ドッグフードの是非、またはメーカーが多すぎてどのフードを与えて良いか分からないという話を聞くことが多い。これに関しての答えが中々難しいのだが、どのメーカー云々の前に、いかにフードが杜撰かということを話したいと思う。

まず、タイトルを見てもらいたい。『ドッグフード』ではなく、『ペットフード』と表記してある。そう、ドッグフードに限らずペットの世界では非常に杜撰な形でフードを作っているのである。
この業界にいると、否応にもフードの話は出てくるものである。

今ではサルの輸入は出来なくなったが、かつてサルなど普通に輸入がされていた当初、モンキーフードなる商品が出ていたのである。(今でもあるが)
黄色くて細長いペレット状のフードなのだが、在庫切れしてしまったので業者に注文の電話をした。

バ 「もしもし、モンキーフード切れちゃったから注文して良い?」

そんな感じで電話を業者に入れるとその業者も品切れ中だという。代用品は野菜にせよ、コオロギにせよ幾らでもあるから良いのだが、お客を長いこと待たせるわけにもいかず早く輸入するよう伝えた。すると訳ありげな言い方で業者がこう言った。

業 「犬バカさん所にリクガメフードありますか?○○っていうメーカーからでてる奴」

バ 「あぁ、あれならあるよ」

業 「じゃあそれを使ってください」

バ 「あれでも良いんだ?」

業 「あれでも良い・・・っていうか・・・・」

バ 「何だよ」

業 「実は・・・・」

バ 「うんうん」

業 「リクガメフードってモンキーフードを着色してるだけなんですよ」

バ 「ええ!!マジ?」

業 「マジです。形が同じでしょ?」

バ 「そういやそうだね」

業 「形だけじゃないんです。色を変えてるだけですから成分も同じなんです」

ペットフードのいい加減さをまざまざと知った一瞬である。
商品名だけを変えていかにも専用食としているように見せかけているが、実は同じものという杜撰さである。ドッグフードだけでなく、ペットのフードそのものがいい加減な形で我々の大事な家族の一員を苦しめているのである。
サルと亀が同じ成分で育つわけがないではないか。方や雑食、方や完全な草食であるのにだ。


さて、もう一つ。
もう14~15年ぐらい前になるかなぁ。当時近所に住んでいた外国人夫婦が我が家から犬を買ってくれた。この際犬種のことは省かせてもらおう。
大変大事に飼っていただいていたのだが、当時はまだドッグフードなど大して多くのメーカーなどなく、皆さんがご存知の有名なものしか出回っていなかった時代である。
どうも夏場だったせいもあって普段の食いつきが悪い。ということで某有名メーカーの缶詰を買ってきて与えようとした所、缶を開けるなりその中に草が混じっていたというのである。いつもとちょっと違う中身に困惑したが、とりあえずフォークで取り出してみるとニョロニョロと長~い何かが出てきたそうである。
まるでソーセージのような外皮の中に草が沢山詰められているような様である。それを出してみると、何とそれはダイレクトに牛の大腸で、消化しきっていない状態の草(ウンコになる直前)が混じっていたのである。ミンチになっておらず、そのまんま缶詰にしていたのである。
それどころかちゃんと腸の中身を洗浄したり、処理したりせずに畜生の食べるものだからと言ってそのままの形で缶詰にしちゃう神経はいかがなものだろうか?
それ以来その夫婦は『ホニャグリー○ャム』を与えようとはしなかった。


さて、お次。
昔近所に有名なダックスのブリーダーがいた。
そのブリーダーの知り合いだったかがドッグフードメーカーに勤めていて見学させてもらった時に二度と友人のフードメーカーは使うものかと怒っていたのを昨日のことのように思い出す。
もうそのブリーダーはお爺ちゃんなのだが、その一件以来色んなドッグフードを使い、「ア○ナとかブ○ック○ッドとかさぁ色々試したんだけど・・・・」と、結構マニアックなメーカーの名前が出てきたのには驚いた。
この世代は 『食えば良い』 という感覚の人が多い中、ちゃんと成分表までしっかりと見て与えてるのを見て熱心だなぁと感じたものである。
で、その爺さんが何を怒っていたかというとだ、工場見学に行ったとき、一台のトラックがフードとなる材料を運んできたそうだ。
ドバドバと荷台からおびただしく肉が溶けて出たジュース(血)を流しながら工場に入ってきたのだが、良く見ると今来た道からずっと向こうまでジュースが点々と続いていたそうである。
トラックの運転手は荷台から肉を蹴り落とし、まるで食べ物を扱っているという感じにはどうみても捉えられなかったという。そのままフックに掛け、ズルズルと地面を擦ったまま工場に肉を運んで行ったそうである。
工場の中は企業秘密なのか入れてくれなかったらしいが、中からはガソリン臭い匂いが漂っていたという。友人の話では殺菌する為の液体に浸けていると説明を聞いたらしいが、ガソリンで処理してる業者も実はあるのでもしかしたらここもそうではないかと思ったらしい。
今時10キロ千円程度の粗末なフードを与える人もいないだろうが、食べれば何でも良いという考えの人には持って来いの老舗メーカーだということだけ言っておこう。

