【民主主義においては、市民・国民が主導して多数派を形成し、政策や法律を起案し、成立させることについて
〈立憲民主党「原発ゼロ基本法案骨子案」に関する提言 ー ドイツのように、再生可能エネルギー電力の優先接続・優先買取義務を法定すべきことについて〉】
立憲民主党が、原発ゼロ基本法に関するタウンミーティングを全国各地で開催しています。

(1月27日に永田町で開催された立憲民主党「原発ゼロ基本法」タウンミーティングの様子 ー 写真出典: 立憲民主党・武蔵野市議会議員・川名ゆうじさんの1月27日付TWEET)
草の根民主主義を標榜する立憲民主党が、実際に今国会に提出する法案に関し、全国各地でタウンミーティングを開催することで、市民・国民のみなさんの政治参加を促進し、市民・国民のみなさんと連動した立法活動・審議活動を行うことが可能となります。法案に民主主義的基盤を与えることが可能となります。きわめて優れた活動であると思います。
さらに、立憲民主党は、「原発ゼロ基本法案骨子案」をインターネットで公開し、広く国民の意見を法案に反映させるため、メールで意見募集を行うこととしました。意見メールの宛先のアドレスは、「 npp0@cdp-japan.net 」だそうです。

(写真出典: 立憲民主党ホームページ2月6日付記事)
私自身も、意見をメールで送付しましたので、ご参考まで、下記の通り、ご紹介させて下さい。
日本では、これまで政策および法案は、政党や政治家、官僚が作るもので、国民は、与えられた政策や法案を見て、気に入った政党に数年に1回の選挙で投票するだけという状態であったと思います。日本では、国民が非常に受動的になっています。
これに対し、たとえば、アメリカにおいては、しばしば市民団体が法案を起草し、利害関係を持つ関係諸団体と話し合いを重ね、文言調整することで賛同者を増やし、多数派形成を行い、その上で連邦議員のところへ法案を持って行き、議会内で過半数の議員の賛同を集め、法案を成立させます。初めから終わりまで、市民・国民が主導します。
市民・国民が法案を作成し、多数派工作まで行い、その上で議員に成案を持って行き、法律を成立させる。市民・国民が主導して多数派を形成し、政策や法律を起案し、成立させる。それが民主主義です。
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立憲民主党エネルギー調査会会長 逢坂誠二 様
このたびは、立憲民主党におかれましては、原発ゼロ基本法案骨子案を発表いただき、そして、全国各地でタウンミーティングを開催し、広く国民から意見を集めていただき、本当にありがとうございます。一市民として、心より感謝申し上げます。
以下、原発ゼロ基本法案骨子案を拝読し、気付いたことをお伝えさせて下さい。
原発ゼロ基本法案骨子案(PDF形式)では、第3条で国等の責務を定め、その上で、各条文で、「政府は、〜のために必要な措置を講ずること」という規定の仕方をしていますが、これでは具体的な施策を、政令や省令の形で官僚に委ねることになり、立法目的の実現が必ず骨抜きにされることになると思います。
官僚に委ねるのでなく、立法府が、法律レベルで、必要な措置を、可能な限り具体的かつ詳細に書き込むべきです。行政の裁量の範囲を狭めるべきです。そうすることが、国民に直結した立法府が脱原発と再生可能エネルギー普及の主導権を取ることを可能にし、脱原発と再生可能エネルギー普及の実現を確実にします。
具体的には、
(1) 第1条の目的の中に、「気候変動と地球温暖化への対処」と「再生可能エネルギーのコスト低減」を加えるべきです。
(2) 第5条1項1号において、原発廃止を目標とするのでなく、廃止年次を確定的なものとして明確に書き込むべきです。その際、全国の各原発ごとに、それぞれの実情に応じ、廃止年次を立法府が決め、法律に書き込むべきです。たとえば、「静岡県の浜岡原発は、2025年までに廃止する」というように規定すべきです。
(3) 第5条1項3号②において、原発を例外的に運転する場合を規定するのでなく、ドイツ再生可能エネルギー法のように、電力会社・送電会社に対し、再生可能エネルギー由来の電力を、火力発電および原子力発電による電力よりも優先して、送電網へ接続し、買取る義務を規定すべきです。
