【岸田政権は、アメリカによる日本への中距離ミサイル配備を受け入れるであろうことについて】

9月29日に実施された自民党総裁選挙の結果、岸田文雄氏が新総裁に選出されました。岸田氏は、事実上、次期総理大臣に就任することになります。



メディアは、岸田氏勝利の背景として、安倍氏が暗躍したとか、岸田・高市連携の結果であるとか、小石河連合(小泉・石破・河野)は何をしでかすかわからないため敬遠されたのだ、などと報道しているようです。

しかしながら、これらの報道は、真実から国民の目をそらすための煙幕です。

真実は、アメリカとイギリスが、日本を、中国攻撃の拠点に作り変えようとしているということです。

かねてより、アメリカとイギリスは、親中国派の二階幹事長を外し、反中国派の人物を首相および幹事長に据えることを計画していました。[1]


[二階自民党幹事長と習近平中国主席]

総裁選挙において、岸田氏はいち早く総裁以外の党役員の任期を3期3年までとする考えを示しました。すでに幹事長職を5年以上務める二階氏の排除が目的であることは明らかでした。今回の岸田氏の新総裁就任は、まさにアメリカとイギリスの意向を反映するものだったと言えるでしょう。

二階氏は、2016年、安倍政権下において幹事長に就任しましたが、安全保障の分野で対米べったりの安倍首相に対し、親中国派の二階氏が幹事長に就任することで、経済的には日本と中国の結び付きが強まり、バランスの取れた政権運営が実現しました。

その後、安倍氏が首相を退任し、菅義偉氏が首相になると、政権の後ろ盾としての二階氏の影響力がさらに強まり、その結果、たとえば、菅首相が、インド太平洋版のNATOは作る必要はないと明言し、対中国包囲網に反対する考えを示すなど、安倍政権に比べ、菅政権は中国寄りの政権運営となりました。[2]

これに対し、来る岸田政権は、安倍氏(アメリカ隷属派)・麻生氏(イギリス隷属派)の支援が政治基盤であるため、菅政権に比べ、よりアメリカ・イギリス寄りの政権運営になるものと思われます。

当面、(1)アメリカによる日本への中距離ミサイル配備に対する対応、(2)アメリカ・イギリスから原子力潜水艦の技術供与の打診があった際の対応、そして、(3)TPPに対する中国および台湾の参加表明への対応が焦点になると思われます。

アメリカは、中国攻撃のため日本に中距離ミサイルを配備する計画です。[3]

イギリスは、100年前同様、日本を利用するため、日本との間で事実上の日英同盟復活を目指しています。

アメリカとイギリスは、すでに中国包囲網の一環として、オーストラリアに原子力潜水艦の技術供与ならびに核兵器転用可能な高濃縮ウランの供与を約束していますが、日本に対しても、同様の打診があるでしょう。

さらに、アメリカとイギリスは、中国が新疆ウイグル自治区で強制労働を行っているという捏造情報に基づき、日本に対し、価値観の違う中国はTPPから排除し、価値観を共有する台湾はTPPに加入させるよう要求してくると思われます。中国と日本の経済的結び付きを弱めるためです。

多くの日本のみなさんは、メディアが伝える瑣末な事象に目を奪われ、この大局的な動きに気付いていません。世界史を知らないからです。国家安全保障(大国の手口)を知らないからです。

アメリカとイギリスは、アフガニスタンを西の拠点、日本を東の拠点にして、中国を東西二つの戦線から挟撃する計画です。

アフガニスタンからは、反中国のテロリスト・グループが中国の新疆ウイグル自治区に対してテロ攻撃をかけます。やがて重装備がアメリカから支給されるでしょう。

一方、日本には北京・上海を射程範囲に収めるアメリカの中距離ミサイルが配備されます。そして、間もなく起こる台湾紛争の際に実際に使用されます。日本が拒んでもミサイルは発射されます。発射ボタンはアメリカが握っているからです。

総裁選期間中の討論において、アメリカによる日本への中距離ミサイル配備についてコメントを求められた際、岸田氏は「全く否定するものではないが、中距離ミサイルにどんな搭載能力があるのか、どこに配置するかによって国民の理解は変わってくる」と語り、日米両国の調整が必要だと発言しました。沖縄など南西諸島や奄美諸島へのミサイル配備であれば、本土の国民は受け入れるとたかをくくっているのでしょう。岸田氏はミサイル配備に反対しません。[4]


[ロッキード・マーチン社が開発中の中距離ミサイルLRHW]


[2019年8月、アメリカが実施した地上発射型中距離ミサイル発射実験]

