で,ここでは名詞節を導き「~かどうか」の意味を表す。

 

Q5「下線部3)を表すのは,次の図のうちどれか。」(➡2~3,5~6)

下線部3)は「唯一の違いは,ほかの(2人の)子どもたちは助けることができなかったということだけだった。つまり,助けることができる唯一の人物は,実験の被験者(である子ども)自身だけだった」の意味。この内容から,「傍観者のⓀ(=2人の子ども)が描かれていない」状況の図a)は該当しないとわかる。ここで,The only difference「唯一の違い」とは,被験者以外にⓀが部屋にいる状況(bystander condition)のうち,「傍観者のⓀが(被験者と壁で仕切られているので)手助けできない状況(bystander-unavailable condition),つまり図b)」と,「傍観者のⓀが(被験者と壁で仕切られていないので)手助けできる状況(bystander-available condition),つまり図c)」との違いのことである。よって,下線部3)を表すものとして,図b)を選ぶ。

 

Q6「この文章にあてはまるのは,次のうちどれか。」(➡全体)

×a)「実験中に大人は(カップに入った)色水をこぼし,被験者である子どもにペーパータオルを持ってくるように頼んだ。」

ll.19~21のthe adult ... paper towelsより,大人はペーパータオルを持ってくるように「直接頼んだ」のではなく,(困っている状況をアピールし)そのように「仕向けた」ことがわかる。また,l.23のwhether they understood ... needed help「大人が助けを必要としていたことがわかっていたかどうか」という実験後の確認内容からも,大人が「直接頼んだ」のではないとわかるので,誤り。

 

〇b)「ほかの2人の子どもが利用できないとき[状況]よりも,利用できる状況のほうが,大人を助ける被験者の子ども(の数)は少なかった。」

➡第5段落の実験結果から,傍観者(=部屋にいる別の子ども)が手助けできない状況では,被験者はほぼ全員が大人を助けたのに対し,傍観者が手助けできる状況では,被験者は50%ほどしか大人を助けなかったことがわかるので,これが正解。

 

×c)「傍観者を利用できない状況では,社会的参照や恥ずかしさは子どもの行動を決定する重要な要因であった。」

➡第6段落全体の内容より,傍観者を利用できない状況で,子どもの行動を決定する重要な要因は「社会的参照や恥ずかしさ」ではなく,「責任が分散されているかどうか(=助ける責任が自分だけにあるのか,ほかのだれかにもあるのか)」ということだとわかるので,誤り。傍観者を利用できない状況であっても,(子どもたちを仕切っているのは背の低い段ボールの壁なので)被験者の子どもは傍観者の2人が見えていて,傍観者にも見られている状況であることに注意。

 

全訳

1⃣

➊研究者は,傍観者効果が生じる主な3つの理由を想定してきた。➋1つめ(の理由)は責任の分散である。つまり,(自分以外にも)行動を起こすかもしれない(ほかの)人が周りにいるので,(自分)個人は介入しようという責任を感じないということだ。➌2つめ(の理由)は社会的参照,言い換えれば,ほかの人がどのように行動しているかを確かめ,それに応じて自分自身の行動を決定するために,周囲を見まわすという人間の自然な傾向である。➍3つめ(の理由)は,受動的な群衆から目立つことに対して,単純に恥ずかしいという気持ちである。

 

2⃣

➊しかし,傍観者効果がいつどのように子どもに現れるのかについて,私たちはあまりよく知らない。➋子どもにおけるこのことに関する過去の研究は,ほんのわずかしかない。➌このことを理解するために,研究者はある実験のために,5歳の子どもたち60人を集めた。➍大人が段ボール製の壁に色を塗っている間,子どもはそれぞれ絵に色を塗る[塗り絵をする]ように言われた。➎その実験は,(それぞれの)子どもによって重要な2つの点で異なっていた〔→重要な2つの点で異なる実験がなされた〕。➏(被験者である)子どもが(壁を)塗っている大人と2人きりであった場合と,別の2人の子どもが,被験者である子どもの近くで色を塗っている場合があった。➐実は,その別の2人の子どもは実験者の協力者[サクラ]だった。

 

3⃣

➊傍観者(=2人の協力者の子ども)の状況(設定)には,2つのパターンがあった。➋一方の状況では,大人が2人の(協力者の)子どもを短時間,隅に封じ込めるために背の低い段ボールの壁を置き,物理的に彼らを部屋のほかの部分から仕切った(「傍観者を利用できない(=傍観者が手助けできない)」状況)。➌もう一方の状況では,段ボールの壁を部屋の壁に立てかけたが,それはだれも何からも封じ込められていないことを意味した(単に「傍観者を利用できる」状況)。

 

4⃣

➊色塗りの活動が始まった少しあとで,大人が(カップに入った)色水をテーブルにこぼし,被験者である子どもの注意をひきつけて,ペーパータオルを持ってこさせることで〔→持ってこさせて〕助けてもらおうとした。➋それからその出来事のあと,子どもたちが起こっていたことに実際に気づいたかどうか,(実験者である)大人が助けを必要としていたことがわかっていたかどうか,そして助けなければという責任を子どもたち自身が感じていたかどうかを明らかにするために,研究者は子どもたちに面談をした。

 

