【合成生物兵器の脅威について】



2018年、アメリカ国防総省は、米国科学アカデミーに委託し、合成生物兵器の脅威とこれに対する防御に関する報告書を作成させました。[1][2][3]

従来の生物兵器が炭疽菌など既存の生物を培養して兵器として利用するのに対し、合成生物兵器は、遺伝子工学や分子生物学などの合成生物学を応用することにより、既存の生物を加工して全く新しい生物を開発し、これを兵器として利用するものです。

同報告書によると、合成生物学の発達により、国家や特定集団、あるいは個人でさえ、比較的小規模の研究施設で、新たな合成生物兵器を容易に開発・製造出来るようになっているそうです。



既存の生物を加工することにより、合成生物兵器は、より感染性の強い、より強力な生物兵器となります。

このため、同報告書は、合成生物兵器が、国家やテロリストによって開発され、使用される可能性に関し、警鐘を鳴らしています。



合成生物兵器に対する防御として、同報告書は、公衆衛生システムの改善とワクチン開発能力の強化を提案しています。

公衆衛生システムの改善は、新たな症例が発見されたとき、素早い処置、報告、情報共有、隔離措置の実施を可能とします。

ワクチン開発能力の強化は、合成生物兵器に対する治癒と感染拡大の阻止を可能とします。

ちなみに、合成生物兵器への対応を担当するFBI担当官によると、合成生物兵器は、特定の建物や都市への脅威にとどまらず、一国家の人口を大きな割合で減らすだけの破壊力があるそうです。[4]


参照資料および関連資料:
(1) "Synthetic Biological Weapons May Be Coming. Here’s How To Fight Them.", Futurism.com, June 21st, 2018

(2) Biodefense in the Age of Synthetic Biology, The National Academies Press, 2018

(3) "US military wants to know what synthetic-biology weapons could look like", MIT Technology Review, June 19th, 2018

(4) "FBI Agent: Synthetic Biology Could Reduce Our Population", Old-Thinker News, May 28th, 2014


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
私自身は、いずれの政党・政治団体にも所属していません。あくまでも一人の市民として、個人として発言しています。民主主義と平和を実現するために発言しています。