【北朝鮮危機: 偶発的衝突の危険性と問題の外交的解決について】
1. 4月11日のブログ記事でお伝えしたように、アメリカが北朝鮮に対し先制攻撃を行うことは、軍事的に非常に困難を伴います。韓国の首都ソウルは、北朝鮮との国境からわずか40キロの距離に位置し、北朝鮮が長距離砲を使い、化学兵器や生物兵器で反撃すれば、数十万人の韓国市民が死傷すると見込まれるからです。
仮にアメリカの性急な先制攻撃により、北朝鮮の大規模な軍事力行使を招き、数十万人の韓国市民が死傷すれば、米韓の相互安全保障の基盤が崩れてしまいます。そのため、アメリカが先制攻撃を行う可能性は低いと思われます。

2. しかしながら、もし仮に、逆に、北朝鮮がアメリカの空母打撃群に対して攻撃を加えたとしたらどうなるでしょうか?。
その場合、アメリカ軍は、韓国市民に退避の要請をし、海上勢力・航空勢力の増派をした上で、北朝鮮に対し、大規模な攻撃をかけることになるかも知れません。
かつて1964年のトンキン湾事件において、北ベトナム軍の哨戒艇がアメリカ海軍の駆逐艦を雷撃したとして、アメリカは、本格的にベトナム戦争に介入、北爆を開始しました。
これまでのところ、北朝鮮のミサイル実験は失敗を続けています。その理由として、北朝鮮が意図的に自爆させているという説やアメリカがサイバー攻撃をかけているという説が考えられています。あるいは、中国がサイバー攻撃をかけているのかも知れません。

いずれにせよ、現在のように、敵対する両軍が対峙している状況は、非常に危険です。偶発的な衝突の危険性があるからです。
たとえば、もし仮に北朝鮮がミサイル実験を行い、自爆装置が何らかの理由で作動しなかった場合、ミサイルがアメリカの空母打撃群の展開している海域に着弾すれば、それが紛争の引き金になるかも知れません。
あるいは、アメリカ軍の艦艇が原因不明の爆発を起こし、沈没した場合、アメリカは、これを北朝鮮の攻撃によるものと断定するかも知れません。
朝鮮半島で大規模な戦争が起これば、韓国はもちろん、日本においても、多数の死傷者が生じるでしょう。また、中国も、政治的・経済的に大きな負担を強いられることになるでしょう。
3. 5月1日、トランプ大統領は、条件が整えば金正恩委員長と話し合うと発表しました。
また、中国は、今後3年間、北朝鮮が核実験とミサイル実験を停止する一方、アメリカと韓国は大規模な軍事演習を行わないとする、いわゆる「DUAL SUSPENSION」を提案しています。
アメリカと北朝鮮の2国間協議であれ、中国を含めた3国間協議であれ、あるいは、アメリカ、北朝鮮、中国、韓国、日本、ロシアによる6カ国協議であれ、話し合いを通じて、問題の解決をすべきです。

問題の根本的解決のため、長期的目的として、北朝鮮とアメリカとの間の戦争状態を終結させ、両国間の平和友好条約の締結を実現させること、そして、北朝鮮と韓国との平和的な統一を実現させることを設定すべきであると思います。そして、その上で、その実現のため、実効性あるロードマップを作成し、ひとつひとつ着実に実行して行くことが大切であると思います。
そのロードマップの里程において、重要となってくるのが、「北東アジア非核兵器地帯構想」であると思います。単に北朝鮮に対し核開発の中止を求めるのでなく、韓国や日本を含む、北東アジア全体を非核兵器地帯とすることを通じて、東アジアの平和と安定を実現して行くことが大切であると思います。
日本は、東アジアにおける経済大国です。朝鮮半島で軍事的衝突が起これば、日本は直接的な影響を受けます。そのため、日本政府、そして、日本国民は、軍事力の行使ではなく、外交による平和の実現を求める声を発信すべきです。
参照資料:
(1) "US doesn't rule out direct talks with North Korea: Tillerson", Daily Mail, April 28th 2017
(2) "Russia backs Chinese "double suspension" proposal to resolve N. Korea issue", Mainichi Shimbun News Paper, April 30th 2017
(3) "Trump: I'd be 'honored' to meet Kim Jong Un under right circumstances", lCNN, May 2nd 2017
1. 4月11日のブログ記事でお伝えしたように、アメリカが北朝鮮に対し先制攻撃を行うことは、軍事的に非常に困難を伴います。韓国の首都ソウルは、北朝鮮との国境からわずか40キロの距離に位置し、北朝鮮が長距離砲を使い、化学兵器や生物兵器で反撃すれば、数十万人の韓国市民が死傷すると見込まれるからです。
仮にアメリカの性急な先制攻撃により、北朝鮮の大規模な軍事力行使を招き、数十万人の韓国市民が死傷すれば、米韓の相互安全保障の基盤が崩れてしまいます。そのため、アメリカが先制攻撃を行う可能性は低いと思われます。