(これにより、供給が過剰な場合、抑制されるのは、再生可能エネルギー由来の電力ではなく、火力発電および原子力発電による電力となります。その結果、原子力発電による電力は自動的に淘汰されて行きます。現在は、供給が過剰な場合、再生可能エネルギー由来の電力が抑制されることになっており、それが再生可能エネルギーの普及を阻んでいます。再生可能エネルギー由来の電力が優先的に接続され、買い取られることになれば、たとえ買取価格が安くとも、事業者はコスト削減により利益を生み出そうとします。それが再生可能エネルギーのコストを下げることにつながります。再生可能エネルギー由来電力の優先接続・優先買取が法定されているドイツでは、再生可能エネルギーの設置コストが、すでに日本の半分以下です。)
(4) 電気労連の反対を抑え、脱原発に協力してもらうため、第5条1項3号⑥および⑦において、原発産業に従事している労働者について、廃炉ビジネスへの転換および再生可能エネルギー産業の拡大を通じた、雇用および所得の保証を法律で規定すべきです。原発産業に従事している労働者の雇用および所得の保証を法律で明定すべきです。
(5) 第5条2項2号⑤において、ドイツ再生可能エネルギー法のように、再生可能エネルギー発電設備から直近の送電網への接続にかかるコストを、電力会社・送電会社が負担することを法律で規定すべきです。
(現在は、再生可能エネルギー発電事業者が接続コストを負担することになっており、それが再生可能エネルギーの普及を阻んでいます。)
(6) 全体的に、ドイツの再生可能エネルギー法を参考にすべきだと思います。ドイツの再生可能エネルギー法は、各規定が非常に具体的かつ詳細です。
ドイツ再生可能エネルギー法(2014年改正版)は、以下のURLでご参照いただけます。
http://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Downloads/renewable-energy-sources-act-eeg-2014.pdf;jsessionid=B5D51700F670050C3F3635F01C17171A?__blob=publicationFile&v=1
P
ちなみに、再生可能エネルギー由来電力の優先接続については第8条(Section 8)、優先買取については第11条(Section 11)に規定されています。
以上、ご検討いただけましたら、幸いと存じ上げます。
参照資料:
(1) 「原発ゼロ基本法案骨子への意見を募集します」、2018年2月6日、立憲民主党
(2) 「原発ゼロ基本法案骨子案」(PDF形式)
〈立憲民主党「原発ゼロ基本法案骨子案」に関する提言 ー ドイツのように、再生可能エネルギー電力の優先接続・優先買取義務を法定すべきことについて〉】
立憲民主党が、原発ゼロ基本法に関するタウンミーティングを全国各地で開催しています。

(1月27日に永田町で開催された立憲民主党「原発ゼロ基本法」タウンミーティングの様子 ー 写真出典: 立憲民主党・武蔵野市議会議員・川名ゆうじさんの1月27日付TWEET)
草の根民主主義を標榜する立憲民主党が、実際に今国会に提出する法案に関し、全国各地でタウンミーティングを開催することで、市民・国民のみなさんの政治参加を促進し、市民・国民のみなさんと連動した立法活動・審議活動を行うことが可能となります。法案に民主主義的基盤を与えることが可能となります。きわめて優れた活動であると思います。
さらに、立憲民主党は、「原発ゼロ基本法案骨子案」をインターネットで公開し、広く国民の意見を法案に反映させるため、メールで意見募集を行うこととしました。意見メールの宛先のアドレスは、「 npp0@cdp-japan.net 」だそうです。

(写真出典: 立憲民主党ホームページ2月6日付記事)
私自身も、意見をメールで送付しましたので、ご参考まで、下記の通り、ご紹介させて下さい。
日本では、これまで政策および法案は、政党や政治家、官僚が作るもので、国民は、与えられた政策や法案を見て、気に入った政党に数年に1回の選挙で投票するだけという状態であったと思います。日本では、国民が非常に受動的になっています。
これに対し、たとえば、アメリカにおいては、しばしば市民団体が法案を起草し、利害関係を持つ関係諸団体と話し合いを重ね、文言調整することで賛同者を増やし、多数派形成を行い、その上で連邦議員のところへ法案を持って行き、議会内で過半数の議員の賛同を集め、法案を成立させます。初めから終わりまで、市民・国民が主導します。
市民・国民が法案を作成し、多数派工作まで行い、その上で議員に成案を持って行き、法律を成立させる。市民・国民が主導して多数派を形成し、政策や法律を起案し、成立させる。それが民主主義です。
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立憲民主党エネルギー調査会会長 逢坂誠二 様
