【沖縄は、辺野古基地の建設、宮古島・石垣島でのミサイル基地建設を阻止するため、ゼネラル・ストライキを敢行すべきであることについて】

去る8月31日、沖縄県は辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回しました。その対抗措置として、防衛省が行政不服審査法に基づき国交省に承認撤回の効力停止を申し立てていたところ、10月30日、国交省は防衛省の申し立てを受け入れ、沖縄県が行った承認撤回の効力を停止する決定をしました。決定を受けて、防衛省は工事を再開し、土砂投入に踏み切る方針だそうです。[1]


辺野古基地建設予定地

多くの野党政治家や行政法学者を始めとする有識者のみなさんは、本来、行政不服審査法は行政の不当行為により損害を受けた国民が使うためのものであり、行政不服審査法に基づきひとつの行政庁が他の行政庁に対し申し立てを行なうことは、行政不服審査法の趣旨を逸脱し、法の濫用にあたると批判しています。

また、沖縄県知事選挙、豊見城市長選挙、那覇市長選挙と、3連続で辺野古基地建設に反対するオール沖縄系候補が勝利したことで、沖縄県民の意思は明確に示されたとの主張もされています。

しかし、残念ながら、安倍政権は、そのような正論が通じる相手ではないと思われます。

安倍政権は、すでにファシズム政権です。安倍政権の発想は全く逆です。安倍晋三と安倍に追従する官僚たちの中では、法律をねじ曲げてでも、沖縄の民意を踏みにじってでも、辺野古基地の建設を強行した人間こそが、良くやったと高く評価され、昇進します。

そして、安倍一派は、そこまですれば、きっとアメリカにも評価されるだろうと考えています。

安倍一派は、常識が通用する相手ではありません。したがって、安倍一派の暴走は、議論ではなく、力づくで阻止するしかありません。

沖縄県民のみなさんは、あらゆる手段を使って辺野古基地の建設、宮古島・石垣島でのミサイル基地建設、与那国島でのレーダー基地建設に反対し、これを阻止するべきです。

なぜなら、アメリカが進めるオフショア・バランシング戦略の下では、近い将来、沖縄と琉球列島が再び戦場となり、数千人あるいは数万人の沖縄県民のみなさんが犠牲になる可能性がきわめて高いからです。

アメリカは、大国と直接戦争をしません。アメリカは、自分たちの代わりに大国と戦う集団を作り出し、敵対する大国を地域紛争に引きずり込み、敵対する大国の体制に揺さぶりをかけるという手法を使います。

たとえば、かつてアメリカは、ソ連の体制に揺さぶりをかけるため、アフガニスタンのムジャヒディンと呼ばれる反政府ゲリラを利用しました。1979年にソ連軍がアフガニスタンの共産党政権を支援するためアフガニスタンに軍事介入すると、アメリカはCIAを通じてムジャヒディンに資金や武器を提供、ソ連軍を泥沼のアフガニスタン紛争に引きずり込みました。最終的にソ連軍は1989年に完全撤退し、アフガニスタン紛争における軍事的な失敗が、ソ連の体制崩壊のひとつのきっかけとなりました。[2]

現在、アメリカは、アメリカ自らが中国やロシアと戦うのでなく、地域の同盟国を中国やロシアと戦わせ、自らは後方から指令を出す、いわゆるオフショア・バランシング戦略を進めています。東アジアにおける、アメリカのオフショア・バランシング戦略の目的は、琉球列島および奄美諸島の要塞化を通じ、中国を地域的な軍事紛争に引きずり込み、中国の体制に揺さぶりをかけることにあります。[3]

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アフガニスタン紛争におけるムジャヒディン

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自衛隊の水陸機動団

アメリカは中距離核全廃条約から離脱することを発表しました。その場合、条約の制約がなくなり、アメリカは地上発射型の中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを世界各地で配備することが可能となります。

10月上旬にアメリカのシンクタンクCSISから発表されたアーミテージ・ナイ・レポートは、アメリカ軍が自衛隊基地の共同使用を拡大することを提言しています。現在、宮古島、石垣島で急ピッチで建設中の自衛隊ミサイル基地に、今後、アメリカの中距離弾道ミサイルが配備されるかも知れません。さらに、核弾頭を搭載した中距離核弾道ミサイルが配備される可能性もあります。[4]

中距離核弾道ミサイルよりも射程の長い、いわゆる大陸間核弾道ミサイル(長距離核弾道ミサイル)は、アメリカやロシア、中国の全土を射程に収めており、もし大陸間核弾道ミサイルが使用されれば、アメリカ本土やロシア本土、中国本土が壊滅することになります。そのため、大陸間核弾道ミサイルが実際に使われる可能性は低くなります。

