【5G時代のイノベーションとインテリジェント社会の共創:ファーウェイによる新しい経営形態・経営理念について】
11月16日、名古屋市内の愛知大学名古屋キャンパスで、愛知大学国際中国学研究センター、中国経済経営学会の共催によるシンポジウム「ファーウェイと米中貿易戦争ー中国のイノベーションは何処へ?ー」が開催されました。
シンポジウムには、講演者としてファーウェイ・ジャパン代表取締役社長の陳浩さんが参加され、「5G時代のイノベーションとインテリジェント社会の共創」について基調講演をされました。ご講演後、陳社長とお話をすることが出来ましたので、以下ご報告させて下さい。


[愛知大学名古屋キャンパス]
陳社長は、中国語で基調講演をされました。事実とデータに基づき、非常に力強く、自信に満ちたお話のされ方で、きわめて説得力があり、カリスマ性を感じました。まさにファーウェイの勢いを感じさせるご講演でした。


[ファーウェイ・ジャパン陳浩代表取締役社長]
陳社長によると、昨年ファーウェイは、2億台の携帯端末を販売しており、アメリカによる制裁の影響は感じていないとのことでした。「ヨーロッパ市場でも初めは参入を拒否されたが参入出来た。将来、アメリカ市場にも必ず参入出来る。」とおっしゃっていました。
5Gに関しては、すでに世界各国60の通信事業者と40万基の5G基地局納入契約を結んでおり、年末までに100の事業者、70カ国との契約になるだろうとのことでした。
5Gの応用として、すでに中国の鉱山では、無人の大型トラックによる鉱石輸送が実現しているとのことでした。人間が運転していたときと比べ走行スピードが上がり、より効率的な輸送が可能となったそうです。

また、上海のコンテナ積み出しターミナルでは、5Gをコンテナ・クレーンの制御に応用しているとのことでした。これまで、1台のクレーンを1人の作業員が作動していたのに対し、5Gを応用することで、6台のクレーンを1人の作業員で作動することが出来るようになったそうです。

5Gの応用として、自動運転の分野では、スマートカーの開発と同時に、スマート道路の開発も重要となるだろうとのことでした。

5Gは、IoTはもちろん、高度医療やスマート送電、スマートシティなどにおいても応用されるとのことでした。
5Gは、あらゆる産業において応用が可能であり、5Gは、産業と産業、ビジネスとビジネス、人と人とを結びつけ、より豊かで効率的な社会を実現するとのことでした。
なお、2011年の東北大震災の際、放射能汚染の危険の中、ファーウェイの技術者はいち早く防護服姿で現地入りし、通信サービスの復旧作業にあたったそうです。陳社長は、必要とされるところにファーウェイは行く、とおっしゃっていました。

ご講演後、陳社長にご挨拶をし、5Gに関し、ご質問をさせていただきました。陳社長は、ヨーロッパに14年間赴任していたご経験をお持ちとのことで、英語でご質問したところ、とても流暢な英語でお答え下さいました。
まず、陳社長に、金融産業や電子マネーの分野において、5Gはどのように応用されるのか、金融産業や電子マネーと5Gが組み合わされることで、どのような応用が産み出されるのか、お尋ねしました。それに対し、陳社長は、「ファーウェイは5Gテクノロジーを提供するのみです。第三者(THIRD PARTIES)が、その応用を創造します。」と答えました。
ファーウェイの強みは、通信テクノロジーとその研究開発に集中しているところにあると理解しました。実際、ファーウェイの18万人の従業員のうち、なんと8万人が研究開発に従事しているそうです。ファーウェイは、様々な産業分野の企業と協力し、5Gの通信テクノロジーを提供することで、顧客にソリューションを提供するそうです。
次に、陳社長に、中国政府が進める「一帯一路」、いわゆる21世紀のシルクロードにおいて、5Gはどのような役割を果たすのか、お尋ねしました。すると、意外なことに、陳社長は、「ファーウェイは、一帯一路に関わっていません。」と答えました。
ファーウェイは、中国政府から独立して経営を行っているという意味であると理解しました。多くの中国大企業は政府が株式を保有する国営企業であるのに対し、ファーウェイは完全な私企業です。ファーウェイの全ての株式は、ファーウェイの従業員組合が保有しており、ファーウェイは、株式を公開していません。そのため、大株主や政府のコントロールを受けることなく、ファーウェイは自在に経営を進めることが出来るそうです。ファーウェイがきわめて迅速な経営判断・経営決断をすることが出来るのも、また、巨額の研究開発投資を維持出来るのも、それが理由だそうです。