アメリカとイギリスは、軍事紛争によって発生する中国の社会的混乱に乗じて、中国全土で反政府運動・反政府クーデターを起こし、一気に中国の体制を崩壊させる計画です。

その過程で、中国から反撃のための弾道ミサイルが日本に発射され、日本本土は焦土となるでしょう。それも、アメリカとイギリスの計画に織り込み済みです。なぜなら、その結果、アメリカを脅かす世界第2位および第3位の経済大国(中国と日本)を壊滅させることが出来るからです。


[九州・琉球列島・奄美諸島から中国本土に対する中距離弾道ミサイル攻撃(出典: Tightening The Chain, 2019, CSBA)]

多くの日本のみなさんは、首相に誰がなっても何も変わらないと思っているでしょう。しかしながら、今回の首相交代は、多くの日本人のみなさんの生と死を分けることになります。何もしなければ、間もなく多くの日本人が死ぬことになります。

現在、アフガニスタンでは、アメリカ・イギリス側のタリバン・メンバーと中国側のタリバン・メンバーが激しい内部抗争を繰り広げています。

たとえば、今回のカブール攻撃を指揮し、タリバンの国防大臣に就任したアブドゥル・カユム・ザキールは、キューバに存在するグアンタナモ・アメリカ軍基地に長期間収容されていた人物です。収容中に、すっかりアメリカ側に立つよう洗脳されたことでしょう。かつて、岸信介が戦犯として拘留中にアメリカ側に立つよう洗脳されたのと同じ手法です。[5]

今後、アメリカとイギリスの指示により、タリバン政権内では、粛清や暗殺が繰り返され、中国側のタリバン・メンバーが政権から消えていく可能性があります。そのあと、すっかりアメリカ・イギリス派となったタリバンによる中国に対する本格的な攻撃が開始されます。

一方、東アジアでは、アメリカ海軍、イギリス海軍、日本の海上自衛隊、インド海軍、オーストラリア海軍による演習が繰り返されるでしょう。

そして、間もなく台湾が独立宣言を行い、中国を台湾紛争に引きずり込むことになるでしょう。その際、最前線となるのは日本本土です。

日本の自衛隊は、消耗品として最前線に投入されます。自衛隊員の損耗率は8割を超えるでしょう。

これに対し、アメリカとイギリスの軍艦は、中国のミサイルの射程範囲外で海上封鎖をかけるだけです。

間もなく実施される総選挙で野党の立憲民主党が多くの議席を獲得しても、事態は変わりません。

立憲民主党の枝野代表は、アメリカの民主党と協力関係にあるからです。

立憲民主党は集団的自衛権を認めた安保法制に反対の立場ですが、9月27日、枝野立憲民主党代表は、中国が台湾に侵攻した場合、「対応する米軍基地が日本の領土にある以上、集団的自衛権行使を容認しなくても、わが国の個別的自衛権行使の要件をほぼ満たす」との見解を示しました。

枝野氏の見解は全くの詭弁です。個別的自衛権は、日本が攻撃されたとき日本の防衛のために行使される自衛権です。中国が武力統一のために台湾に侵攻することは、中国の内政問題であり、日本への攻撃ではありません。枝野氏の解釈は、個別的自衛権の意味を歪めるものです。立憲民主党が政権につけば、台湾有事の際、日本本土は間違いなく戦場となります。[6]


[訪米時、アメリカ民主党議員と会談した際の立憲民主党枝野代表]


また、岸田氏は、親中国派の二階氏を自民党幹事長から外し、反中国の甘利明氏を幹事長に任命することを決定しました。甘利氏は、第2次安倍政権において、TPP担当大臣としてTPP交渉のとりまとめを行った人物です。

当時のTPPは、アメリカの多国籍企業が加盟国の市場で不利益を受けた場合、仲裁機関で相手国を訴えることが出来るISDS条項を含むなど、アメリカ多国籍企業が加盟国の主権より優位に立ち、アジア市場を支配するとともに、中国を排除する内容でした。当時、甘利氏は、TPP担当大臣としてアメリカの要求を次々と受け入れ、他の国々に対しても受け入れを斡旋するなど、アメリカ隷属・中国排除の姿勢を露わにしていました。[7]


[アメリカのフロマン通商代表と談笑する甘利TPP担当大臣(当時)]

その後、トランプ大統領がアメリカのTPP離脱を決定したため、TPPは、アメリカ抜き・ISDS条項抜きの内容に変わっていましたが、今後、甘利氏が自民党幹事長として外交にも影響を及ぼすとすれば、ISDS条項を復活させ、TPPにアメリカを復帰させるため活動すると思われます。

