日曜、早朝の道玄坂
週末。
名残りを惜しむカップルが集う、最終電車の東京駅。
行楽地から戻る、渋滞の高速道路。
仕事に追い回されて思い出すことも少ない。だが、我々が日々通り過ぎていく場所にも、蓄積されたストーリーがある。
渋谷 ―私は当時二十歳そこそこのガキで、彼女は十九だった。彼女は当時流行っていたジャニーズのファンで、よく彼の話をした。今度どこに現れるとか、どこで普段遊んでるかとか、そんな話だ。よく知らないタレントだった。そして、私は彼女と別れると決めていた。
一回でいいの?と彼女は言った。
私はホテルの古い浴槽に目をむけ、うん、と言った。
私はそれ以上、彼女に欲情することができなかった。うまく言うことはできない。好きだったのに。長い間、私の中で何かが死んでいくような気がしていた。性器が反応しなくなっていたのは、その時に始まったことでなかった。そして私は別れたい、と言った。
帰りの道玄坂―彼女は泣いていた。
私は黙って彼女の手を引き、足早に渋谷駅へ歩いた。どう振舞っていいか分からなかった。彼女は手を勢いよく振り払った。大声でムカツク!!と言った。彼女は私の性器を罵倒した。通行人が私を凝視する。動揺した。
だが、テレビみたいだ、と思った。
日曜日早朝。道玄坂のカップルたちを見ると、私は何ともやりきれない気持ちになる。もうすぐバレンタインデー。道玄坂はケーキやチョコレートを持ち込む客で賑わうだろう。
出来れば幸せなストーリーを目にしたいものである。
この記事は、結婚生活支援コミュニティ「CoCoMarri」協賛のブログ記事コンテストにエントリー中です。
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名残りを惜しむカップルが集う、最終電車の東京駅。
行楽地から戻る、渋滞の高速道路。
仕事に追い回されて思い出すことも少ない。だが、我々が日々通り過ぎていく場所にも、蓄積されたストーリーがある。
渋谷 ―私は当時二十歳そこそこのガキで、彼女は十九だった。彼女は当時流行っていたジャニーズのファンで、よく彼の話をした。今度どこに現れるとか、どこで普段遊んでるかとか、そんな話だ。よく知らないタレントだった。そして、私は彼女と別れると決めていた。
一回でいいの?と彼女は言った。
私はホテルの古い浴槽に目をむけ、うん、と言った。
私はそれ以上、彼女に欲情することができなかった。うまく言うことはできない。好きだったのに。長い間、私の中で何かが死んでいくような気がしていた。性器が反応しなくなっていたのは、その時に始まったことでなかった。そして私は別れたい、と言った。
帰りの道玄坂―彼女は泣いていた。
私は黙って彼女の手を引き、足早に渋谷駅へ歩いた。どう振舞っていいか分からなかった。彼女は手を勢いよく振り払った。大声でムカツク!!と言った。彼女は私の性器を罵倒した。通行人が私を凝視する。動揺した。
だが、テレビみたいだ、と思った。
日曜日早朝。道玄坂のカップルたちを見ると、私は何ともやりきれない気持ちになる。もうすぐバレンタインデー。道玄坂はケーキやチョコレートを持ち込む客で賑わうだろう。
出来れば幸せなストーリーを目にしたいものである。
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