そうそう!その老舗メーカーだけではないのだが、かつて豊富にフードの種類がなかった時にそのメーカーのフードを使っていた人達からよく聞く話があった。それはフードの一粒一粒に毛が生えているということだ。
カビ?と思ったのだが、どの人も熱心に 「あれは絶対に人毛ですよ」 とマジな顔で訴える様子を見て、どうやら本当らしいことが分かった。
実際に見せてもらうことがあったのだが、う~ん、確かに人間の毛っぽい感は否めない。
中には毛根がしっかりとあって、放置しておくと、お菊人形のように毛が伸びるのだと言う人もいた。ここまでくるとオカルトの世界である。
家畜の毛が混じることは今でも多少はある。だが人間の毛となると話は違ってくる。
そう言えば昔日本でも人毛で醤油を作っていたことがあるが、そんな感覚で人毛のケラチンをたんぱく質と見立ててそこまで酷く家畜の飼料として使っているのだろうかと思った。もしそうだとしたら 「なめんなよ」 と言いたい。

もっとぶっちゃけて怖い話をすると、日本ではありえないが、外国のメーカーでは殺処分した犬や猫を処理してドッグフードに混ぜていたという事実がある。共食いなんて言って冗談ぬかしてる場合ではない。道徳問題以前の行為である。
この話に尾鰭ハヒレ付いて 『保健所で殺された犬や猫はリサイクルされて動物園の肉食獣の餌になる』 という噂が出たのだ。これに関しては完全に噂だけであるが、ドッグフードの原材料が犬猫だったと言う事実はモノホンである。
結局このメーカー達は(一社だけではない)リサイクルの一環としてリコールされなかったと記憶しているが、もう20年ぐらい前の話ではあるが、今でもちょくちょくこういった話を聞く。
畜産処理場が国、政府の管轄外ということで、生き物の肉を化学薬品を使って処理することが出来る。
ドッグフードの表示義務により、表記すべき内容は 『肉と骨を使用した食品』 と明記すれば何ら問題ないという所にある。

次回また話すが、牛やその他の家畜を殺処分する時に使う薬が肉に残留して、それを食した家畜が肝臓、腎臓に大きな影響を及ぼしたりする。
そして防腐剤としてフードに使用しないように言われているのが悪名高き3大防腐剤である、BHA、BHT、そしてエトキシキンである。
ブチル系の薬品は発癌物質として特に胃癌になるとして防腐剤として使うことを禁止されているが、直接使わない限り残留物までは管理しないという所が人間の食べるものとペットが食べる物の違いである。

こういったペットフードの危険性が囁かれ出したのはペットフード全盛期であった90年初頭ぐらいからである。この頃になると女性誌でペットフードは危険だという記事が掲載されて一気に騒ぎ始めた。
その奔りとなった話がキャットフードを食べた赤ちゃんがペニシリンの副作用で死亡という記事が出てからであろう。
ドライタイプのキャットフードを親が見てない隙に常食してたと見られ、心筋炎で死亡したという話を聞いたことはないだろうか?
分析の結果1gあたり31.9マイクログラムのペニシリンが検出され、FDA(米国食品医薬品局)が許容とする数値が0.05マイクログラムだから約600倍の許容範囲を超えたペニシリンを服用していたことになる。
後付で添加されたものではなく、恐らく肉自体に残留していたのではないかとも言われている。
こんなものを子供が口にして元気でいれるわけがない。また、ネコだっていくら腎臓や肝臓が強いったってこんな粗悪なものを食わされて健康であるわけがない。
犬猫のアレルギー疾患や心臓病、腎臓肝臓病などが増えたのはペットフードが出てきたからだという人も多い。私もそう思う。
だが、毎日手作りで沢山の犬達に与えるのはかなり困難で、『完全栄養食』と謳っているのならそれを信じて与えたいというのが飼い主としての心情ではないだろうか?
安かろう悪かろうはペットフードではモロに出てくる。しかし、高ければ良いものかと言われればそうでもないところが難しいところであるが、こだわれば必然的に高くなるのは当然のことである。

決して私はペットフード不買行為を起こしたいのではない。熱心に良いものを大事なペットに与えたいという飼い主の想いを無視してこのような杜撰な感覚で商品にして我々のペットの口に入れようとしている金だけが目当ての悪質な業者もいるということだ。
今回のこの記事を読んだらきっとペットフードを与えることに抵抗を感じるかもしれないが、全てのメーカーがこのように杜撰ではないことを付け加えておく。
次回もフードの話が出来たらと想っているが、今回はメーカーの話やら業者間での裏話があるのでファン限定にした次第である。