5⃣

➊理論的に推測できるように,子どもたちは1人だけ(=実験者と2人きり)のときが最も助けてくれそうであり,(実際)ほぼ全員が助けてくれた。➋興味深いことに,傍観者を利用できない状況でも,同じ数の子どもたちが助けてくれた。➌その(=❺けてくれる子どもの数の)割合が下がったのは傍観者を利用できる状況の場合だけだったが,それも激しい減り方で,50%をわずかに超えただけの子どもしか,ペーパータオルを持ってきてくれなかった。

 

6⃣

➊このことは,(被験者の)子どもたちが大人を助けようとするのを妨げたのは,社会的参照や恥ずかしさではなく,責任の分散だということを研究者に示唆した。➋というのもなにしろ,傍観者を利用できない状況では,子どもたちはみな,お互いを見ることができるので,社会的参照や恥ずかしさは要因になりうるのだ。➌唯一の違いは,ほかの(2人の)子どもたちは助けることができなかった〔→助けられる状況ではなかった〕ということだけだった。つまり,助けることができる唯一の人物は,実験の被験者(である子ども)自身だけだった。➍実験のそのパターン(=傍観者を利用できない状況)は,責任の分散(という要因)を排除した〔→子どもたちが大人を助けようとするのを妨げた要因として,責任の分散という可能性はありえなかった〕のである。

 

各段落の要約

段落

日本語要約

英語要約

1⃣

傍観者効果が生じる理由は3つあると想定されている。責任の分散と社会的参照と恥ずかしさである。

It is assumed that there are three reasons why the bystander effect occurs: the diffusion of responsibility, social referencing, and shyness.

 

2⃣

子どもにおける傍観者効果を調べるために,ある実験が行われた。

To see the bystander effect in kids, an experiment was carried out.

 

3⃣

傍観者の状況(設定)は2つのパターンがあった。傍観者を利用できない状況と,傍観者を利用できる状況だ。

There were two versions of the bystander condition: the bystander-unavailable condition and the bystander-available condition.

 

4⃣

実験中に,実験者が色水をテーブルにこぼし,被験者である子どもに助けてもらおうとした。

During the experiment, the experimenter spilled colored water on her table, and tried to get the subject kids to help.

 

5⃣

傍観者を利用できない状況ではほとんどの子どもが大人を助けたが,傍観者を利用できる状況では彼らのほぼ半分しかそうしなかった。

 

Most of the kids helped the adult in the bystander-unavailable condition, but in the bystander-available condition, only about half of them did so.

6⃣

この実験は,責任の分散が傍観者効果の重要な要因だということを示した。

This experiment showed that the diffusion of responsibility was an important factor of the bystander effect.

 

100字要約

傍観者効果の要因を調べる実験で,困っている大人の手助けをする子どもの割合は,傍観者の援助が可能な状況では激減した。これは社会的参照や恥ずかしさより,責任の分散が重要な要因であることを示している。 [97字]

 

ワークブック(pp.50-53)解答

Words & Phrases 

1) 効果  2) 個人  3) それに応じて   4) 受動的な,消極的な

5) 異なる 6) 物理的に      7) 利用できない   8) 自分自身で,自ら

 

Word Hunting

1) shyness       2) crowd 3) experiment                    4) cooperator

5) lean  6) spill 7) determine     8) theory        9) factor

 

Paragraph Map

1 Title : c / ➊ 責任,➋ 社会的           2 Title : f / ➌ (1人の)大人,➍ 2人の子ども

3 Title : d / ➎ 傍観者                  4 Title : b / ➏ ペーパータオル

5 Title : e / ➐ 利用できる               6 Title : a / ➑ 責任の分散

 

Summary

➊ responsibility ➋ alone        ➌ low

➍ help  ➎ bystander-unavailable           ➏ bystander-available

 

Summary

Researchers have thought the bystander effect happens for three main reasons: the diffusion of responsibility, social referencing, and shyness.  In an experiment to study this effect in children, kids were told to color a picture while an adult painted a wall.  In one version of the experiment the subject kid was alone with the adult, and in the other there were two other kids near them.  There were two kinds of bystander conditions: where the other two kids were blocked in the corner of the room by the low cardboard wall, and where they were not blocked off by anything.  During the experiment, the adult spilled colored water, and tried to see if the subject kids would help.  Most of them helped when they were alone, and in the bystander-unavailable condition as well, while in the bystander-available condition, only about half of them helped.  The experiment showed that the diffusion of responsibility was an important factor of the bystander effect.

 

Summary訳

研究者は,傍観者効果は主に3つの理由で生じると考えてきた。責任の分散,社会的参照,恥ずかしさである。子どもにおけるこの効果を研究するある実験で,大人が壁に色を塗っている間,子どもたちは塗り絵をするように言われた。一方の実験パターンでは,被験者である子どもは(実験者である)大人と2人きりだったが,もう一方(の実験パターン)ではこの2人の近くに別の2人の子どもがいた。傍観者の状況(設定)には2種類あった。別の2人の子どもが背の低い段ボールの壁によって部屋の隅に封じ込められる場合と,彼らが何にも封じ込められない場合だった。実験中に大人は色水をこぼし,被験者である子どもが助けてくれるかどうか調べようとした。ほとんどの子どもは1人だけ(=大人と2人きり)の場合と傍観者を利用できない状況でも(大人を)助けたが,一方,傍観者を利用できる状況では,ほぼ半分の子どもしか助けなかった。その実験は,責任の分散が傍観者効果の重要な要因だということを示した。