さらに、シンポジウム後半のパネルディスカッションの際、陳社長に対し、「中国は、5Gおよび5G派生ビジネス(自動運転、IoT、高度医療、AIサービス、スマートシティ等々)における主導的地位に基づき、今後、台湾や韓国の電子産業を統合して行くのか?さらに、日本の電子産業も統合して行くのか?」とお尋ねしました。
それに対し、陳社長は、「世界的な協力関係(GLOBAL COOPERATION)は大切です。ファーウェイは、現在、日本企業から部品調達を行っていますが、今後さらに日本企業からの部品調達を増やしたいと考えています。」と答えました。
世界的な協力関係の中に、台湾や韓国との関係強化が含まれていると理解しました。膨大な5Gインフラ需要および5G派生ビジネス需要への機器・部品供給を通じ、台湾や韓国の電子産業は、中国に統合されて行くものと予想されます。

今回、陳社長のお話の中で、最も印象的だったのは、「5G技術あるいは6G技術は、ファーウェイだけの資産ではなく、人類共有のプラットフォームだ。」との発言でした。ファーウェイは、すでに5G実現のために必要な必須特許の17%を押さえ、世界各国と5G関連機器の納入契約を結び、事実上の世界標準を形成しつつあります。しかしながら、ファーウェイは、5G技術を秘匿し独占するのでなく、ライセンス契約を通じて技術を広め、オープンにしていく方針です。
陳社長のお話からは、5Gの利益を自分たちだけで独占するのでなく、世界各国のパートナーと協力し、共に成長し、繁栄していこうという姿勢が感じられました。それを通じ、人類をより高い次元に引き上げようという姿勢が感じられました。
西側企業が株主利益極大化を理由に、ともすれば社会的責任を忘れがちであるのに対し、ファーウェイには積極的に社会に貢献しよう、より良い社会を作って行こうという新しい経営形態・新しい経営理念があるように感じられました。
11月16日、名古屋市内の愛知大学名古屋キャンパスで、愛知大学国際中国学研究センター、中国経済経営学会の共催によるシンポジウム「ファーウェイと米中貿易戦争ー中国のイノベーションは何処へ?ー」が開催されました。
シンポジウムには、講演者としてファーウェイ・ジャパン代表取締役社長の陳浩さんが参加され、「5G時代のイノベーションとインテリジェント社会の共創」について基調講演をされました。ご講演後、陳社長とお話をすることが出来ましたので、以下ご報告させて下さい。


[愛知大学名古屋キャンパス]
陳社長は、中国語で基調講演をされました。事実とデータに基づき、非常に力強く、自信に満ちたお話のされ方で、きわめて説得力があり、カリスマ性を感じました。まさにファーウェイの勢いを感じさせるご講演でした。


[ファーウェイ・ジャパン陳浩代表取締役社長]
陳社長によると、昨年ファーウェイは、2億台の携帯端末を販売しており、アメリカによる制裁の影響は感じていないとのことでした。「ヨーロッパ市場でも初めは参入を拒否されたが参入出来た。将来、アメリカ市場にも必ず参入出来る。」とおっしゃっていました。
5Gに関しては、すでに世界各国60の通信事業者と40万基の5G基地局納入契約を結んでおり、年末までに100の事業者、70カ国との契約になるだろうとのことでした。
5Gの応用として、すでに中国の鉱山では、無人の大型トラックによる鉱石輸送が実現しているとのことでした。人間が運転していたときと比べ走行スピードが上がり、より効率的な輸送が可能となったそうです。

また、上海のコンテナ積み出しターミナルでは、5Gをコンテナ・クレーンの制御に応用しているとのことでした。これまで、1台のクレーンを1人の作業員が作動していたのに対し、5Gを応用することで、6台のクレーンを1人の作業員で作動することが出来るようになったそうです。

