【中国市場を大切に考える経済界・産業界の声が対中政策の見直しを求める可能性について】
安倍政権は発足以来、特定秘密保護法成立、集団的自衛権容認の閣議決定、安保法制成立、憲法改正へと、急速に保守化・右傾化の流れを進めています。
安倍政権は、安倍首相の祖父が満州国政府の高官、副総裁の高村正彦の父親が特高課長、谷垣禎一前幹事長の義父が中国におけるアヘン売買の秘密工作を行っていた陸軍中将というように、戦前の軍国主義・中国侵略の流れを汲む政治家によって構成されています。彼らは、我々一般の国民とは異なった利害関係を有する人たちです。
9月15日、タカ派の稲田防衛大臣は、アメリカのシンクタンクにおいて、自衛艦をアメリカとの共同航海訓練に参加させ、南シナ海への関与を強めて行くと発言しました。
もし日本の自衛艦が南シナ海へ派遣されれば、中国海軍の艦船との軍事的衝突の可能性が高まります。
このような状況の下、私は、いよいよ日本の経済界・産業界の中から、安倍政権のあまりに中国に敵対的な政権運営に対し、批判が出始めるのではないか、と感じています。
日本の経済・産業は、アメリカだけでなく、世界中の国々との取引で成り立っています。とくに、中国市場は、今後、急速に成長する消費者市場として、その重要性が増して行くことが予想されます。たとえば、中国の2015年度の自動車販売台数は2,460万台であり、2位の米国(1,210万台)を大きく引き離しています。
このため、トヨタ自動車を始め多くの日本企業が、中国市場の拡大を自社の売り上げおよび利益の拡大に結び付けようと考えています。
もし日本の自衛艦が南シナ海へ派遣され、中国海軍との間で軍事的衝突が起これば、日本と中国との間の経済取引は一気に冷え込むでしょう。
その場合、中国市場から日本企業は撤退し、その分、ヨーロッパの企業やカナダ企業がより多くのシェアを得るでしょう。
与党政権の経済政策は行き詰まっています。日銀による国債購入および株式買入れ、GPIFによる株式買入れも限界です。ツケを将来に回す、金融政策や財政政策による景気浮揚でなく、拡大する中国市場の実需に基づく景気拡大が必要です。
今後、安倍政権の暴走にブレーキをかける力があるとすれば、それは、中国市場を大切に考える、日本の経済界・産業界からの大局的で思慮深い声なのかも知れません。
台頭する勢力(中国)と既存勢力(アメリカ)との対立という、いわゆる「トゥキディデスの罠」に対する解答は、軍事的対立ではなく、話し合いです。日本は、中国とアメリカとの間の話し合いを促進させる役割を果たすべきです。
たとえば、今後、日本がAIIB(アジア・インフラ投資銀行)に参加した上で、AIIBの入札条件や入札システムを改善し、アメリカ企業が個々のプロジェクトに参入しやすいようにして行くことなどが考えられるかも知れません。
また、日本は、中国の司法制度改革に協力し、独立した司法確立のために尽力するということも考えられます。それは、中国における基本的人権の保護につながります。
手遅れにならないうちに、早急に総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義と民主主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。
参照資料:
(1) "China's Infrastructure Play: Why Washington Should Accept the New Silk Road", Gal Luft, September/October 2016, Foreign Affairs
(2) "Would America Really Go to War Over the South China Sea?", Hugh White, September 2nd 2016, The National Interest
(3) "Can America Share Its Superpower Status?", Michael Lind, August 21st 2016, The National Interest
(4) "The Thucydides Trap: Are the U.S. and China Headed for War?", Graham Allison, Sept 24th 2015, The Atlantic
(5) Machiavelli's Children: Leaders and Their Legacies in Italy and Japan, Richard J. Samuels, 2005, Cornell University Press
安倍政権は発足以来、特定秘密保護法成立、集団的自衛権容認の閣議決定、安保法制成立、憲法改正へと、急速に保守化・右傾化の流れを進めています。
安倍政権は、安倍首相の祖父が満州国政府の高官、副総裁の高村正彦の父親が特高課長、谷垣禎一前幹事長の義父が中国におけるアヘン売買の秘密工作を行っていた陸軍中将というように、戦前の軍国主義・中国侵略の流れを汲む政治家によって構成されています。彼らは、我々一般の国民とは異なった利害関係を有する人たちです。
9月15日、タカ派の稲田防衛大臣は、アメリカのシンクタンクにおいて、自衛艦をアメリカとの共同航海訓練に参加させ、南シナ海への関与を強めて行くと発言しました。
もし日本の自衛艦が南シナ海へ派遣されれば、中国海軍の艦船との軍事的衝突の可能性が高まります。
このような状況の下、私は、いよいよ日本の経済界・産業界の中から、安倍政権のあまりに中国に敵対的な政権運営に対し、批判が出始めるのではないか、と感じています。
日本の経済・産業は、アメリカだけでなく、世界中の国々との取引で成り立っています。とくに、中国市場は、今後、急速に成長する消費者市場として、その重要性が増して行くことが予想されます。たとえば、中国の2015年度の自動車販売台数は2,460万台であり、2位の米国(1,210万台)を大きく引き離しています。
このため、トヨタ自動車を始め多くの日本企業が、中国市場の拡大を自社の売り上げおよび利益の拡大に結び付けようと考えています。
もし日本の自衛艦が南シナ海へ派遣され、中国海軍との間で軍事的衝突が起これば、日本と中国との間の経済取引は一気に冷え込むでしょう。
その場合、中国市場から日本企業は撤退し、その分、ヨーロッパの企業やカナダ企業がより多くのシェアを得るでしょう。
与党政権の経済政策は行き詰まっています。日銀による国債購入および株式買入れ、GPIFによる株式買入れも限界です。ツケを将来に回す、金融政策や財政政策による景気浮揚でなく、拡大する中国市場の実需に基づく景気拡大が必要です。
今後、安倍政権の暴走にブレーキをかける力があるとすれば、それは、中国市場を大切に考える、日本の経済界・産業界からの大局的で思慮深い声なのかも知れません。
台頭する勢力(中国)と既存勢力(アメリカ)との対立という、いわゆる「トゥキディデスの罠」に対する解答は、軍事的対立ではなく、話し合いです。日本は、中国とアメリカとの間の話し合いを促進させる役割を果たすべきです。
たとえば、今後、日本がAIIB(アジア・インフラ投資銀行)に参加した上で、AIIBの入札条件や入札システムを改善し、アメリカ企業が個々のプロジェクトに参入しやすいようにして行くことなどが考えられるかも知れません。
また、日本は、中国の司法制度改革に協力し、独立した司法確立のために尽力するということも考えられます。それは、中国における基本的人権の保護につながります。
手遅れにならないうちに、早急に総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義と民主主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。
参照資料:
(1) "China's Infrastructure Play: Why Washington Should Accept the New Silk Road", Gal Luft, September/October 2016, Foreign Affairs
(2) "Would America Really Go to War Over the South China Sea?", Hugh White, September 2nd 2016, The National Interest
(3) "Can America Share Its Superpower Status?", Michael Lind, August 21st 2016, The National Interest
(4) "The Thucydides Trap: Are the U.S. and China Headed for War?", Graham Allison, Sept 24th 2015, The Atlantic
(5) Machiavelli's Children: Leaders and Their Legacies in Italy and Japan, Richard J. Samuels, 2005, Cornell University Press