【日本は激化する米中対立を傍観するのでなく、米中が妥協に到達出来るよう政治・経済・技術的に最大限助力すべきことについて】

日本にとって最大の問題は安全保障です。米中対立が激しくなれば最も苦しい立場に追い込まれるのは日本です。軍事衝突が起これば戦場になるのは日本です。日本は激化する米中対立を傍観するのでなく、米中が妥協に到達出来るよう政治・経済・技術的に最大限助力すべきです。

公務員であれ、ビジネスマンであれ、報道関係者であれ、自由業であれ、ボランティアであれ、労働者であれ、学生であれ、それぞれの職業・立場で米中間の妥協を促進するため、出来ることを行うべきです。




1. アメリカ大統領選挙の見通しについて

11月のアメリカ大統領選挙では、民主党のバイデン前副大統領が現職のトランプ大統領に対し勝利すると思われます。

民主党は、元々は労働組合や黒人・ヒスパニックなど少数者寄りのリベラル派政党でしたが、すでにヨーロッパ系国際金融資本や情報通信産業など大資本の利益を代弁する政党になっています。

現在、民主党の政治基盤であるヨーロッパ系国際金融資本や情報通信産業は、中国の経済的攻勢にさらされています。中国は、デジタル人民元導入を通じ、より効率的な金融ビジネスを展開し、アジアやアフリカで人民元の国際通貨化を実現しようとしています。また、中国のファーウェイは5Gの分野で事実上の世界標準を確立し、中国は、自動運転、IoT、AIサービスなど次世代の成長ビジネスを制覇する勢いです。

このような状況の下、ヨーロッパ系国際金融資本や情報通信産業などの大資本は、バイデンを大統領にすることで、アメリカ政府の力を使い、何としてでも中国を押さえ込もうとしています。そのため、11月の大統領選挙では、バイデン前副大統領が勝利します。



このため、新しいバイデン民主党政権は、これまでの民主党政権とは異なり、中国に対して厳しい姿勢を取るでしょう。中国企業に対する締め付けが続けられ、さらに、新疆ウィグル自治区やチベット自治区での人権問題も問題にされるでしょう。民主党副大統領候補のカマラ・ハリスは、インドのバラモン階層(最上級階層)の血筋です。バイデン政権は、インドを取り込み、中国と激突させるでしょう。米中対立は、より一層激化します。

選挙的には、トランプ大統領はコロナウィルス対策の失敗と景気後退・失業率の増加、さらに人種間対立の激化のあおりを受け、敗北します。人種間対立激化の結果、黒人やヒスパニック層の投票率が増加し、ペンシルベニア州やオハイオ州、ミシガン州、ウィスコンシン州などのいわゆるスイング・ステートでバイデンが勝利します。


2. アメリカ大統領選挙の日本への影響について

日本には、どのような影響があるでしょうか?。

これまでアメリカの民主党政権下では、必ず株の大暴落が発生してきました。クリントン政権下でも、オバマ政権下でも、株の大暴落が発生しました。バイデン政権下でも、株の大暴落が発生します。目的は、大資本と富裕層が保有する株の持ち替えと中国に対する経済的攻撃です。

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株の大暴落は、日本の官製バブルの崩壊がきっかけになるかも知れません。いずれにせよ、世界的な株の大暴落は、日本の官製バブルを崩壊させます。日本の景気が大きく後退し、大量の失業者が発生します。


[2019年8月、アメリカが実施した地上発射型中距離ミサイル発射実験]

また、1960年代のケネディ民主党政権では、ソ連とのミサイル・ギャップが問題とされましたが、バイデン政権では、東アジアにおける中国とのミサイル・ギャップが問題とされるでしょう。その結果、バイデン政権は、日本に対してアメリカの中距離ミサイル配備を受け入れるよう求めるでしょう。核弾頭装備の中距離ミサイルの配備になるかも知れません。東アジアの軍事的緊張がきわめて高くなります。


日本の政局にはどのような影響があるでしょうか?。

日本では、当面、自公政権が続きますが、官製バブルの崩壊と大幅な景気後退を受け、次の総選挙では、自民党が大敗するでしょう。公明党は、政権政党としての地位を維持するため、自民党との選挙協力を止め、立憲民主党と選挙協力をするかも知れません。その場合、自民党の若手議員は軒並み落選し、一気に政権交代が実現します。

ただ、新しい立憲・公明政権は、官製バブル崩壊に対しなすすべもなく、右往左往するだけでしょう。一時的な給付金の支給では、景気回復は実現しません。


[訪米時、米国民主党議員と会談した際の立憲民主党枝野代表]


[訪米時、保守系シンクタンク外交問題評議会の研究員と会談する立憲民主党枝野代表]

