【南シナ海問題の外交的解決について】
前回のブログでお伝えしましたように、南シナ海のスカボロー礁の埋め立て作業をめぐり、人工島を建設したい中国と、これを海上封鎖で阻止したいアメリカとの間で、軍事的衝突が発生する危険性が高まっています。
ただし、スカボロー礁はフィリピンの排他的経済水域内にあるため、アメリカが、海上封鎖を行うためには、フィリピンから要請があることが前提です。フィリピンの要請がない状態で、アメリカが海上封鎖を行うことはありません。

そのフィリピンでは、現在、大統領が、親米派のアキノ大統領から中国宥和派のドゥテルテ大統領に代わっています。ドゥテルテ大統領は、国内の麻薬犯罪撲滅のため強制措置を命じていますが、アメリカのオバマ大統領が人権上の問題を指摘したことに反発、オバマ大統領を侮蔑的表現を使って批判しました。
さらに、ドゥテルテ大統領は、南シナ海におけるアメリカとフィリピンの共同パトロールを止めると発表し、アメリカ軍が南部のミンダナオ島から去ることを求めました。

これに対し、中国は、ドゥテルテ大統領が進める麻薬犯罪撲滅運動に理解を示し、麻薬中毒者が社会復帰するためのリハビリセンター建設支援を約束しています。
すでに元フィリピン大統領のラモス氏が中国を訪れ、中国とフィリピンの間で、南シナ海の問題解決のための話し合いが始まっています。ドゥテルテ大統領は、中国がスカボロー礁周辺のフィリピンの漁業権を保障することと引き換えに、スカボロー礁における中国の人工島建設を認めるかも知れません。
他方、ベトナムも7月に指導部が交替しました。ベトナムのフック新首相は、9月中旬、中国を訪問し、中国の李克強首相と会談、南シナ海の問題を平和的に解決するとともに、両国関係の発展を推進するとしました。

ちなみに9月15日、アメリカ上院の軍事委員会において、アメリカの陸軍参謀長(陸軍トップ)、海軍作戦部長(海軍トップ)は、アメリカは、ロシアとも中国とも戦争をする準備は整っていないと証言しています。
このような状況の下、突出しているのが、安倍政権の異常なまでの中国に対する敵対的姿勢です。
安倍政権は発足以来、特定秘密保護法成立、集団的自衛権容認の閣議決定、安保法制成立、憲法改正へと、急速に保守化・右傾化の流れを進めています。
安倍政権は、安倍首相の祖父が満州国政府の高官、副総裁の高村正彦の父親が特高課長、谷垣禎一前幹事長の義父が中国におけるアヘン売買の秘密工作を行っていた陸軍中将というように、戦前の軍国主義・中国侵略の流れを汲む政治家によって構成されています。彼らは、我々一般の国民とは異なった利害関係を有する人たちです。
9月15日、タカ派の稲田防衛大臣は、アメリカのシンクタンクにおいて、自衛艦をアメリカとの共同航海訓練に参加させ、南シナ海への関与を強めて行くと発言しました。
自衛艦を南シナ海へ派遣することは、中国とアメリカの軍事的対立をエスカレートさせることにつながります。日本は、むしろ中国とアメリカとの間の話し合いを促進させる役割を果たすべきです。
手遅れにならないうちに、早急に総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。
参照資料:
(1) "Duterte Seeks Arms From China, Ends Joint Patrols With U.S." Bloomberg, September 13th 2016
(2) "Duterte to US troops: Leave Mindanao", Philstar Global, September 12th 2016
(3) "Duterte Pivoting Away?", The American Interest, September 14th 2016
(4) "Duterte thanks China for fulfilling promise to help build rehabilitation centers", Kicker Daily News, September 9th 2016
(5) "China & Vietnam pledge to set aside differences over South China Sea", International Business Times, September 13th 2016
(6) "The U.S. Military Isn't Ready for a War with Russia or China", The National Interest, September 15th 2016
(7) "Japan to boost South China Sea role with training patrols with U.S.: minister", Reuters, September 16th 2016
前回のブログでお伝えしましたように、南シナ海のスカボロー礁の埋め立て作業をめぐり、人工島を建設したい中国と、これを海上封鎖で阻止したいアメリカとの間で、軍事的衝突が発生する危険性が高まっています。
ただし、スカボロー礁はフィリピンの排他的経済水域内にあるため、アメリカが、海上封鎖を行うためには、フィリピンから要請があることが前提です。フィリピンの要請がない状態で、アメリカが海上封鎖を行うことはありません。

