ある日、
一本のカセットテープを渡され、
「これを聞きなさい」と言われました。
テープには
井上陽水さんの楽曲が
みっちり録音されています。
小学1年生に 井上陽水。
毎晩聞きながら眠りました。
しつこいようですが 小学1年生です。

食事の準備のお手伝いをしながら
オフコースを聞き、
母とお風呂に入りながら
中島みゆきさんの曲を聞く。
そしてどこでも ユーミンが流れ
フォークソングやニューミュージック、
さまざまなアーティストの
数々の名曲に包まれる日々。

しかし、すべては 親の趣味。
小学生の頃から この状態で
音楽に関しては 
同級生と なかなか話が合いませんでした。
少年隊に チェッカーズ、
光GENJIの あの頃に です。
担任の先生だけが
私の話に付き合ってくれました。

ある日、
「大河ドラマを観た方がいいよ」
と言われ
時代劇みたいなものは苦手だったので
「なんで観なきゃならないの?」
と聞くと
その返答は
「大人になって 会社に勤めたら、大河ドラマの話でおじさんたちと会話できるからだよ。」
だったのです。
・・・なんという 答え!


謎の教育方針のもと、
大人になり、就職。
配属先は 私以外
全員 気の良いオジサンという部署。
飲み会のカラオケでは
青春時代の思い出をくすぐる選曲により
オジサンたちを和ませ、
「そんなことまで知っているのか!なかなかやるなぁ!」と
あの時代を、懐かしのドラマを、
“語り合える女性社員”として
仲間に入れてもらえたのでありました。

ある意味、これは 即戦力なのか。
仕事のできない新入社員も
ムードメーカーくらいには なれたのです。
謎の教育方針の
真の狙いは、そこだったのか。
いやぁ、そんなはずはないわよねぇ。

すべては 偶然の産物、のはずです。