5Gの応用として、自動運転の分野では、スマートカーの開発と同時に、スマート道路の開発も重要となるだろうとのことでした。

5Gは、IoTはもちろん、高度医療やスマート送電、スマートシティなどにおいても応用されるとのことでした。
5Gは、あらゆる産業において応用が可能であり、5Gは、産業と産業、ビジネスとビジネス、人と人とを結びつけ、より豊かで効率的な社会を実現するとのことでした。
なお、2011年の東北大震災の際、放射能汚染の危険の中、ファーウェイの技術者はいち早く防護服姿で現地入りし、通信サービスの復旧作業にあたったそうです。陳社長は、必要とされるところにファーウェイは行く、とおっしゃっていました。

ご講演後、陳社長にご挨拶をし、5Gに関し、ご質問をさせていただきました。陳社長は、ヨーロッパに14年間赴任していたご経験をお持ちとのことで、英語でご質問したところ、とても流暢な英語でお答え下さいました。
まず、陳社長に、金融産業や電子マネーの分野において、5Gはどのように応用されるのか、金融産業や電子マネーと5Gが組み合わされることで、どのような応用が産み出されるのか、お尋ねしました。それに対し、陳社長は、「ファーウェイは5Gテクノロジーを提供するのみです。第三者(THIRD PARTIES)が、その応用を創造します。」と答えました。
ファーウェイの強みは、通信テクノロジーとその研究開発に集中しているところにあると理解しました。実際、ファーウェイの18万人の従業員のうち、なんと8万人が研究開発に従事しているそうです。ファーウェイは、様々な産業分野の企業と協力し、5Gの通信テクノロジーを提供することで、顧客にソリューションを提供するそうです。
次に、陳社長に、中国政府が進める「一帯一路」、いわゆる21世紀のシルクロードにおいて、5Gはどのような役割を果たすのか、お尋ねしました。すると、意外なことに、陳社長は、「ファーウェイは、一帯一路に関わっていません。」と答えました。
ファーウェイは、中国政府から独立して経営を行っているという意味であると理解しました。多くの中国大企業は政府が株式を保有する国営企業であるのに対し、ファーウェイは完全な私企業です。ファーウェイの全ての株式は、ファーウェイの従業員組合が保有しており、ファーウェイは、株式を公開していません。そのため、大株主や政府のコントロールを受けることなく、ファーウェイは自在に経営を進めることが出来るそうです。ファーウェイがきわめて迅速な経営判断・経営決断をすることが出来るのも、また、巨額の研究開発投資を維持出来るのも、それが理由だそうです。

さらに、シンポジウム後半のパネルディスカッションの際、陳社長に対し、「中国は、5Gおよび5G派生ビジネス(自動運転、IoT、高度医療、AIサービス、スマートシティ等々)における主導的地位に基づき、今後、台湾や韓国の電子産業を統合して行くのか?さらに、日本の電子産業も統合して行くのか?」とお尋ねしました。
それに対し、陳社長は、「世界的な協力関係(GLOBAL COOPERATION)は大切です。ファーウェイは、現在、日本企業から部品調達を行っていますが、今後さらに日本企業からの部品調達を増やしたいと考えています。」と答えました。
世界的な協力関係の中に、台湾や韓国との関係強化が含まれていると理解しました。膨大な5Gインフラ需要および5G派生ビジネス需要への機器・部品供給を通じ、台湾や韓国の電子産業は、中国に統合されて行くものと予想されます。

今回、陳社長のお話の中で、最も印象的だったのは、「5G技術あるいは6G技術は、ファーウェイだけの資産ではなく、人類共有のプラットフォームだ。」との発言でした。ファーウェイは、すでに5G実現のために必要な必須特許の17%を押さえ、世界各国と5G関連機器の納入契約を結び、事実上の世界標準を形成しつつあります。しかしながら、ファーウェイは、5G技術を秘匿し独占するのでなく、ライセンス契約を通じて技術を広め、オープンにしていく方針です。
陳社長のお話からは、5Gの利益を自分たちだけで独占するのでなく、世界各国のパートナーと協力し、共に成長し、繁栄していこうという姿勢が感じられました。それを通じ、人類をより高い次元に引き上げようという姿勢が感じられました。
西側企業が株主利益極大化を理由に、ともすれば社会的責任を忘れがちであるのに対し、ファーウェイには積極的に社会に貢献しよう、より良い社会を作って行こうという新しい経営形態・新しい経営理念があるように感じられました。