子供の頃、学校に行きたくなくて
親に『風邪をひいた』と嘘をついたはいいけれど
風邪だと信じてもらうためにリアルな演技を必死にやってるうちに
ほんとに体調が悪くなったような
それでいて後ろめたいような変な気分になって
結局学校休めてもあまり楽しくなかったことを覚えています。
犬嫁日記#26:「仕事なら行けません」の巻
以前、といってもずいぶん前の事ですが、
うちの嫁さんはテレホンアポインターの仕事をしていたことがありました。
テレホンアポインターというのは、まあ簡単に言うと電話を使った発信業務です。
声の仕事なので、風邪をひくとなかなかつらい仕事です。
ある朝、僕が仕事に出かけようとしていると
隣りの部屋から
嫁さんが誰かに電話をかけている声が聞こえてきました。
嫁:『もしもし…もしもし……あーあー…もし…もしも…やっぱりダメか…』
僕:『?』
嫁:『もしもし…もしもし……もし…もしも……どうしよう…』
僕:『…ねえ、誰に電話してるの?』
嫁:『…喉の…調子が…悪いからね、電話で仕事を休む…って伝えようと…』
僕:『…え?なに?ごめん聞こえない。』
嫁:『喉が…ゴホンゴホン……あれだから…断ろうと…』
どうやら嫁さんは風邪をひいて喉をやられたらしく、
電話で仕事を休むことを伝えようとしているのですが、
しかし、大きな声を出せないので
電話で上司に話す練習をしていたらしいのです。
僕:『代わりに電話してあげようか?』
嫁:『…そんな…恥ずかしいから…ゴホンゴホン…自分で…』
僕:『…大丈夫?』
嫁:『大丈夫じゃ…ない…から……困っているのであって…だから…』
僕:『……』
これ以上話しかけるとよけい悪化しそうな感じだったので
僕は黙ることに。
しばらくすると、意を決したように電話をかける嫁さん。
嫁:『もしもし…ああ…はい…すいませんが…ゴホンゴホン…』
嫁:『あの…今日ですが…会社を休ませて…』
嫁:『あの…風邪で喉がちょっと…ちょっとっていうかかなり…』
嫁:『……あの、そうじゃなくて…いえ…だから…』
嫁:『だから違います。風邪で、…そう喉がですね、』
嫁:『そんな事言われても、無理ですよこの声じゃ。』
嫁:『え?だって、こんな声で仕事したらお客様だって…』
嫁:『私だったら納得できません。』
嫁:『とにかく、仕事は休みますから!!』
電話を切る嫁さん。
嫁:『休みますって言ってるのに、分からず屋の部長め!!』
僕:『…後半、かなり大きな声になってたよ。』
嫁:『うそ!ほんとに?』
苦難は次回へ続きます。犬