昭和さん
元天井桟敷の役者、昭和精吾さんが逝去された。
昭和さんと我々との出会いは、明兄さんがもたらしてくれたもので。
そもそも、当時の僕は昭和さんのことを存じていなかった。
詳細は省くが、明兄さんが昭和さんとの接点を偶然得たところから話しが始まり、いつもの行動力によって連絡を取り、あれよあれよという間に一緒にお芝居をやることになるという(笑)
お芝居に関しては、いっぱいいっぱいだったこともあって、とにかくなんとかできたというくらいにしか覚えていないんだけど。
確かアンコール的にやってもらった、昭和さんの「アメリカよ」には度肝を抜かれた。
若かりし頃の僕でも、油断すると泣いてしまいそうな、圧倒的な語り、アジテーションだった。
狭い知識しか持たないロック兄ちゃんの脳天なんかはいとも簡単にカチ割られて、改めて明兄さんがこのバンドでやりたいことを認識できたような気がしたのを覚えている。
きっと、凶子の語りにも、唄にも、大きな影響を与えているのだろうな。
渋谷ジァン・ジァンがなくなってから暫くはあまり活動をされてない様子だったけど、最近は精力的に活動されてたので、こんなことになるなんて全く想像もしてませんでしたが。
今年の春に、これまた明兄さんの勘なのかなんなのか、10月発売の新譜「ここから何かが始まる」のレコーディングに参加していただき、時間を共有できたことは財産だし、正規の音源として再び昭和さんの声を録音できたことは誇りに思います。
また同時に、おこがましいようですが、昭和さんの声をより多くの人に広める使命を課していただいたような気がして、身が引き締まる思いでもありますね。
今回の録音を機に、できればもう一度舞台で共演し、昭和さんを知らない音楽ファンの方や、もっと多くの方にあの語りを体感していただく機会を作れればと思ってましたが、叶わぬ夢となりました。
それは残念でなりません。
悲しいです。
昭和さんとの出会いがなければ、いまの犬神サアカス團はなかったと思います。
本当にありがとうございました。
なんて言ったら、いつものふざけた調子で「別に俺は何もしてないよ」って言われそうですが(笑)
我々は昭和さんから教わったことや感じたことを持って、これからもできることを精一杯続けて行くのみですが。
昭和さんの声を継ぐという意味では、昭和さんの側で研鑽を積んだイッキさんやこもださんのような方々もいらっしゃるので、今後のお二人のご活躍にも期待したいです。