7月某日

 

 

 昔

 

 お世話になったひとのお通夜に行った。

 

 もう10年近くお会いしていなかった。

 

 「誰かが亡くなると

 

  たくさんの、久しぶりの人に会うものだね」

 

 と、

 

 やっぱり10年近く会っていなかったひとが言った。

 

 ひとつのさようならと、

 

 たくさんのひさしぶり。

 

 「変わらないね」

 

 「10年たったのにね」

 

 

 変わらない人たちの変わらない姿と

 

 遺影の中で笑っている人のもう変わらない顔。

 

 

 泣きたくなくて

 

 わざと楽しい話ばかりした。