犬のしつけについて
ワンちゃんは家族の一員であると同時に社会の一員でもあります。人と仲良く生きて行くためには、 ルールやマナーを教えてあげなければなりません。そのために欠かせないのが「しつけ」です。 「しつけ」は、他人に迷惑をかけないためだけでなく、飼い主さんのためでもあり、何よりワン ちゃんのために必要なのです。群れを作って生活してきた犬の歴史から考えても、上下関係がはっ きりしていたほうが安心して生活しやすいのです。人間もワンちゃんも共に幸せな生活を送ってい くために早い時期から、あせらず何度でも繰り返し教えてあげましょう。
犬のしつけ時期
ルールやマナーを身につけさせるためのしつけを始める時期は、早ければ早い程有効です。 お家に到着した日から徐々に、初めは飼い主さんとの信頼関係を築くところから始めましょう。
しつけの基本
しつけの基本は、「良いこと」と「悪いこと」をしっかり覚えることから始まります。そして、 ワンちゃんが飼い主さんの指示にきちんと従えるようになることが大切です。 しかし、しつけのルールはあくまで人間が決めたものです。しつけのできていないワン ちゃん=ダメ犬ではありません。人間が一方的に教え込むだけでなく、まずは飼い主さん がしつけを学び、ワンちゃんの気持ちや行動を理解して上手に従わせることができるよう にならなくてはいけません。しつけはワンちゃんと飼い主さんの共同作業なのです。
犬の気持ちがわかる!失敗しない【犬のしつけ方法】
信頼される飼い主になる
しつけの中にはワンちゃんの本能に反する行動もあります。それに従わせるためには、 なにより飼い主さんとの強い信頼関係を築く必要があります。ワンちゃんは心を許した 人に優しく撫でられることが大好きで、愛着を深め信頼と服従の気持ちを強めます。 毎日、少しずつでもスキンシップの時間をもつことが信頼される飼い主さんになることの第一歩です。
飼い主さんがリーダーになる
群れを作って行動する犬にとって、上下関係は大切で、その群れにはリーダーの存在が必要です。 リーダーが不在だったり群れの順位が不安定だったりすると犬は混乱して精神的に安定しません。 リーダーには忠誠で、服従することはあたりまえで、ほめてもらうことに喜びを感じる本能があ ります。ペットとして生活するワンちゃんにとっての群れは、飼い主さんや家族です。飼い主さ んをリーダーと認めれば、喜んで服従し、ほめてもらいたいと思うのです。
飼い主さんがリーダーになるには
名前を呼んだとき、ほめるとき、叱るときはワンちゃんの目を見る
呼ばれたら飼い主さんの目を見て何を言われるのか、注目させることが第一歩です。名前を呼んで注目できたらほめてあげましょう。
体のどんな部分も触らせるようにする
基本的にワンちゃんは急所である口の周り、しっぽの先、足の先などを触られることで支配されていると感じ、気を許した人でないと嫌がります。 少しずつ慣らして緊張せずに触らせるようになればリーダーとして認めている証拠です。
食餌やごほうびの時間は飼い主さんが決める
食餌は催促されてからあげるのではなく、飼い主さんが時間をコントロールしてあげるようにします。 ごほうびをあげるも号令に上手に従えた時だけです。こうすることで飼い主さんは自分の世話をし てくれるリーダーであると自覚します。
常にワンちゃんより先に立って行動する
玄関などの出入り口では常に飼い主さんが先に出入りすることで、自分が後について従うリーダーであることを覚えます。
一貫性をもって毅然とした態度で接する
ワンちゃんは強くて正しいリーダーに服従することで安心を感じます。その為にもダメなことはダメという毅然 とした態度で叱ったりすることが大切です。そして同じ行為なのに昨日は叱られたけど今日は叱られない、 このような一貫性のない接し方では混乱し、安心して指示に従うことができません。優柔不断や感情的にな ってしまうのも不安になるばかりです。ワンちゃんはあなたの行動を常に観察し、自分にとって信頼できる 存在であるかを見ています。
号令は目を見て短い言葉で統一して
飼い主さんからの指示をワンちゃんが理解するためには、しっかり目を見て短い言葉ではっきりと号令を かけることが大切です。「オスワリ」なのか「スワレ」なのか、人の間でも同じ言葉に統一しないとワン ちゃんは混乱してしまいます。
上手にほめて、上手に叱る
基本的にしつけは、ほめて伸ばすことが大切です。ほめられることが大好きなワンちゃんの習性を理解して、 「良いこと」を覚えてもらう方法が理想的です。 しかし「悪いこと」を覚えさせるためには叱ることも必要です。ほめる時も叱る時も、その方法とタイミングが 重要なので、飼い主さんが正しいほめ方、叱り方をしっかり身につけましょう。
上手なほめ方
ほめるときは、ご褒美をあげる、優しく声をかける、撫でてあげる、一緒に遊ぶなどワンちゃんの喜ぶことをしてあげます。 日頃から何をすればワンちゃんが喜ぶかをしっかり観察しておきましょう。また、ほめるタイミングも重要で、 何かが上手にできたりしたら、その場でたっぷりほめてあげましょう。後でほめてもどの行動がほめられているのか理解できず、 かえって混乱してしまいます。
上手な叱り方
良くない行動をしているときはその最中に、短い言葉できっぱり叱ります。叩いたりヒステリックに怒鳴ったりしても 萎縮するだけで効果はありません。また、ほめるときと同様で現行犯で叱らないと混乱を招いてしまいます。効果的な 叱り方として、「天罰」と「無視」があります。「天罰」とはいたずらなどをしているときに、大きな音などを立てて 一瞬びっくりさせることです。このとき重要なのは誰がやっているかワンちゃんに悟られないことで、わかってしまう とその人を避けるようになってしまうので注意が必要です。「無視」は食べ物が欲しい時や遊んで欲しい時などに飛び つくなど、過剰な催促をするときに有効です。大好きな飼い主さんに無視されることはワンちゃんにとってかなりつら いことで、かまってくれないことがわかればワンちゃんはあきらめるようになります。ここで重要なのは徹底して行う ことで飼い主さんの忍耐がポイントです。
ルールは一貫性をもって
同じ行為をしているのに、ほめなかったり、叱らなかったりするとワンちゃんは混乱してしまいます。 家族全員でルールを統一して、実行することが大切です。
忍耐と愛情
しつけとは飼い主さんとワンちゃんにとっては忍耐の連続です。どんな時でも愛情を持って ワンちゃんと触れ合い、お互いの気持ちを理解しあうという心がけを忘れてはいけません。 「1回叱ったら10回ほめる」そんな温かい気持ちでしつけに望みましょう。