【民進党岡田前代表ブログへのコメント: 東アジアへのTHAAD配備と北朝鮮問題の外交的解決について】

民進党岡田克也前代表の2月23日付ブログ記事に、下記コメントを投稿したところ、掲載されましたので、ご紹介させて下さい。ちなみに、岡田克也事務所の秘書の方のお話によると、岡田前代表は、必ずブログに掲載されたコメントを読んでいらっしゃるそうです。

岡田前代表ブログの2017年2月23日付記事「訪韓─日韓協力の必要性は極めて大きい、今から関係再構築の努力を」は、こちらでご参照いただけます。

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BUSINESS LIBERALISMこと 松崎宣明
2017年2月27日 9:00 AM
【東アジアへのTHAAD配備と北朝鮮問題の外交的解決について】

1. THAAD配備と東アジアの安全保障環境

岡田前代表がおっしゃられているように、日韓両国の協力は、アジアの平和、とくに北朝鮮の無謀な行動を抑制するために必要であると思います。

現在、韓国では、憲法裁判所において、朴大統領の弾劾訴追案審理が行われており、その結果によっては、大統領選挙が早期に実施される可能性があります。優勢が伝えられる野党側の大統領候補者は、そのほとんどが、THAAD(高高度防衛ミサイル)の配備に否定的であり、そのため、次期韓国政権は、朴大統領の下で合意したTHAAD配備を白紙に戻す可能性もあると思います。

もし仮にそうなった場合、アメリカは、今度は日本にTHAADを配備しようとするかも知れません。報道によると、すでに自民党内には、THAAD配備に関する検討チームが立ち上げられ、会合が開催されているそうです。

さらに、アメリカは、日本に対し、日本へ飛来する弾道ミサイルを迎撃するだけでなく、北朝鮮からアメリカへ向けて発射された弾道ミサイルも迎撃するよう要求してくるかも知れません。その際、集団的自衛権が根拠とされるでしょう。

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アメリカの要求を受け、もし仮に日本が、北朝鮮からアメリカへ向けて発射された弾道ミサイルも迎撃すると宣言した場合、日本の安全保障環境は大きく変わることになると思います。迎撃を嫌う北朝鮮は、弾道ミサイルをアメリカへ向けて発射する際、同時に日本への攻撃を準備することになるでしょう。予め原発などの施設に対し、テロ攻撃を行うかも知れません。

さらに、THAADは、中国やロシアの核ミサイル迎撃のために使われる可能性もあるため、THAADの配備は、アジアにおける新たな軍拡競争につながる危険性があります。結果として、東アジアの緊張と不安定性が増すことになってしまいます。

2. 外交による問題解決

これらの状況を考えた場合、東アジアの平和と安定を実現するためには、より大局的、長期的に、問題をとらえる必要があると思います。

すなわち、問題の根本的解決のため、長期的目的として、北朝鮮とアメリカとの間の戦争状態を終結させ、両国間の平和友好条約の締結を実現させること、そして、北朝鮮と韓国との平和的な統一を実現させることを設定すべきであると思います。そして、その上で、その実現のため、実効性あるロードマップを作成し、ひとつひとつ着実に実行して行くことが大切であると思います。

そのロードマップの里程において、重要となってくるのが、「北東アジア非核兵器地帯構想」であると思います。単に北朝鮮に対し核開発の中止を求めるのでなく、韓国や日本を含む、北東アジア全体を非核兵器地帯とすることを通じて、東アジアの平和と安定を実現して行くことが大切であると思います。

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北朝鮮の核実験に対する国連安保理の制裁決議に基づき、中国は、先週、北朝鮮からの石炭の輸入を停止しました。北朝鮮は、対中輸出の4割に相当する外貨収入を得ることが出来なくなり、外交姿勢の変化を迫られることになります。そのため、これを梃子(てこ)にして、中国、韓国、日本、アメリカ、ロシアが協力し、6カ国協議の再開と北朝鮮の参加を実現させるべきであると思います。

民進党を始めとする野党は、(1) 中国との良好な外交関係を回復すること、(2) 東アジアの平和を維持するため、北東アジア非核兵器地帯の設置と、台中関係の平和的推移を実現すること、(3) 中東地域安定のための外交的枠組みを構築すること、(4) 各国・各地域と連携しつつ、持続的成長につながる再生可能エネルギー産業や電気・水素自動車関連産業を成長の柱とすること、(5) 拡大する中国消費市場の実需に基づき景気拡大を実現すること、を主張すべきです。

総選挙があれば、与党は必ず議席を減らします。一刻も早く総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義と民主主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。


参照資料:
(1)「韓国大統領選 文氏トップ、革新系が軸 構図固まる」、毎日新聞、2017年2月7日

(2)「新迎撃ミサイル導入が焦点=自民検討チーム、23日初会合」、時事通信、2017年2月22日