夜勤を続ける中で、最も自覚しやすい変化の一つが判断力の揺らぎでした。
勤務中は集中しているため、大きなミスをするという感覚はありません。しかし、細かい部分で普段とは違う感覚になることがあります。
例えば、普段ならすぐに判断できることに一瞬迷うことがあります。確認に時間がかかる、あるいは「もう一度見直そう」と感じる場面が増えました。これは夜勤明けに特に強く感じます。
夜勤が終わるのは朝です。その時点で身体は一晩活動しています。帰宅後に睡眠をとっても、十分に回復しているとは限りません。夜勤明けの日は、判断や集中を必要とすることを避けるようになりました。これは自分だけの感覚ではなく、多くの看護師が共通して感じていることでもあります。
看護師の体験談では、「夜勤明けは運転に注意している」「大事な決断はしないようにしている」といった声が見られます。
実際に夜勤を経験するまでは、勤務時間が違うだけだと考えていました。しかし実際には、覚醒時間が長くなること自体が判断力に影響します。
研究では、長時間の覚醒はアルコール摂取時と同程度の注意力低下を引き起こす可能性があることが報告されています。また、慢性的な睡眠不足は注意力、反応速度、意思決定能力に影響することも示されています。
夜勤では、夜間に活動することに加え、日中の睡眠が短くなりやすい傾向があります。さらに交代制勤務では、日勤と夜勤が繰り返されます。そのため、体内時計が安定せず、慢性的な睡眠不足の状態になりやすいとされています。
現在の勤務も、日勤、準夜勤、深夜勤が組み合わされています。夜勤が続いた後は、疲労が抜けきらない感覚があります。集中しているつもりでも、普段よりも確認回数が増えていると感じることがあります。
これは感覚的な問題ではなく、生理学的な背景があります。サーカディアンリズムは覚醒水準にも影響します。通常、深夜から早朝にかけては覚醒水準が低下します。その時間帯に活動することで、認知機能の低下が起こりやすくなります。夜勤では、まさにその時間帯に判断を行います。そのため、勤務中は意識的に確認を増やすようにしています。
これは個人の努力の問題ではなく、勤務形態の特性です。夜勤を続ける中で、判断力の変化を自覚するようになりました。大きな問題が起きる前に、自分の状態を理解しておくことが重要だと感じています。
夜勤は看護師の勤務形態の中で重要な役割を持っていますが、その影響は勤務時間だけにとどまりません。判断力や集中力といった認知機能にも影響する働き方であることを、実際に働く中で理解するようになりました。
出典
・厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針」
・日本睡眠学会「睡眠不足と認知機能」
・Åkerstedt T. Occupational Medicine (2003)
・Kecklund G, Axelsson J. Sleep Medicine Reviews (2016)
・Dawson D, Reid K. Fatigue, alcohol and performance impairment. Nature (1997)
・日本看護協会「看護職員の労働実態調査」