【仮に米中対立が軍事衝突に至り、アメリカが中国に対し海上封鎖を実施しても、その目的を達することは困難であることについて】
日本国内ではほとんど報道されませんでしたが、中国は、現在、貨物用コンテナの中に格納される超音速巡航ミサイルの開発・配備を進めているそうです。その場合、普通のコンテナ船が突如軍艦に早変わりすることになります。[1]:


この兵器は、将来、仮に米中間で軍事的対立が生じた際に,、大きな役割を果たすような気がします。以下、ご説明させて下さい。
アメリカのトランプ大統領は、5月末に訪日した際、横須賀に停泊中の自衛艦「かが」とアメリカの強襲揚陸艦「ワスプ」を視察しました。これは言うまでもなく中国に対する軍事的な威嚇が目的です。日本の海上自衛隊がアメリカ海軍と協力して中国に対処するというメッセージを伝えることが目的です。「かが」にはF35戦闘機が搭載される予定です。ちなみに、「かが」と同名の旧帝国海軍の空母「加賀」は1937年の上海事変の際、中国への空爆実施に参加しました。


現在、アメリカは米中貿易戦争やファーウェイ排除を通じ、中国への締め付けを強化しています。今後、米中対立はさらに悪化し、長期化するかも知れません。2020年には台湾の大統領選挙が予定されており、アメリカは南シナ海で陸軍も参加する大規模な演習を実施する予定です。[2]
アメリカは、中国の経済的・軍事的・科学技術的台頭に脅威を感じており、仮に貿易戦争や中国企業への締め付けを通じて中国の台頭に歯止めをかけることが出来ない場合、最終的に、中国に対し軍事的な圧力を加え、中国の体制に揺さぶりをかけようとするかも知れません。
たとえば、台湾大統領選で当選した台湾大統領が台湾独立を宣言して中台間で軍事的紛争が発生したり、南シナ海で偶発的な衝突が発生したりした場合、それが米中の本格的な軍事的立にエスカレートすることが考えられると思います。
その場合、アメリカは、中国の中距離弾道ミサイルの射程範囲から空母などの主要な海上戦力を退避させた上で、遠距離から中国に対し海上封鎖をかけると思われます。[3][4]
アメリカ海軍は、日本の海上自衛隊やオーストラリア海軍・インド海軍さらにイギリス海軍・フランス海軍とも協力し、マラッカ海峡からインド洋にかけて海上封鎖を実施すると思われます。中国の貨物船やタンカーを拿捕して中国の海上輸送を断ち、中国の経済を混乱させ、中国の体制に揺さぶりをかけることが目的です。海上封鎖は、敵対国に対するアメリカの常套手段です。


しかしながら、アメリカおよびアメリカに追随する諸国による中国に対する海上封鎖は、その目的を達することが困難であると思われます。以下の理由が考えられます。
まず第一に、仮に海上封鎖が実施されても、中国は陸路を通じ、エネルギーや貨物の輸入を行うことが可能です。とくに天然ガスや原油については、戦略的パートナーシップの関係にあるロシアからの輸入を拡大するでしょう。そのほかの貨物についても、鉄道・道路輸送により輸入を行うことが可能です。
第二に、仮に海上封鎖が実施された場合、中国は、タンカーや貨物船を船団に編成し、これに軍艦を護衛に付けて、輸送を行うことが考えられます。アメリカなどの軍艦は、中国のタンカーや貨物船に対し臨検や拿捕を行うことが困難になります。

さらに、中国は、先ほどご紹介した超音速巡航ミサイルを格納した貨物用コンテナを普通の貨物船に搭載し航行させるかも知れません。その場合、中国軍艦の護衛がなくても、アメリカなどの軍艦は、中国貨物船の臨検・拿捕を行うことが非常に難しくなります。うっかり近づいて臨検・拿捕を行おうとしたら、いきなり超音速巡航ミサイルで攻撃されるかも知れないからです。アメリカなどの軍艦には超音速巡航ミサイルに対する防御手段がありません。逆に、撃沈されることになります。