このたびは、立憲民主党におかれましては、原発ゼロ基本法案骨子案を発表いただき、そして、全国各地でタウンミーティングを開催し、広く国民から意見を集めていただき、本当にありがとうございます。一市民として、心より感謝申し上げます。
以下、原発ゼロ基本法案骨子案を拝読し、気付いたことをお伝えさせて下さい。
原発ゼロ基本法案骨子案(PDF形式)では、第3条で国等の責務を定め、その上で、各条文で、「政府は、〜のために必要な措置を講ずること」という規定の仕方をしていますが、これでは具体的な施策を、政令や省令の形で官僚に委ねることになり、立法目的の実現が必ず骨抜きにされることになると思います。
官僚に委ねるのでなく、立法府が、法律レベルで、必要な措置を、可能な限り具体的かつ詳細に書き込むべきです。行政の裁量の範囲を狭めるべきです。そうすることが、国民に直結した立法府が脱原発と再生可能エネルギー普及の主導権を取ることを可能にし、脱原発と再生可能エネルギー普及の実現を確実にします。
具体的には、
(1) 第1条の目的の中に、「気候変動と地球温暖化への対処」と「再生可能エネルギーのコスト低減」を加えるべきです。
(2) 第5条1項1号において、原発廃止を目標とするのでなく、廃止年次を確定的なものとして明確に書き込むべきです。その際、全国の各原発ごとに、それぞれの実情に応じ、廃止年次を立法府が決め、法律に書き込むべきです。たとえば、「静岡県の浜岡原発は、2025年までに廃止する」というように規定すべきです。
(3) 第5条1項3号②において、原発を例外的に運転する場合を規定するのでなく、ドイツ再生可能エネルギー法のように、電力会社・送電会社に対し、再生可能エネルギー由来の電力を、火力発電および原子力発電による電力よりも優先して、送電網へ接続し、買取る義務を規定すべきです。
(これにより、供給が過剰な場合、抑制されるのは、再生可能エネルギー由来の電力ではなく、火力発電および原子力発電による電力となります。その結果、原子力発電による電力は自動的に淘汰されて行きます。現在は、供給が過剰な場合、再生可能エネルギー由来の電力が抑制されることになっており、それが再生可能エネルギーの普及を阻んでいます。再生可能エネルギー由来の電力が優先的に接続され、買い取られることになれば、たとえ買取価格が安くとも、事業者はコスト削減により利益を生み出そうとします。それが再生可能エネルギーのコストを下げることにつながります。再生可能エネルギー由来電力の優先接続・優先買取が法定されているドイツでは、再生可能エネルギーの設置コストが、すでに日本の半分以下です。)
(4) 電気労連の反対を抑え、脱原発に協力してもらうため、第5条1項3号⑥および⑦において、原発産業に従事している労働者について、廃炉ビジネスへの転換および再生可能エネルギー産業の拡大を通じた、雇用および所得の保証を法律で規定すべきです。原発産業に従事している労働者の雇用および所得の保証を法律で明定すべきです。
(5) 第5条2項2号⑤において、ドイツ再生可能エネルギー法のように、再生可能エネルギー発電設備から直近の送電網への接続にかかるコストを、電力会社・送電会社が負担することを法律で規定すべきです。
(現在は、再生可能エネルギー発電事業者が接続コストを負担することになっており、それが再生可能エネルギーの普及を阻んでいます。)
(6) 全体的に、ドイツの再生可能エネルギー法を参考にすべきだと思います。ドイツの再生可能エネルギー法は、各規定が非常に具体的かつ詳細です。
ドイツ再生可能エネルギー法(2014年改正版)は、以下のURLでご参照いただけます。
http://www.bmwi.de/Redaktion/EN/Downloads/renewable-energy-sources-act-eeg-2014.pdf;jsessionid=B5D51700F670050C3F3635F01C17171A?__blob=publicationFile&v=1
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ちなみに、再生可能エネルギー由来電力の優先接続については第8条(Section 8)、優先買取については第11条(Section 11)に規定されています。
以上、ご検討いただけましたら、幸いと存じ上げます。
参照資料:
(1) 「原発ゼロ基本法案骨子への意見を募集します」、2018年2月6日、立憲民主党
(2) 「原発ゼロ基本法案骨子案」(PDF形式)