【外交優先の安全保障政策に関する民進党岡田克也代表ブログへのコメント】
民進党岡田克也代表の7月20日付ブログ記事に、下記コメントを投稿したところ、掲載されましたので、ご紹介させて下さい。ちなみに、岡田克也事務所の秘書の方のお話によると、岡田代表は、必ずブログに掲載されたコメントを読んでいらっしゃるそうです。
岡田代表ブログの2016年7月20日付記事「不安定化する世界─日本がどう振る舞うか、非常に重要な時期に」は、こちらでご参照いただけます。
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記
BUSINESS LIBERALISMこと 松崎宣明
2016年7月21日 11:30 AM
岡田代表がおっしゃられているように、近年、以前に比べ、世界の情勢が不安定化してきていると感じられます。
その背景には、冷戦直後の時期に比べ、アメリカの軍事的・経済的影響力が相対的に弱まる一方、中国とロシアの影響力が拡大してきていることがあるように思われます。
先月、中国、ロシア、中央アジア諸国が主要メンバーとなっている、安全保障と経済協力のための組織、上海協力機構の総会が開催され、新たにインドとパキスタンが正式メンバーとして加入することが決定されました。
また、昨年、中国が提案したアジア・インフラ投資銀行には、アジア諸国だけでなく、イギリスを始め、ドイツ、フランスを含む多くのヨーロッパの国々が参加しました。中国は、現在、中国とヨーロッパを結ぶ陸と海の新シルクロードの建設を目指す「一帯一路」政策を推進しています。
一方、先月、アメリカは、カリフォルニア州のサンディエゴを根拠地とする第3艦隊の行動範囲を、これまでの日付変更線以東からアジアにまで拡大することを決定、日本を母港とする第7艦隊と合わせることで、アジアへのリバランスを強化しようとしています。
また、日本では、安倍政権が憲法改正を目指し、フルスペックの集団的自衛権を行使することで、アメリカとの軍事的協力を強めようとしています。
現在、経済面では、各国が中国との結び付きをますます強めているのに対し、安全保障面では、NATOや日米安全保障条約など、冷戦時代に構築された、アメリカ中心の安全保障の枠組みが維持され、むしろそれが再強化されていると思います。その結果、経済面と安全保障面にズレが生じていると思います。
今後、拡大する中国の経済力、軍事力を、どう地域的・地球的な経済および安全保障のメカニズムに組み込むかということに関し、誰も明確なプランを持っていません。台頭する勢力と既存勢力の対立という、いわゆる「トゥキディデスの罠」に陥り、誰も答えを持っていません。
アメリカは、この対立を前提とし、今後、ヨーロッパにおいても、アジアにおいても、同盟国がより大きな役割と負担を担うことを求めています。すなわち、ヨーロッパにおいてはドイツ、アジアにおいては日本が、より大きな役割と負担を担うことを求めています。
仮に、今夏の参議院選挙に続き、次の衆議院選挙でも、与党が多数を維持し続ければ、間も無く、日本も自衛艦を南シナ海へ派遣し、パトロールの任務にあてると決定されることになるでしょう。また、台湾の防衛に日本が責任を持つとする日本版の「台湾関係法」が提案されることになるでしょう。さらに、中国に対抗し、日本が中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備することの検討が開始されるでしょう。
このような状況の下、私は、日本は、軍事面ではなく、外交面でこそ、より大きな役割を担うべきであると思っています。そして、日本が、外交面で、主導権を発揮することこそが、アジアの平和と安定につながると思っています。
すなわち、日本は、まず中国との間で、尖閣諸島の領有権問題を棚上げすべきです。それにより、中国との正常な外交関係を回復すべきです。その上で、北朝鮮の核開発・ミサイル開発問題を解決するため、北東アジア非核兵器地帯の構築と北朝鮮との平和友好条約の締結を目指すべきです。また、日本は、台中関係の平和的推移を保障するため、台湾と中国の平和的・民主的統一へのロードマップを提案すべきです。さらに、南シナ海の対立を緩和するため、領有権棚上げ方式を含む、問題の外交的解決を提案すべきです。
