不妊手術や腫瘍の切除、口の中の処置などで、全身麻酔を行います。




飼い主さんにとって、麻酔の心配は麻酔事故だと思います。


麻酔から覚めなかったとか、目が見えなくなったとか、
声がかすれてしまった・・・など、怖い話を耳にします。


「麻酔と鎮静ってどう違うんですか?」という疑問をいただく事があります。
あるいは、「麻酔は怖いので鎮静でできないですか?」という表現の場合もあります。


"麻酔"と"鎮静"の違いは??

麻酔と鎮静・・・おそらく獣医療の場合だと、
実際のところ、現場の人間としては、
そんなに意識して使い分けていないと思います。
 
たとえば・・・

 

  • 短い時間の場合は鎮静、長い時は麻酔
  • 注射のみで寝てもらう場合は鎮静、吸入剤を使う場合は麻酔
  • 検査の時は鎮静、処置・手術の場合は麻酔
  • 飼い主さんの不安を煽りたくない時は鎮静、リスクを念押ししたい時は麻酔という用語を使う

 

実際には、使う薬も同じだったり・・・。
これが違いです!という定義はないような気がします
 
イメージとしては、👇こんな感じ・・・

鎮静をずっと続かせたのが麻酔・・・というイメージです。
鎮静の方が安全という訳でもなく、最初から最後まで気は抜けません


 
そのほか時々耳にする不安点としては・・・
 
声がかすれてしまったという話は・・・おそらく気管チューブという管を入れた際の炎症で、
サイズが合わなかった場合に生じますが、麻酔をかけた子が必ずなるというものではありません。
通常は数日で回復します。

麻酔をかけたら失明したという話は、都市伝説的にたまに聞く話です。
あるとしたら・・・処置中の眼の乾燥が原因なのか・・・?
もしくは、抗菌剤(エンロフロキサシン)で失明などの視覚障害が見られたという報告もありますので、
麻酔そのものが原因ではないかもしれません。
 

 

【まとめ】

  • 麻酔と鎮静、あまり大きな違いはありません。
  • 麻酔をかけたら声がかすれた👈おそらく気管チューブによるノドの炎症(通常は数日で回復)
  • 麻酔をかけたら失明した👈抗生剤(エンロフロキサシン)の副作用?(かなり稀なケース)