さらに、甘利氏は、TPPへの参加を表明している中国に対しては人権問題を理由としてこれを排除し、他方、同じくTPPへの参加を表明している台湾に対しては同じ価値観を共有するとして歓迎すると思われます。

甘利氏は日本と中国の経済関係を悪化させようとするでしょう。日本経済は中国との輸出・輸入で支えられています。日本の景気が大幅に後退します。

確かに、岸田氏自身は、元々ハト派の政治家です。岸田氏の出身派閥の宏池会も、かつて大平派の際に親中国であったように、元来ハト派の派閥です。岸田氏にしてみれば、今回、二階氏排除を打ち出し、総裁選期間中、中国に対し厳しい発言をしたのも、安倍氏・麻生氏の支持を取り付け、総裁選に勝利するための方便だったのかも知れません。

たとえば、岸田氏は、総裁選にともなうテレビ討論番組の中で、オーストラリアの原子力潜水艦導入に関しコメントを求められた際、「原子力潜水艦について、日本の安全保障体制を考えた場合、どこまで必要なのか。・・・わが国の潜水艦体制の最大の弱点は人員の確保だ。秘匿性が求められる、長期間勤務につかなければならない、こういったことで人が集まらない。潜水艦体制の弱点である処遇改善、人員確保を優先的に考えるべきだ。」と発言しています。[8]


[アメリカ海軍のヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦]

また、一旦、自民党総裁そして首相になってしまえば、人事権を始めとして絶大な権限が手に入りますから、岸田氏は、ある程度安倍氏・麻生氏から距離を置いた政権運営を始めることも可能性としてはあり得ます。しかしながら、それはあくまでも日本の国内だけに事情を限った場合の話です。

安倍氏の背後にいるアメリカから強力な指示・命令が出されています。岸田内閣の組閣に時間がかかっているのも、岸田氏→安倍氏→アメリカ→安倍氏→岸田氏というように伝言に時間がかかるからです。

今回、岸田氏が、党役員並びに主要大臣の選任にあたり、反中国の甘利幹事長を始めとして、安倍氏(アメリカ隷属)および麻生氏(イギリス隷属)の派閥に所属する議員を多数登用し、その一方で、二階派の議員を党役員から完全に排除したことから見て、今後、岸田政権は、安全保障の分野でも、経済・通商の分野でも、アメリカ隷属、反中国の姿勢を打ち出していくものと思われます。


このような事態を受け、中国は二階氏に代わるキーパーソンを模索し始めるでしょう。現在、日本の貿易相手は、輸出・輸入ともに中国がトップです。その経済的な結び付きを基盤として、そして、中国ビジネスを大切と考える日本企業を通じて、中国は日本の政権に対して影響力を維持し続けるでしょう。

今回の総裁選に立候補した野田聖子氏が二階氏に代わり、親中国派のキーパーソンになる可能性があります。野田氏は、幹事長補佐として二階幹事長を支えてきました。今回、推薦人集めに苦労する野田氏が立候補出来たのも、二階派から8人もの議員が推薦人に名を連ねたおかげです。


[幹事長記者会見において、二階幹事長を補佐する野田幹事長代行]

総裁選期間中、野田氏は中国寄りの発言を繰り返しました。

野田氏は、テレビ番組の討論会において、中国に対するスタンスを問われた際、「日本は近隣諸国との衝突を避けなきゃいけないっていう努力をしなければいけない」と述べた上で、平和主義を守り抜かなければいけないと強調しました。

続けて「大切なことは触発しない、相手に言い訳を作らせないような距離感が外交であると思っています。そういった意味では中国とは経済的に深く関わりがあるし…。ただ今、現在は米中の問題がありますから、ミサイル等も中国は軍事費を重ねる中で短距離、中距離とどんどん数も距離も伸ばしている中で、私たちがやるべきことは米中を対立させるのではなくて、双方に足がかりがある国として賢い交渉役として収めていく。そういう行司役を買って出る必要もあるんだろう、そうするべきなんだと私は思っています」と述べました。[9]

その上で、アメリカによる日本への中距離ミサイル配備については、「結論ありきの議論は極めて危険だ。日本は文字通り非戦を誓っている平和主義だ。軍備の話から始める抑止力というのは考えられない。まずは外交で改善していかなければいけない」と強調しました。[10]

また、野田氏は、中国の環太平洋連携協定(TPP)加入申請について「世界経済の安定のため前向きに検討すべきだ」と述べています。[11]

さらに、野田氏は候補者の中で唯一森友問題の再調査の必要性に言及しました。[12]

