運命と宿命の違いって分かりますか?

今回は、宿命に従うとそういう運命になるというお話。


                 犬嫁日記#34:『出発の時』の巻


嫁さん:「ねえ、暇だったらなんかしたら?」
僕:「なんかって何?」
嫁さん:「もう少し自分を鍛えるようなことしてよ、ダラダラTVとか観てないで。」
僕:「これはDVDだよ。仕事に関係あるし、観ておかないといけないモノなの。」
嫁さん:「もう…そんなこと悠長にやってる場合じゃないでしょ!」
僕:「なんだよ、何を言ってるのか分からないよ。」
嫁さん:「あなたは人が良すぎるのよ!」
僕:「ますます意味が分かりません。何を言いたいんだよ!」
嫁さん:「そんなことでこれから先やっていけると思ってるの?」
僕:「はあ?」
嫁さん:「もっとしっかりしてよ!こんなことじゃ先に進めないよ!」
僕:「お前いいかげんにしろよ、またわけの分かんないこと言って。」
嫁さん:「いいわよ。そんなこと言うんならいつでもこの家出て行ったる!」
僕:「ほら出た。お前はいつも二言めには出て行く出て行くって…」
嫁さん:「甘いわ。ほんとに出て行くから心配してやってるのに。」
僕:「なんだよ、それ?」
嫁さん:「私はもう日本には居られないんだよ。」
僕:「なんで居られないんだよ。」
嫁さん:「それが私の宿命だから。」
僕:「具体的な話をしろよ。全く伝わらないよ、それじゃ。」
嫁さん:「なんで伝わらないのよ!」
僕:「伝わるはずないだろ!なんだよ宿命って。」
嫁さん:「…外国へ行くねん。」
僕:「はあ?」
嫁さん:「外国へ行くの!」
僕:「…いつ?」
嫁さん:「来年には絶対行く。」
僕:「どのくらい?」
嫁さん:「1年以上であることは確か。」
僕:「聞いてないよ、そんな話。」

嫁さん:「今、話したでしょ!止めても無駄だからね。私はどんなことをしても外国で暮らします。」

僕:「何しに行くわけ?」

嫁さん:「様々な国の人たちをこの目で見てくるの。」

僕:「後は?」

嫁さん:「後って?」

僕:「他に目的はないの?」

嫁さん:「後は、…英語を完璧に身に付ける。」

僕:「それだけ?」

嫁さん:「これは私の昔からの夢だったの!もうこんな狭苦しいところ(日本)でちまちま生きるのはうんざりなの!そしてそれを果たさなかったら死ねないの!だからもっとしっかりしてよ!そうじゃないと1人で生きていけないでしょ!」

僕:「…ほんとに行くの?」

嫁:「私が行くって言って行かなかったことがある?」

僕:「ない。」

嫁:「そういうことだから。認めてくれなくても行く覚悟でいるから。」

僕:「…」

嫁:「…」

僕:「死ぬなよ。」

嫁:「え?」

僕:「それだけ約束して。」

嫁:「…大丈夫。私は用心深いから。」

僕:「来年かあ…そんなに時間ないじゃん。」

嫁:「やること一杯あって大変なんだよね。でもとても楽しみ。ワクワクしてる。」


僕:「宿命なら仕方ない。」


                          苦難は次回へ続きます。犬



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