2. しかしながら、もし仮に、逆に、北朝鮮がアメリカの空母打撃群に対して攻撃を加えたとしたらどうなるでしょうか?。
その場合、アメリカ軍は、韓国市民に退避の要請をし、海上勢力・航空勢力の増派をした上で、北朝鮮に対し、大規模な攻撃をかけることになるかも知れません。
かつて1964年のトンキン湾事件において、北ベトナム軍の哨戒艇がアメリカ海軍の駆逐艦を雷撃したとして、アメリカは、本格的にベトナム戦争に介入、北爆を開始しました。
これまでのところ、北朝鮮のミサイル実験は失敗を続けています。その理由として、北朝鮮が意図的に自爆させているという説やアメリカがサイバー攻撃をかけているという説が考えられています。あるいは、中国がサイバー攻撃をかけているのかも知れません。

いずれにせよ、現在のように、敵対する両軍が対峙している状況は、非常に危険です。偶発的な衝突の危険性があるからです。
たとえば、もし仮に北朝鮮がミサイル実験を行い、自爆装置が何らかの理由で作動しなかった場合、ミサイルがアメリカの空母打撃群の展開している海域に着弾すれば、それが紛争の引き金になるかも知れません。
あるいは、アメリカ軍の艦艇が原因不明の爆発を起こし、沈没した場合、アメリカは、これを北朝鮮の攻撃によるものと断定するかも知れません。
朝鮮半島で大規模な戦争が起これば、韓国はもちろん、日本においても、多数の死傷者が生じるでしょう。また、中国も、政治的・経済的に大きな負担を強いられることになるでしょう。
3. 5月1日、トランプ大統領は、条件が整えば金正恩委員長と話し合うと発表しました。
また、中国は、今後3年間、北朝鮮が核実験とミサイル実験を停止する一方、アメリカと韓国は大規模な軍事演習を行わないとする、いわゆる「DUAL SUSPENSION」を提案しています。
アメリカと北朝鮮の2国間協議であれ、中国を含めた3国間協議であれ、あるいは、アメリカ、北朝鮮、中国、韓国、日本、ロシアによる6カ国協議であれ、話し合いを通じて、問題の解決をすべきです。

問題の根本的解決のため、長期的目的として、北朝鮮とアメリカとの間の戦争状態を終結させ、両国間の平和友好条約の締結を実現させること、そして、北朝鮮と韓国との平和的な統一を実現させることを設定すべきであると思います。そして、その上で、その実現のため、実効性あるロードマップを作成し、ひとつひとつ着実に実行して行くことが大切であると思います。
そのロードマップの里程において、重要となってくるのが、「北東アジア非核兵器地帯構想」であると思います。単に北朝鮮に対し核開発の中止を求めるのでなく、韓国や日本を含む、北東アジア全体を非核兵器地帯とすることを通じて、東アジアの平和と安定を実現して行くことが大切であると思います。
日本は、東アジアにおける経済大国です。朝鮮半島で軍事的衝突が起これば、日本は直接的な影響を受けます。そのため、日本政府、そして、日本国民は、軍事力の行使ではなく、外交による平和の実現を求める声を発信すべきです。
参照資料:
(1) "US doesn't rule out direct talks with North Korea: Tillerson", Daily Mail, April 28th 2017
(2) "Russia backs Chinese "double suspension" proposal to resolve N. Korea issue", Mainichi Shimbun News Paper, April 30th 2017
(3) "Trump: I'd be 'honored' to meet Kim Jong Un under right circumstances", lCNN, May 2nd 2017