岸田氏は、総裁選後の記者会見で、他の3人の立候補者を重要ポストで処遇することを明言しています。

たとえば、岸田氏は、来年発足するこども庁の初代長官就任を見据えて、野田氏をこども問題担当大臣として、入閣させるかも知れません。

その場合、野田氏は、こどもたちを守るという立場から、安全保障や近隣諸国との友好関係についても発言出来るかも知れません。

ただ、仮に野田氏が重要ポストについたとしても、総理大臣は岸田氏ですから、野田氏の政権に対する影響力には限界があります。


このような状況の下、戦争を防ぎ、多くの日本人のみなさんの命を救うためには、政治を政治家任せにせず、国民のみなさん自身が真実を知り、アメリカとイギリスの策謀に反対する必要があります。

アメリカとイギリスは、一部の日本の政治家をコントロール出来ますが、数千万人の日本人をコントロールすることは出来ません。多数の日本人が真実に覚醒し、アメリカとイギリスの策謀に反対すれば、戦争を防ぎ、日本人の死傷者数を減らすことが出来ます。

まず第一に真実を知ること、そして、次に反対の行動を起こすことが大切です。国民の皆さんは、政治家の事務所に電話をし、ファクスを送り、メールを送ることが出来ます。SNSを使い、情報を拡散することも出来ます。友人と政治議論をすることも出来ます。デモを行うことも出来ます。

現在は、世界史の大きな転換点です。イギリス・アメリカ主導の戦争と略奪の時代から、中国が主導する平和と相互繁栄の時代への転換点です。

かつて、みなさんの祖父、曾祖父、高祖父は、世界史を知らず、国家安全保障を知らなかったため、何も出来ませんでした。明治維新以降はイギリスに利用され、太平洋戦争では、アメリカ軍の空襲から逃げ回るだけでした。イギリスとアメリカに利用されるだけでした。

これに対し、現在のみなさんは、世界史の流れを変え、世界史を進める一部になることが出来ます。戦争と略奪の時代から、平和と相互繁栄の時代へ、人類を進化させることが出来ます。

日本が、アメリカとイギリスの計画に反対すれば、アメリカとイギリスの計画は頓挫します。世界史を変え、前進させる力は、みなさんの中にあります。

ひとりひとりの日本人が、それぞれの立場・持ち場で出来ることを行い、アメリカとイギリスの計画を頓挫させれば、東アジアの平和が保たれ、日本の経済的繁栄も続くでしょう。

他方、アメリカとイギリスの計画が成功すれば、日本本土は焦土となり、数十万・数百万、場合によっては数千万人の日本人が文字通り消滅することになるでしょう。

アメリカおよびイギリスと関係を断つ必要はありません。今後も、アメリカおよびイギリスと良好な経済関係・外交関係を継続すべきです。

しかしながら、アメリカとイギリスが日本を拠点として中国を攻撃する計画は頓挫させるべきです。


参照資料:
(1) 「アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階氏や今井氏など」2020年7月30日、ニューズウィーク

(2) 「首相『インド太平洋版のNATO作る考えない』、徴用工では韓国牽制」2020年10月21日、産経新聞

(3) 「米軍、アジアに対中ミサイル網 6年で2.9兆円要望」2021年3月5日、日本経済新聞

(4) 「高市氏と河野氏が激論 米ミサイル網配備めぐり」2021年9月19日、産経新聞

(5) 「『タリバン核心に米CIA要員存在』…中国で広がる陰謀説」2021年8月31日、中央日報

(6) 「台湾有事、個別的自衛権で対応 枝野立民代表」2021年9月18日、スポーツ報知

(7) 「行司役まで務め…『TPP交渉』米国の使い走りだった甘利大臣」2015年10月5日、日刊ゲンダイ

(8) 「『原子力潜水艦は必要か』総裁選4候補の考え方ー河野氏、高市氏は前向き、岸田氏、野田氏は慎重」2021年9月27日、東洋経済

(9) 「岸田文雄氏、『報ステ』で野田聖子氏に外交安全保障政策を質問『中国に対してどういうスタンスで対応?』」2021年9月18日、スポーツ報知

(10) 「高市氏と河野氏が激論 米ミサイル網配備めぐり」2021年9月19日、産経新聞

(11) 「中国TPP加入に前向き 自民・野田幹事長代行」2021年9月17日、時事ドットコム

(12) 「森友問題で野田氏『調査する必要ある、国民納得せず』 他候補は否定」2021年9月17日、朝日新聞


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
私自身は、いずれの政党・政治団体にも所属していません。あくまでも一人の市民として、個人として発言しています。民主主義と平和を実現するために発言しています。