軍艦を建造するには何年もかかりますが、超音速巡航ミサイルを格納したコンテナであれば、貨物船に搭載するだけですから、1日で武装が完了します。同型コンテナを300基製造しておけば、300隻の貨物船が武装可能となります。現在、中国の軍艦は約300隻なので、戦力が一気に2倍の600隻になります。(アメリカの軍艦の数は約300隻です。)
アメリカなどは、超音速巡航ミサイルによる攻撃を避けるため、中国の貨物船・タンカーに対し潜水艦による攻撃を行うことを試みるかも知れません。しかしながら、海中の潜水艦からは貨物船が巡航ミサイルで武装しているかどうかの識別は不可能です。仮に武装していない民間船をいきなり攻撃すれば、無差別の虐殺になります。潜水艦による海上封鎖も困難です。
逆に、超音速巡航ミサイル格納コンテナを搭載した貨物船は、中国の中距離弾道ミサイルによる攻撃を避けるためにグアム島やパラオ方面に退避しているアメリカの空母などに近づき、攻撃をかけるかも知れません。
また、あらかじめ、超音速巡航ミサイル格納コンテナを搭載した貨物船をアメリカ本土や日本本土近くに航行・停泊させておき、有事の際、アメリカ本土や日本本土に攻撃をかけることも可能です。アメリカは、これまで戦場は中東やアジアだと思っていたかも知れませんが、アメリカ本土が戦場になります。弾頭に小型の核爆弾を搭載しておきアメリカ本土上空で起爆すれば、人間が殺傷されることはありませんが、電磁パルスにより、アメリカの電子機器や送電網などのインフラが使用不可能になります。
一方、仮にアメリカと中国が軍事的に対立した場合、イランやロシアは陽動作戦を実施するかも知れません。たとえば、イランは中東地域で、ロシアはヨーロッパで軍事活動を活発化させるかも知れません。さらに、この時とばかり、イランは、サウジアラビアに対し攻勢をかけるかも知れません。ロシアは、ウクライナやバルト3国に侵攻するかも知れません。中国で手いっぱいのアメリカは、対応出来ないことになります。
また、中国は、アメリカ本土や日本本土に対し、強力なサイバー攻撃をかけるでしょう。金融システムや通信システムが麻痺することになります。日本には、サイバー攻撃に対する防御の手段も、反撃の手段もありません。

さらに、様々な破壊工作も実施されるでしょう。アメリカや日本の原発のすぐ近くで原因不明の爆発が起こるかも知れません。
アメリカは、国内のシェールオイルやシェールガスの生産により原油や天然ガスの輸入比率が低下しており、有事の際も、エネルギー調達に困ることはないと思っているかも知れません。しかしながら、アメリカ国内に網の目のように張り巡らされた天然ガス・パイプラインが、破壊工作の標的になる可能性があります。石油輸送列車が標的になるかも知れません。

宇宙空間にも戦場は拡がるでしょう。アメリカの通信衛星や軍事衛星、GPS衛星などが攻撃の対象になるでしょう。
安倍政権は、トランプ大統領が訪日した際、日米同盟の強固さを示すことが出来たとはしゃいでいたようですが、日本は防諜能力が低く、重要な軍事情報は日本から筒抜けになるでしょう。
また、日本は、伝統的に攻撃することばかりに専念し、反撃されることを考えませんが、仮にアメリカに追随し、日本が、中国に対する海上封鎖に参加した場合、日本は、逆に、中国から海上封鎖を受ける可能性があると思います。中国と異なり、日本は陸路で輸入することが出来ません。日本ほど、海上輸送に依存している国はありません。中国から逆に海上封鎖を受けた場合、日本には深刻な経済危機が生じるものと思われます。
アメリカは、アメリカ・ファーストというナショナリスティックな立場を止め、中国・ロシアやEUとの間で妥協を成立させ、多極主義に基づく、新しい世界秩序を構築して行くことが必要であると思います。
国連で、人類運命共同体の観点から、対立でなく妥協を通じ、共存共栄のルールを定めて行くべきです。
また、日本は対米盲従と官製バブルから脱却し、拡大するユーラシア経済と再生可能エネルギー普及拡大を通じ、経済成長すべきです。
参照資料:
(1) "China Building Long-Range Cruise Missile Launched From Ship Container", March 27th 2019, The Washington Free Beacon
(2) "US Army’s ‘Defender Pacific’ drill to focus on South China Sea scenario", March 27th 2019, Defrense News
(3) "The U.S. Military Needs To Study World War II If It Wants to Beat China in a War", April 5th 2019, The National Interest
(4) "AirSea Battle: A Point-of-Departure Operational Concept", 2010, CSBA
註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
私自身は、いずれの政党・政治団体にも所属していません。あくまでも一人の市民として、個人として発言しています。民主主義と平和を実現するために発言しています。
日本国内ではほとんど報道されませんでしたが、中国は、現在、貨物用コンテナの中に格納される超音速巡航ミサイルの開発・配備を進めているそうです。その場合、普通のコンテナ船が突如軍艦に早変わりすることになります。[1]:


この兵器は、将来、仮に米中間で軍事的対立が生じた際に,、大きな役割を果たすような気がします。以下、ご説明させて下さい。
アメリカのトランプ大統領は、5月末に訪日した際、横須賀に停泊中の自衛艦「かが」とアメリカの強襲揚陸艦「ワスプ」を視察しました。これは言うまでもなく中国に対する軍事的な威嚇が目的です。日本の海上自衛隊がアメリカ海軍と協力して中国に対処するというメッセージを伝えることが目的です。「かが」にはF35戦闘機が搭載される予定です。ちなみに、「かが」と同名の旧帝国海軍の空母「加賀」は1937年の上海事変の際、中国への空爆実施に参加しました。


現在、アメリカは米中貿易戦争やファーウェイ排除を通じ、中国への締め付けを強化しています。今後、米中対立はさらに悪化し、長期化するかも知れません。2020年には台湾の大統領選挙が予定されており、アメリカは南シナ海で陸軍も参加する大規模な演習を実施する予定です。[2]
アメリカは、中国の経済的・軍事的・科学技術的台頭に脅威を感じており、仮に貿易戦争や中国企業への締め付けを通じて中国の台頭に歯止めをかけることが出来ない場合、最終的に、中国に対し軍事的な圧力を加え、中国の体制に揺さぶりをかけようとするかも知れません。
たとえば、台湾大統領選で当選した台湾大統領が台湾独立を宣言して中台間で軍事的紛争が発生したり、南シナ海で偶発的な衝突が発生したりした場合、それが米中の本格的な軍事的立にエスカレートすることが考えられると思います。
その場合、アメリカは、中国の中距離弾道ミサイルの射程範囲から空母などの主要な海上戦力を退避させた上で、遠距離から中国に対し海上封鎖をかけると思われます。[3][4]
アメリカ海軍は、日本の海上自衛隊やオーストラリア海軍・インド海軍さらにイギリス海軍・フランス海軍とも協力し、マラッカ海峡からインド洋にかけて海上封鎖を実施すると思われます。中国の貨物船やタンカーを拿捕して中国の海上輸送を断ち、中国の経済を混乱させ、中国の体制に揺さぶりをかけることが目的です。海上封鎖は、敵対国に対するアメリカの常套手段です。


しかしながら、アメリカおよびアメリカに追随する諸国による中国に対する海上封鎖は、その目的を達することが困難であると思われます。以下の理由が考えられます。
まず第一に、仮に海上封鎖が実施されても、中国は陸路を通じ、エネルギーや貨物の輸入を行うことが可能です。とくに天然ガスや原油については、戦略的パートナーシップの関係にあるロシアからの輸入を拡大するでしょう。そのほかの貨物についても、鉄道・道路輸送により輸入を行うことが可能です。
第二に、仮に海上封鎖が実施された場合、中国は、タンカーや貨物船を船団に編成し、これに軍艦を護衛に付けて、輸送を行うことが考えられます。アメリカなどの軍艦は、中国のタンカーや貨物船に対し臨検や拿捕を行うことが困難になります。

さらに、中国は、先ほどご紹介した超音速巡航ミサイルを格納した貨物用コンテナを普通の貨物船に搭載し航行させるかも知れません。その場合、中国軍艦の護衛がなくても、アメリカなどの軍艦は、中国貨物船の臨検・拿捕を行うことが非常に難しくなります。うっかり近づいて臨検・拿捕を行おうとしたら、いきなり超音速巡航ミサイルで攻撃されるかも知れないからです。アメリカなどの軍艦には超音速巡航ミサイルに対する防御手段がありません。逆に、撃沈されることになります。