立憲民主党の枝野代表は、結党後行われた総選挙の直後にアメリカを訪問し、アメリカ民主党議員や外交問題評議会の研究員と会談しています。立憲・公明政権は、アメリカ政府の指示を受け、経済産業省の分割や日本企業切り売りの環境づくりを行うでしょう。景気回復は実現しません。

その結果、再び、総選挙が行われ、自民党と維新の党を中核とする極右政権が実現するかも知れません。その場合、アメリカの要請を受け入れ、日本に核弾頭搭載の中距離ミサイルが配備されることになるでしょう。
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[九州・琉球列島・奄美諸島から中国本土に対する中距離弾道ミサイル攻撃(出典: Tightening The Chain)]

もし仮に台湾が独立宣言を行い、台湾危機が生ずれば、中国と台湾・アメリカの間で軍事衝突が発生します。さらに、集団的自衛権の適用により日本も中国への攻撃に参加することになります。日本に配備された中距離ミサイルが中国への攻撃に使われ、日本は戦場となり、日本は中国の容赦ないミサイル攻撃にさらされることになるでしょう。

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[中国の移動式中距離弾道ミサイル「東風21」]


3. 日本は、米中が妥協に到達出来るよう最大限助力すべきことについて

大資本に政治を任せていると上記のようなシナリオが実現します。

上記のようなシナリオが実現しないためには、日本国民のみなさんが、政治を政治家や官僚任せにせず、自ら情報を集め、自らの判断で決定し、行動する必要があります。

日本にとって最大の問題は安全保障です。米中対立が激しくなれば最も苦しい立場に追い込まれるのは日本です。軍事衝突が起これば戦場になるのは日本です。日本は激化する米中対立を傍観するのでなく、米中が妥協に到達出来るよう政治・経済・技術的に最大限助力すべきです。

公務員であれ、ビジネスマンであれ、報道関係者であれ、自由業であれ、ボランティアであれ、労働者であれ、学生であれ、それぞれの職業・立場で米中間の妥協を促進するため、出来ることを行うべきです。

たとえば、日本の企業が中国企業と事業を行うとき、アメリカ企業を参加させることが考えられます。現在、アメリカの主要産業はサービス産業です。アメリカのサービス企業、たとえば、アメリカのコンサルティング会社、エンジニアリング会社、ソフトウェア会社、法律事務所、保険会社、物流会社などを参加させることが考えられます。日本が、中国とアメリカの妥協の橋渡しとなるわけです。



また、学術的交流、スポーツ交流、医療交流、芸術・文化的交流の分野においても、日本が中国と協力する際、アメリカを参加させることが考えられます。日本が、中国とアメリカの妥協の橋渡しとなるわけです。米中日合作で、映画やドラマを製作することも考えられます。





さらに、技術的にも、たとえば、5Gの分野において、中国ファーウェイの5G規格とアメリカの5Gの規格の両方で使用可能な機器を開発するなど、インターネットの分断を防ぐ技術的貢献を行うことなどが考えられます。日本が、中国とアメリカの妥協の橋渡しとなるわけです。



バイデン政権の政治的基盤は、ヨーロッパ系国際金融資本と情報通信産業です。そのため、バイデン政権は、中国共産党政権を崩壊・転覆させることが目的ではなく、最終的に、ヨーロッパ系国際金融資本と情報通信産業が満足するような形で中国との間で妥協を成立させることが目的です。バイデン政権が中国に対し厳しい態度を取るのも、少しでも有利な条件で妥協を成立させるためです。

日本は、中国とアメリカが早期に妥協に到達するよう、様々な形で側面支援すべきです。なぜなら、それが米中対立の激化を防ぎ、中国、アメリカ、日本が、平和な環境の下、経済的に繁栄し、それぞれの国民生活が豊かになることにつながるからです。


ちなみに、大統領選挙後、大統領職を離れたトランプ氏に対し、様々な刑事的責任の追及が行われることになると思われます。

日本でも、政権交代後、国会が選任する特別検察官の制度を創設し、安倍、麻生を始め、虚偽、改竄に関わった全ての公務員を刑事罰で罰するべきです。又、捜査権限・検察権限を私物化し、恣意的に運用した警察官僚および検察官については、職権乱用罪で処罰すべきです。また、日銀機能を破綻させた日銀幹部に対しては、善管注意義務(Fiduciary Duty)違反に基づき、個人賠償責任を追及すべきです。それが、法の支配を徹底させ、政権の私物化と一部特定利益のための政治が再び行われることを防ぐからです。


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
私自身は、いずれの政党・政治団体にも所属していません。あくまでも一人の市民として、個人として発言しています。民主主義と平和を実現するために発言しています。