【習=トランプ電話会談と朝鮮半島の軍事的緊張について】
4月12日、中国の習近平主席とアメリカのトランプ大統領との間で電話会談が行われました。今後も、両者の間で電話会談が適宜実施されるものと思われます。
現在、トランプ政権は、第1空母打撃群を朝鮮半島近海へ派遣することを決定し、さらに第11空母打撃群を派遣する予定との報道もあります。第5空母打撃群は、日本の横須賀を母港としており、米海軍特殊部隊ネイビーシールズの支援船も、沖縄に寄港しました。
しかしながら、4月11日のブログ記事でお伝えしたように、アメリカが北朝鮮に対し先制攻撃を行うことは、軍事的に非常に困難を伴います。韓国の首都ソウルは、北朝鮮との国境からわずか40キロの距離に位置し、北朝鮮が長距離砲を使い、化学兵器や生物兵器で攻撃すれば、数十万人の韓国市民が死傷すると見込まれるからです。

仮にアメリカの性急な先制攻撃により、北朝鮮の大規模な軍事力行使を招き、数十万人の韓国市民が死傷すれば、米韓の相互安全保障の基盤が崩れてしまいます。
そこで、トランプ政権は、軍事的緊張を高めた上で、中国との間で、外交的な取引を行おうとしているのだと思われます。
軍事的緊張を背景に、トランプ政権は、中国に、北朝鮮に対しより強硬な経済制裁をかけることを求めるでしょう。
一方、これに対し、中国側も、条件として、朝鮮半島の非核化とアメリカが北朝鮮と平和友好条約の締結へ向けて交渉を開始することを求めるでしょう。
双方の条件が折り合い、中国とアメリカとの間で、一定の合意が成立した段階で、アメリカは空母打撃群を朝鮮半島近海から撤収させると思われます。
その間、中国は、北朝鮮に対し、核実験やミサイル発射を自制するよう求めるはずです。

ただし、北朝鮮は、中国の制止を聞かずに、核実験を実施するかも知れません。あるいは、日本海へ向けミサイルを発射するかも知れません。その場合、アメリカの空母打撃群を構成するイージス巡洋艦およびイージス駆逐艦は、ミサイルの迎撃を試みる可能性があります。
仮に北朝鮮のミサイルが迎撃されれば、北朝鮮は、日本海へ向けさらに多くのミサイルを同時に発射するかも知れません。その場合、双方の軍事力行使が、一気にエスカレートする危険性があります。
逆に、仮にアメリカが迎撃を試みて失敗した場合、アメリカのミサイル防衛システムに対する信頼が損なわれることになります。
日本は、東アジアにおける経済大国です。朝鮮半島で軍事的衝突が起これば、日本は直接的な影響を受けます。そのため、日本政府、そして、日本国民は、軍事力の行使ではなく、外交による平和の実現を求める声を発信すべきです。
参照資料:
(1) "Xi, Trump talk over phone on Peninsula, Syria issues", CCTV, April 12th 2017
(2) "Move of U.S. Warships Shows Trump Has Few Options on North Korea", The New York Times, April 10th 2017
(3) "U.S. Ready to Shoot Down N.Korean Missiles", Chosunilbo, April 12th 2017
4月12日、中国の習近平主席とアメリカのトランプ大統領との間で電話会談が行われました。今後も、両者の間で電話会談が適宜実施されるものと思われます。
現在、トランプ政権は、第1空母打撃群を朝鮮半島近海へ派遣することを決定し、さらに第11空母打撃群を派遣する予定との報道もあります。第5空母打撃群は、日本の横須賀を母港としており、米海軍特殊部隊ネイビーシールズの支援船も、沖縄に寄港しました。
しかしながら、4月11日のブログ記事でお伝えしたように、アメリカが北朝鮮に対し先制攻撃を行うことは、軍事的に非常に困難を伴います。韓国の首都ソウルは、北朝鮮との国境からわずか40キロの距離に位置し、北朝鮮が長距離砲を使い、化学兵器や生物兵器で攻撃すれば、数十万人の韓国市民が死傷すると見込まれるからです。

仮にアメリカの性急な先制攻撃により、北朝鮮の大規模な軍事力行使を招き、数十万人の韓国市民が死傷すれば、米韓の相互安全保障の基盤が崩れてしまいます。
そこで、トランプ政権は、軍事的緊張を高めた上で、中国との間で、外交的な取引を行おうとしているのだと思われます。
軍事的緊張を背景に、トランプ政権は、中国に、北朝鮮に対しより強硬な経済制裁をかけることを求めるでしょう。
一方、これに対し、中国側も、条件として、朝鮮半島の非核化とアメリカが北朝鮮と平和友好条約の締結へ向けて交渉を開始することを求めるでしょう。
双方の条件が折り合い、中国とアメリカとの間で、一定の合意が成立した段階で、アメリカは空母打撃群を朝鮮半島近海から撤収させると思われます。
その間、中国は、北朝鮮に対し、核実験やミサイル発射を自制するよう求めるはずです。

ただし、北朝鮮は、中国の制止を聞かずに、核実験を実施するかも知れません。あるいは、日本海へ向けミサイルを発射するかも知れません。その場合、アメリカの空母打撃群を構成するイージス巡洋艦およびイージス駆逐艦は、ミサイルの迎撃を試みる可能性があります。
仮に北朝鮮のミサイルが迎撃されれば、北朝鮮は、日本海へ向けさらに多くのミサイルを同時に発射するかも知れません。その場合、双方の軍事力行使が、一気にエスカレートする危険性があります。
逆に、仮にアメリカが迎撃を試みて失敗した場合、アメリカのミサイル防衛システムに対する信頼が損なわれることになります。
日本は、東アジアにおける経済大国です。朝鮮半島で軍事的衝突が起これば、日本は直接的な影響を受けます。そのため、日本政府、そして、日本国民は、軍事力の行使ではなく、外交による平和の実現を求める声を発信すべきです。
参照資料:
(1) "Xi, Trump talk over phone on Peninsula, Syria issues", CCTV, April 12th 2017
(2) "Move of U.S. Warships Shows Trump Has Few Options on North Korea", The New York Times, April 10th 2017
(3) "U.S. Ready to Shoot Down N.Korean Missiles", Chosunilbo, April 12th 2017