ミネアポリスに住んでいる友人から、本が届いた。

アマゾンで注文して、日本のぼくに送ってくれたのだ。

便利な時代になったものだ。

さて、「校正のこころ」。

本を愛するすべての人に読んでほしい本です!


http://www.amazon.co.jp/校正のこころ-大西-寿男/dp/4422932179/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1259769575&sr=1-1
いまさらですが、90年代のぼくの論文をここに公開しています。



http://www.tsujichoshinjuku.com/archive-1/
「偽装史」    にしの↓フジイ↓おやま


1.
引っ越して小学生になった
男の子が大声ではしゃぐ下ネタの
何がそんなにおもしろいのかわからなくなっていった
それがわたしの不幸の始まりだった
ふたたび引っ越して中学生になった
わたしたちは小声になった
(にしの)

2.
つぎにひそひそと登録しようとすると
いきなり階下のおんなから
ラジオ体操のラジオの部分だけが投げつけられた
そのラジオがわたしの耳にささり 
それがなんだかとってもラジオに見えて
とてもすっぱくうっとうしく 
わたしは走りさりたかった
(フジイ)

3.
やっぱり干し柿キライ
食べたあとがやっかいだから
口の中で反芻される時間がいやらしいことになって
この町もいけすかない
名前も忘れた男が消える
歌が秋みたいに思わせぶりで
わたしは
年をとってうすっぺったい種をぺっと吐き出してやる
(おやま)

4.
裂け目に吐き出された種はジャイロ回転
ぎょっとした金魚を横目に
馬に飛び乗る パカラッパカラッ
ヘルメットには羽飾り
ラジオからは ‘She's Leaving Home’
ペパー大佐にシオコショーをふりかけ
爆音ねちゃねちゃでスクイズ
して
たどりついてしまう
リアルリアリズムの宿
羽飾りに触れてみる
わ/た/し/は
(にしの)

5.
律儀 礼 さようなら イズムちゃん
ゆうべは焼肉を食べましたね
あたりいちめんモウモウと牛がないています
さてこの辺で頭のいいきみは
もう考えはじめている
焼けた洗濯船のうえで
はじ麺の辛さはじ麺の苦さを
1920/1/24 明けぬ朝 おなじように
おなじときを生きようとして
きみの右うではたえられるか
  ※はじ麺・・・国立市内ライブハウスFUKUSUKEにて供される辛味噌茹麺
(フジイ)

6.
ワラッ!
渚で漁撈やってみたんよ文明みたいにして
千葉の九十九里海岸でもよかったけど
渋谷あたりで稲作を始めた農ギャルって呼ばれる今日
アジアで飲んだくれる午後もありましたのよ
論争をミルフイユのように重ねた二丁目の酒場
口臭がひどいあなたがテントを張ってくれた花園神社
境内で何回もいっちゃったわあたし
人生が巡礼のようにつづくのも好きだから
アプスィルモン、って呪文をとなえて
あなたの死んだスツールをラジオにして
生きてんのよ偽装なあたし
この終末を 
ワラッ!
(おやま)

7.
けっこういいとこまでいったのよ
たのしかったし、よかったし、でも
乳白色の肌に詩をそえて
石膏まみれのトイレに流す
ホープフル・モンスターはクローゼットの中
笑いをこらえている、けど
「この宝石は感情という名がついていますの、奥様。天然石なんですのよ。お召しになっている正義のドレスにぴったりですわはははは」
その笑い声は今日も
バリバリ鏡を割る
そのたびに扉があらわれるから
巡礼は半永久的営み
わたしは毎朝メタモルフォーゼ
ねえはいからさん、今日は誕生日じゃない日なの!
ファンファーレが響く
いいところにビューティフル・モンスターがやってきた
わたしは笑いがとまらない
11月はもっとも雄弁な月かもしれない
(にしの)

8.
でもいけなかったのは、その感度さ
詩にけしょうされ焼かれ輪廻する
書かれたものの豚のように不潔な名付け
去勢されたおとこの美しい姿
ま、たたきのうらがわを 
一本のひものようにながされていくと 
ゆびがたりなくって 月が足りなくなって
みたされ唾棄(だ、ッき)だされて
11がポキポキとならし 生まれてしまうなら 
皮がやぶられるデボン紀の液状のまま生きる
そして必ずお好み 
3番にならび資金を右茄子に
そして必ずお好み
ネクタイそして必ずお好み
ね、そして必ずお好みの手順
緑になって
わたし金属がほしい野、ッてか
  ※豚に対しまして不適切な表現がありましたこと、お詫びいたします。
(フジイ)

9.
輪になって他人の死を生きてやった
わ/た/し
詐欺なんかじゃなくて今日を生きて生きて
踏切に何回でも何回でも飛び込んで
今日をリフレインして
偽装なわたしを
繰り返し小学生や中学生になる
いろんな子たちに出会った
野暮なこともしでかして
輪になって他人の死を生きてやった
わ/た/し
スクイズもモンスターもさよなら
永遠のなかでさよなら

中央線たら
こんな日に限って西立川に消えちゃった
のね。この11月に
(おやま)