専門学校。

そこはまだ開校したばかりで

授業料もなんとか支払える額だった。


面接日当日、

インターネットで聞かれそうな事を調べる。

相変わらず予習もしないダメ学生であった僕は

その場で乗り切るだけのメンタルがあった

そう。この時は結構図太い性格だっただろう

一緒に面接受験をする人が同室にいた

男の子1人…女の子1人。

今考えたらその後一緒に学校生活を送る相手なのだが、名前すら覚えていない。

社会でもそうだが、すれ違う程度なら

顔は何となく覚えていても

名前や人柄なんて興味がないし覚えない。

覚えている範囲だが…

聞かれたことは

なぜこの業界を目指そうと思ったのか、

長所や短所など、

就活をしている人なら簡単に答えられると

思っていたが

お隣の2名は、

なんかたどたどしかった。

おそらく就活はしたことがないのだろう。

見た目も僕より若そうに感じた。

これはチャンスなのでは?と考えた僕は

一気にまくしたてるように自己アピールをした

2人に困ってる面接官が

こちらには笑顔で対応してくれていたのを感じて、優越感に浸っていた。

簡単だなー。

正直、そんな感じで終わった面接だった。


後日、結果が来た。

特待生での合格。

とりあえず安心、なんとか延命したと思った。

そして遊んで過ごせる

学童への道が続いたと思った。

そんなに甘くない世の中なのだが

当時の僕は、そんなことしか考えていなかった。


その中で少しずつ自分の中で

プライドという生き物が高い生物になっていく

考えてみれば当たり前だが、

高校卒業したばかりの18歳と

ある程度ナンパやアルバイトをしてた

大卒では様々な場での経験の違いが出てくる


男性で保育士の学校に入ると

30人位のクラスでは一割未満、

貴重な存在だ。

逆に特別扱いされる。

さらに普通はめんどくさい人間関係で

僕が生き残れた中身で

一つ良かった点は、

その当時、社会人の彼女がいたこと。

彼女がいたおかけで、 

女子に狙われる感覚もなかったし、

女心を分かるお兄さん的な位置にいられた。


これだけの環境が整っていたら

人は簡単にその地位を明け渡さない。


ただ2年の学校生活は大変であった

実習の嵐というくらい

何回も行っていた。

遊ぶ暇は卒業間近の時のみ位だった。

正直、実習は二度としたくない。


ピアノなんて習ったことのない僕は

幼稚園実習でとても苦労した。

実習日は朝5時に起きて7時前に出勤。

16時に終わると実習録を21時まで書き

21時から〜1時までピアノ練習を

繰り返していた。

こんな感じから

実習中は上手くサボっていた。

いや遊びに工夫をしていた。

砂場など動かない所で遊び、

体力を温存していた。

持ち前の人当たりの良さだけで

なんとか乗り切ったようなものだった。


保育園実習は

保育のことは大したことを言われなかったが

挨拶の面を注意された。

初日、2日目と実習終了の際に

部屋の先生方に先に上がる挨拶をしたが

階が違う別フロアの先生は、

初日から一度も自己紹介などもなかったため

挨拶せず

すっと帰ってしまったのだ。

3日目、主任に呼び出されて、注意。

他の階の先生から

帰りの挨拶がないと言われている。

初め聞いた時はビックリした

そんな所まで気を遣わないといけないのか?と

ただ今後の役にはたった。

この機会は僕のスキルアップになった

ただその時は事前行った

観察実習の園で言われたことがなかったので

じゃあ、最初から言ってくれよ。

と、心の中で捻くれていたが…

言われた瞬間に

同時に申し訳なさそうな顔

今、気付いたフリをする自分。

次の日から評価を上げることを考えた

入らなくても良い土曜も笑顔で引き受けたり

見透かされていたのかどうか

分からないが

終わり頃には、

とても良い評価で終わった。

また人生簡単である。


実習の評価はすべてA評価(最高点)だった。

プライドの高い男がまたその階段を登る。


卒業を控えた頃に

ふとした喧嘩から彼女と別れた。

プライド高くなりすぎた男は

自分に勘違いしていた。

その時の僕を見透していたのであろう

身近で社会経験のある彼女に対して

強烈な劣等感を感じていた。

ことあるごとに意見がぶつかった。

そして別れ話を自分の方からした。

彼女は泣いていた。

ただ当時の僕は

それを受け止めるだけの器が全くない

ただの害悪なクレーマーと化していた。


これだけ自信があるやつは

何故かモテる。

口は上手い、少し大人価値感、愛想が良い

彼女と別れてから

卒業までに

完璧なプライド高いクズな男が完成した。


そんなプライド高い学生は

とうとうなりたかった学童の先生がなれる場に

正職員として勤務することになる。


次回 保育士の道 初勤務編。