『大器晩成』
すぐれた器量の人は 往々にして
遅れて大成するということ。
(新明解 国語辞典より)


もう 長ーーーーい間、
大器晩成型だと 言われ続け
気付けば すっかり
四十路にズブズブと足を突っ込み
こうして日々
かき分けかき分け もがきながらも
力一杯 突き進んでおりますが。

一向に
私の大器は 晩成していく予兆もなく。
そもそも
大器なのかすら 疑わしく。
きっといつか!と思っていた
この 淡々しい望みも
今さら
すこぶる怪しいものとなっております。

それにしても
大器晩成型なのだと思い込むのも 
随分 図図しい話ではありますが、
いったい 何故ゆえに
大器晩成型だと
信じていたのかと申しますと。


昔、まだ私が子どもだった頃。
突然 家に
占い師を名乗るおじさんがやってきて
こう 言ったそうな。

「この子は 大器晩成だね」と。

昔は 訪問販売ならぬ
訪問占いがあったのよ!と母は言いますが
これって 全国的でしょうか?
エェッ!?
またまた 我が地方だけの 
謎の風習みたいなものじゃないでしょうね?
エェッッ!
ちがうの?どうなの??
もしや 書いちゃいけない 、
アブナイことじゃないでしょうね??
毎度ですが 不安になってきましたよ・・

・・まぁ、とにかく。

その 流しの占い師さんが
大器晩成型だと断言したらしく、
それ以来、
私が なにかしくじったとしても
「大丈夫 大丈夫、大器晩成なんだから!」
と、いいのか悪いのか
いつも なぐさめられておりました。

幼心に
こんな私も
いつか花咲く日がやってくるに違いないと
かすかな希望を胸に抱き
ついに ここまで生きてまいりましたが
それも いまや 風前の灯。

流しの占い師のおじさんよ!
ざっくりしたこと言わないでおくれよっ!!

さらには そのおじさん、
「この子は 家督を継ぎ、
すごーく歳上の男性と一緒になるよ」と断言。

実を言うと
私は 〇代目にあたる、跡取り娘だったので
その予言のような言葉には
一族郎党 もろ手をあげての大喜び。
ヨシッ!デカシタ!と大満足で
皆 小躍りしておりました、が。

さてさて、どうでしょう!
今 現在といえば。

ワタクシ、勝手に 嫁ぎまして。
結局、家督は 継がずで。
さらに夫は、2歳だけ年上です。

どういうことなの、おじさーんっ!!!!!
ぜんぜん違うじゃーん!!!
ニアピン賞もあげられないよっ!!!!!


こうなってくると
いよいよ怪しい、大器晩成説。
いつか花咲く日は来るのでしょうか?
いくらなんでも
晩成にも 程があるってものですよ。
そもそも、晩成って どんなことだろな?

そんなことを思いつつも、まぁいいか。
かすかな希望を胸に、
明日も 四十路をかき分けかき分け
生きていこうと思います。