僕の座っているパソコンデスクの上には、今離婚届が置いてあります。

妻と本籍の項目は記入済みです。

なぜ、こんなものがあるのか僕には分かりません。

分からないのでほったらかしてあります。

             犬嫁日記#21:「婚姻届」の巻


みなさんご存知でしょうが、結婚する時には婚姻届を役所に提出しなければなりません。

しかし、これが意外とシンプルで、名前と住所書いたらほぼ終わりです。

あとは証人が2人必要で、それぞれの証人が直筆で署名・捺印する必要があります。

でも、こんな簡単な書類でさえ、僕たち夫婦には大変なエピソードがあるのです。

婚姻届提出前の嫁:「ねえ、このままじゃ今日中に提出するのは難しいんじゃないの?」

僕:「うん、もしかしたら間に合わない可能性もあるよなあ。」

婚姻届提出前の嫁:「私、絶対今日じゃなきゃ嫌だからね。」

僕:「そんなこと言ったって、お母さんが仕事でいないんだから仕方ないじゃない。」

婚姻届提出前の嫁:「いや!絶対今日中に婚姻届を出すの!今日中に出せないなら

一生出さないから。」

僕:「またそういう事を言う。」

婚姻届提出前の嫁:「あなたは本当に結婚しようって気があるの?

なんかやる気が見えへんわ。」

僕:「じゃ、2人の証人誰に書いてもらうんだよ!」

婚姻届提出前の嫁:「そうだ!おじいちゃんとおばあちゃんが家にいるわ。

2人に証人になってもらおうよ。」

僕:「あんまり時間ないけど大丈夫?」

婚姻届提出前の嫁:「わたし、家に行って頼んでくる。あなたは他の手続き終わらせといてね。」

証人が必要なことを知らなかった僕たちは、

当日役所からその事を聞いて困惑しました。

12月25日を結婚記念日にすると前から決めていた嫁さんは、

なんとしてでもその日のうちに婚姻届を提出する為、

おじいちゃんとおばあちゃんに証人になってもらうことにしたのでした。

婚姻届提出前の嫁:「おばあちゃんにお願いしてきた。時間がかかりそうだったから

後でもう一度取りに行って来る。」

しばらく2人でいろんな手続きをした後、嫁さんがおばあちゃんに電話をしました。

婚姻届提出前の嫁:「ねえ、おばあちゃんに聞いたんだけど、おじいちゃんが無理だって言ってる。」

僕:「それは一体どういうことなの?」

婚姻届提出前の嫁:「おじいちゃんの手が震えて、署名できないって言ってる。」

僕:「でも、なんとかなるんじゃない?」

婚姻届提出前の嫁:「1時間かかってまだ苗字が書けないらしいよ。

おばあちゃんがおじいちゃんの手を掴んで震えを止めてるんだけど

上手く書けないみたい。」

僕:「それはちょっとまずいな。もうあんまり時間もないし…」

婚姻届提出前の嫁:「とにかく行ってくる。」

僕たちは役所の前で待ち合わせることに。でもいつまで経っても嫁さんは現れません。

そして役所の業務が終了する数10分前、足早にこちらに歩いてくる嫁さんの姿が。

婚姻届提出前の嫁:「間に合ったね。」

婚姻届提出前の嫁:「おじいちゃん、ここ何年も字なんて書いたことないから

ものすごく大変だったけど、私たちの為だからって言ってすごい頑張ったって、おばあちゃんが。」

嫁さんから手渡された婚姻届には、まるで外人のサインのようなおじいちゃんの名前がありました。

                           苦難は次回へ続きます。犬


ハサミ