これに対し、中距離核弾道ミサイルは、ヨーロッパやアジアなど、限定された地域のみを射程に収めます。そのため、実際に使用される可能性がきわめて高くなります。

日本にアメリカの中距離核弾道ミサイルが配備されれば、それらが実際に使用される可能性はきわめて高くなります。なぜなら、たとえ中距離核弾道ミサイルが使用されても、壊滅するのは中国と日本であり、アメリカ本土は戦火を免れるからです。

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アメリカのパーシング II 中距離核弾道ミサイル

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奄美大島・大熊地区において建設中の自衛隊ミサイル基地
(写真出典: 小西誠さんの2018年9月1日付ブログ記事「軍事要塞に変貌する奄美―種子島(馬毛島)―薩南諸島」)[5]

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奄美大島・瀬戸内町において建設中の自衛隊ミサイル基地
(写真出典: 小西誠さんの2018年9月1日付ブログ記事「軍事要塞に変貌する奄美―種子島(馬毛島)―薩南諸島」)

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宮古島において建設中の自衛隊ミサイル基地
(写真出典: 小西誠さんの2018年9月7日付ブログ記事「政府は、自衛隊全体を「災害派遣部隊」として根本から再編成せよ」)[6]

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与那国島を視察したハリス前アメリカ太平洋軍司令官(中央左)と河野統合幕僚長(中央右)

現在、アメリカは、アメリカ自らが中国やロシアと戦うのでなく、地域の同盟国を中国やロシアと戦わせ、自らは後方から指令を出す、いわゆるオフショア・バランシング戦略を進めています。琉球列島および奄美諸島の要塞化を通じ、中国と日本の間で軍事衝突を起こさせることは、まさにオフショア・バランシング戦略の具体化になります。

このため、アメリカが進めるオフショア・バランシング戦略の下では、近い将来、沖縄と琉球列島が再び戦場となり、数千人あるいは数万人の沖縄県民のみなさんが犠牲になる可能性がきわめて高くなります。

その場合、軍用機の騒音がひどいとか、オスプレイが墜落し、あるいは航空機の部品が落下する場合とは規模が違います。したがって、あらゆる方法を使って、沖縄が再び戦場となることを阻止する必要があります。

1971年、沖縄のみなさんは、沖縄返還協定に反対し基地のない真の復帰を求め、ゼネラル・ストライキを実行しました。

1980年代以降も、スペインやイタリア、フランス(公共部門)では、ゼネラル・ストライキが行われてきました。1983年、西ドイツでは、中距離核弾道ミサイル配備に反対し、100万人以上の市民が抗議行動に参加しました。

かつてインドでは、イギリス植民地からの独立闘争において不服従運動が展開されました。

もし沖縄県民のみなさんが家族の命、子供たちの命、孫たちの命を本当に守ろうと思うなら、力づくで安倍一派の暴走を止める必要があります。

実際に戦闘が始まってからでは、73年前と同様、沖縄県民のみなさんは逃げまどうだけです。今、基地建設を阻止することで、戦争を食い止める必要があります。

沖縄県民のみなさんは、あらゆる手段を使って辺野古基地の建設、宮古島・石垣島でのミサイル基地建設、与那国島でのレーダー基地建設に反対し、これを阻止するべきです。

そして、日本本土のみなさんは、沖縄県民のみなさんと一体となって、宮古島・石垣島におけるミサイル基地建設に反対すべきです。もし中国と日本との間で地域的紛争が起これば、戦火は本土にも及び、中国と日本との経済的断絶は数十年に及ぶだろうからです。

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1971年、沖縄における、基地のない真の復帰を求めるゼネラル・ストライキ

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1983年、西ドイツにおける中距離核弾道ミサイル配備に反対する長さ110キロに及ぶ人間の鎖


参照資料:
(1) 「辺野古埋め立て承認撤回、国が効力停止 移設工事再開へ」 、2018年10月30日、朝日新聞

(2) Operation Cyclone, Wikipedia

(3) "The Case for Offshore Balancing - A Superior U.S. Grand Strategy" by John J. Mearsheimer and Stephen M. Walt, Foreign Affairs, July/August 2016 Issue

(4) More Important than Ever ー Renewing the U.S.-Japan Alliance for the 21st Century, October 3rd 2018, CSIS

(5) 小西誠さんの2018年9月1日付ブログ記事「軍事要塞に変貌する奄美―種子島(馬毛島)―薩南諸島」

(6) 小西誠さんの2018年9月7日付ブログ記事「政府・自衛隊は、イージス・アショア、自衛隊の南西シフト態勢などの大軍拡を直ちに中止し、自衛隊全体を「災害派遣部隊」として根本から再編成せよ。」


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。