そして、何よりも、日本は、アメリカおよび中国に対し、核軍縮と通常兵器軍縮を含む、包括的軍縮を提案すべきです。
アメリカは、イラク戦争・アフガニスタン戦争で、数兆ドルの戦費を使い、現在、深刻な財政危機にあります。アメリカ国民の間には厭戦気分が蔓延し、地上軍の海外派兵は不可能な状態です。国民皆保険制度(オバマ・ケア)維持のための予算も必要です。であるとすれば、アメリカは、軍縮を行なうべきです。中国との間で包括的な軍縮の話し合いを始めるべきです。アメリカは、防衛予算を劇的に減らす必要があります。
一方、中国も、経済成長を続け、国民の生活を豊かにするためには、産業構造を転換させ、医療や社会保障を充実させることが必要です。防衛予算の拡大を続ける余裕はありません。また、今後さらに深刻化する国内の利害対立や社会問題を解決するために、民主的政治システムの導入と基本的人権の保護が必要です。
東アジアおよび東南アジアにおける緊張は、中国とアメリカという二つの大国の対立が背景となって発生しているものです。言い換えると、東アジアおよび東南アジアにおける緊張は、中国とアメリカが対話を行い、建設的な二国間関係を築いて行くことにより、必ず解決する問題です。
社会主義体制と資本主義体制という異なった社会・経済体制が激突していた、かつての冷戦時代と異なり、現在は、全ての主要国が市場経済を採用しています。そのため、たとえ利害の対立が生じても、妥協や取引を通じ、必ず話し合いで解決することが可能です。2020年代には、中国が世界一の経済大国となると予想されています。拡大する中国経済を取り込む、新しい経済秩序を構想・構築することが必要です。
そして、地球温暖化や気候変動への対策、あるいは、化石燃料エネルギーから再生可能エネルギーへの転換などの分野で、中国とアメリカは協力すべきです。中国とアメリカが協力することにより、人類は非常に大きな進歩を遂げるでしょう。逆に、中国とアメリカが対立すれば、それぞれの中央政府に権限が集中し、一部の者のみに、富が集中して行くでしょう。
政策的に冷戦構造を作り、中央政府に権力を集中し、防衛産業や石油・天然ガスで高い利益を上げるという時代は終わりました。これからは、地方分権の下、再生可能エネルギー産業や情報産業、医療産業、観光産業などが、高い収益と雇用を生む時代に入ります。
今後、仮に米中間の新冷戦が進めば、日本は、その最前線に立たされ、日本が戦場になるリスクが高まります。もしそうなったら、日本の内政外交の舵取りは非常に難しくなるでしょう。日本は、国民の支持の下、外交による安全保障の実現を最大限追求するとともに、米中間の話し合いと包括的な軍縮を提案すべきです。それこそが、日本の真の国益に適い、国民が求めていることだと思います。
岡田代表、そして、民進党におかれましては、国会の議論において、日本が外交優先の安全保障の実現を目指すよう主張していただけましたら、幸いと存じ上げます。経済政策に続き、安全保障政策においても、一部の企業や富裕層ではなく、国民全体の一般福利の実現を目指した政策を、一貫して、力強く、主張していただけますよう、お願い申し上げます。
引き続き、民進党主導による野党協力並びに政権交代を支持、応援させて下さい。
民進党岡田克也代表の7月20日付ブログ記事に、下記コメントを投稿したところ、掲載されましたので、ご紹介させて下さい。ちなみに、岡田克也事務所の秘書の方のお話によると、岡田代表は、必ずブログに掲載されたコメントを読んでいらっしゃるそうです。
岡田代表ブログの2016年7月20日付記事「不安定化する世界─日本がどう振る舞うか、非常に重要な時期に」は、こちらでご参照いただけます。
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記
BUSINESS LIBERALISMこと 松崎宣明
2016年7月21日 11:30 AM
岡田代表がおっしゃられているように、近年、以前に比べ、世界の情勢が不安定化してきていると感じられます。
その背景には、冷戦直後の時期に比べ、アメリカの軍事的・経済的影響力が相対的に弱まる一方、中国とロシアの影響力が拡大してきていることがあるように思われます。