軍艦を建造するには何年もかかりますが、超音速巡航ミサイルを格納したコンテナであれば、貨物船に搭載するだけですから、1日で武装が完了します。同型コンテナを300基製造しておけば、300隻の貨物船が武装可能となります。現在、中国の軍艦は約300隻なので、戦力が一気に2倍の600隻になります。(アメリカの軍艦の数は約300隻です。)
アメリカなどは、超音速巡航ミサイルによる攻撃を避けるため、中国の貨物船・タンカーに対し潜水艦による攻撃を行うことを試みるかも知れません。しかしながら、海中の潜水艦からは貨物船が巡航ミサイルで武装しているかどうかの識別は不可能です。仮に武装していない民間船をいきなり攻撃すれば、無差別の虐殺になります。潜水艦による海上封鎖も困難です。
逆に、超音速巡航ミサイル格納コンテナを搭載した貨物船は、中国の中距離弾道ミサイルによる攻撃を避けるためにグアム島やパラオ方面に退避しているアメリカの空母などに近づき、攻撃をかけるかも知れません。
また、あらかじめ、超音速巡航ミサイル格納コンテナを搭載した貨物船をアメリカ本土や日本本土近くに航行・停泊させておき、有事の際、アメリカ本土や日本本土に攻撃をかけることも可能です。アメリカは、これまで戦場は中東やアジアだと思っていたかも知れませんが、アメリカ本土が戦場になります。弾頭に小型の核爆弾を搭載しておきアメリカ本土上空で起爆すれば、人間が殺傷されることはありませんが、電磁パルスにより、アメリカの電子機器や送電網などのインフラが使用不可能になります。
一方、仮にアメリカと中国が軍事的に対立した場合、イランやロシアは陽動作戦を実施するかも知れません。たとえば、イランは中東地域で、ロシアはヨーロッパで軍事活動を活発化させるかも知れません。さらに、この時とばかり、イランは、サウジアラビアに対し攻勢をかけるかも知れません。ロシアは、ウクライナやバルト3国に侵攻するかも知れません。中国で手いっぱいのアメリカは、対応出来ないことになります。
また、中国は、アメリカ本土や日本本土に対し、強力なサイバー攻撃をかけるでしょう。金融システムや通信システムが麻痺することになります。日本には、サイバー攻撃に対する防御の手段も、反撃の手段もありません。

さらに、様々な破壊工作も実施されるでしょう。アメリカや日本の原発のすぐ近くで原因不明の爆発が起こるかも知れません。
アメリカは、国内のシェールオイルやシェールガスの生産により原油や天然ガスの輸入比率が低下しており、有事の際も、エネルギー調達に困ることはないと思っているかも知れません。しかしながら、アメリカ国内に網の目のように張り巡らされた天然ガス・パイプラインが、破壊工作の標的になる可能性があります。石油輸送列車が標的になるかも知れません。

宇宙空間にも戦場は拡がるでしょう。アメリカの通信衛星や軍事衛星、GPS衛星などが攻撃の対象になるでしょう。
安倍政権は、トランプ大統領が訪日した際、日米同盟の強固さを示すことが出来たとはしゃいでいたようですが、日本は防諜能力が低く、重要な軍事情報は日本から筒抜けになるでしょう。
また、日本は、伝統的に攻撃することばかりに専念し、反撃されることを考えませんが、仮にアメリカに追随し、日本が、中国に対する海上封鎖に参加した場合、日本は、逆に、中国から海上封鎖を受ける可能性があると思います。中国と異なり、日本は陸路で輸入することが出来ません。日本ほど、海上輸送に依存している国はありません。中国から逆に海上封鎖を受けた場合、日本には深刻な経済危機が生じるものと思われます。
アメリカは、アメリカ・ファーストというナショナリスティックな立場を止め、中国・ロシアやEUとの間で妥協を成立させ、多極主義に基づく、新しい世界秩序を構築して行くことが必要であると思います。
国連で、人類運命共同体の観点から、対立でなく妥協を通じ、共存共栄のルールを定めて行くべきです。
また、日本は対米盲従と官製バブルから脱却し、拡大するユーラシア経済と再生可能エネルギー普及拡大を通じ、経済成長すべきです。
参照資料:
(1) "China Building Long-Range Cruise Missile Launched From Ship Container", March 27th 2019, The Washington Free Beacon
(2) "US Army’s ‘Defender Pacific’ drill to focus on South China Sea scenario", March 27th 2019, Defrense News
(3) "The U.S. Military Needs To Study World War II If It Wants to Beat China in a War", April 5th 2019, The National Interest
(4) "AirSea Battle: A Point-of-Departure Operational Concept", 2010, CSBA
註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
私自身は、いずれの政党・政治団体にも所属していません。あくまでも一人の市民として、個人として発言しています。民主主義と平和を実現するために発言しています。