そのフィリピンでは、現在、大統領が、親米派のアキノ大統領から中国宥和派のドゥテルテ大統領に代わっています。ドゥテルテ大統領は、国内の麻薬犯罪撲滅のため強制措置を命じていますが、アメリカのオバマ大統領が人権上の問題を指摘したことに反発、オバマ大統領を侮蔑的表現を使って批判しました。
さらに、ドゥテルテ大統領は、南シナ海におけるアメリカとフィリピンの共同パトロールを止めると発表し、アメリカ軍が南部のミンダナオ島から去ることを求めました。

これに対し、中国は、ドゥテルテ大統領が進める麻薬犯罪撲滅運動に理解を示し、麻薬中毒者が社会復帰するためのリハビリセンター建設支援を約束しています。
すでに元フィリピン大統領のラモス氏が中国を訪れ、中国とフィリピンの間で、南シナ海の問題解決のための話し合いが始まっています。ドゥテルテ大統領は、中国がスカボロー礁周辺のフィリピンの漁業権を保障することと引き換えに、スカボロー礁における中国の人工島建設を認めるかも知れません。
他方、ベトナムも7月に指導部が交替しました。ベトナムのフック新首相は、9月中旬、中国を訪問し、中国の李克強首相と会談、南シナ海の問題を平和的に解決するとともに、両国関係の発展を推進するとしました。

ちなみに9月15日、アメリカ上院の軍事委員会において、アメリカの陸軍参謀長(陸軍トップ)、海軍作戦部長(海軍トップ)は、アメリカは、ロシアとも中国とも戦争をする準備は整っていないと証言しています。
このような状況の下、突出しているのが、安倍政権の異常なまでの中国に対する敵対的姿勢です。
安倍政権は発足以来、特定秘密保護法成立、集団的自衛権容認の閣議決定、安保法制成立、憲法改正へと、急速に保守化・右傾化の流れを進めています。
安倍政権は、安倍首相の祖父が満州国政府の高官、副総裁の高村正彦の父親が特高課長、谷垣禎一前幹事長の義父が中国におけるアヘン売買の秘密工作を行っていた陸軍中将というように、戦前の軍国主義・中国侵略の流れを汲む政治家によって構成されています。彼らは、我々一般の国民とは異なった利害関係を有する人たちです。
9月15日、タカ派の稲田防衛大臣は、アメリカのシンクタンクにおいて、自衛艦をアメリカとの共同航海訓練に参加させ、南シナ海への関与を強めて行くと発言しました。
自衛艦を南シナ海へ派遣することは、中国とアメリカの軍事的対立をエスカレートさせることにつながります。日本は、むしろ中国とアメリカとの間の話し合いを促進させる役割を果たすべきです。
手遅れにならないうちに、早急に総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。
参照資料:
(1) "Duterte Seeks Arms From China, Ends Joint Patrols With U.S." Bloomberg, September 13th 2016
(2) "Duterte to US troops: Leave Mindanao", Philstar Global, September 12th 2016
(3) "Duterte Pivoting Away?", The American Interest, September 14th 2016
(4) "Duterte thanks China for fulfilling promise to help build rehabilitation centers", Kicker Daily News, September 9th 2016
(5) "China & Vietnam pledge to set aside differences over South China Sea", International Business Times, September 13th 2016
(6) "The U.S. Military Isn't Ready for a War with Russia or China", The National Interest, September 15th 2016
(7) "Japan to boost South China Sea role with training patrols with U.S.: minister", Reuters, September 16th 2016