先月、中国、ロシア、中央アジア諸国が主要メンバーとなっている、安全保障と経済協力のための組織、上海協力機構の総会が開催され、新たにインドとパキスタンが正式メンバーとして加入することが決定されました。
また、昨年、中国が提案したアジア・インフラ投資銀行には、アジア諸国だけでなく、イギリスを始め、ドイツ、フランスを含む多くのヨーロッパの国々が参加しました。中国は、現在、中国とヨーロッパを結ぶ陸と海の新シルクロードの建設を目指す「一帯一路」政策を推進しています。
一方、先月、アメリカは、カリフォルニア州のサンディエゴを根拠地とする第3艦隊の行動範囲を、これまでの日付変更線以東からアジアにまで拡大することを決定、日本を母港とする第7艦隊と合わせることで、アジアへのリバランスを強化しようとしています。
また、日本では、安倍政権が憲法改正を目指し、フルスペックの集団的自衛権を行使することで、アメリカとの軍事的協力を強めようとしています。
現在、経済面では、各国が中国との結び付きをますます強めているのに対し、安全保障面では、NATOや日米安全保障条約など、冷戦時代に構築された、アメリカ中心の安全保障の枠組みが維持され、むしろそれが再強化されていると思います。その結果、経済面と安全保障面にズレが生じていると思います。
今後、拡大する中国の経済力、軍事力を、どう地域的・地球的な経済および安全保障のメカニズムに組み込むかということに関し、誰も明確なプランを持っていません。台頭する勢力と既存勢力の対立という、いわゆる「トゥキディデスの罠」に陥り、誰も答えを持っていません。
アメリカは、この対立を前提とし、今後、ヨーロッパにおいても、アジアにおいても、同盟国がより大きな役割と負担を担うことを求めています。すなわち、ヨーロッパにおいてはドイツ、アジアにおいては日本が、より大きな役割と負担を担うことを求めています。
仮に、今夏の参議院選挙に続き、次の衆議院選挙でも、与党が多数を維持し続ければ、間も無く、日本も自衛艦を南シナ海へ派遣し、パトロールの任務にあてると決定されることになるでしょう。また、台湾の防衛に日本が責任を持つとする日本版の「台湾関係法」が提案されることになるでしょう。さらに、中国に対抗し、日本が中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルを配備することの検討が開始されるでしょう。
このような状況の下、私は、日本は、軍事面ではなく、外交面でこそ、より大きな役割を担うべきであると思っています。そして、日本が、外交面で、主導権を発揮することこそが、アジアの平和と安定につながると思っています。
すなわち、日本は、まず中国との間で、尖閣諸島の領有権問題を棚上げすべきです。それにより、中国との正常な外交関係を回復すべきです。その上で、北朝鮮の核開発・ミサイル開発問題を解決するため、北東アジア非核兵器地帯の構築と北朝鮮との平和友好条約の締結を目指すべきです。また、日本は、台中関係の平和的推移を保障するため、台湾と中国の平和的・民主的統一へのロードマップを提案すべきです。さらに、南シナ海の対立を緩和するため、領有権棚上げ方式を含む、問題の外交的解決を提案すべきです。
そして、何よりも、日本は、アメリカおよび中国に対し、核軍縮と通常兵器軍縮を含む、包括的軍縮を提案すべきです。
アメリカは、イラク戦争・アフガニスタン戦争で、数兆ドルの戦費を使い、現在、深刻な財政危機にあります。アメリカ国民の間には厭戦気分が蔓延し、地上軍の海外派兵は不可能な状態です。国民皆保険制度(オバマ・ケア)維持のための予算も必要です。であるとすれば、アメリカは、軍縮を行なうべきです。中国との間で包括的な軍縮の話し合いを始めるべきです。アメリカは、防衛予算を劇的に減らす必要があります。
一方、中国も、経済成長を続け、国民の生活を豊かにするためには、産業構造を転換させ、医療や社会保障を充実させることが必要です。防衛予算の拡大を続ける余裕はありません。また、今後さらに深刻化する国内の利害対立や社会問題を解決するために、民主的政治システムの導入と基本的人権の保護が必要です。
東アジアおよび東南アジアにおける緊張は、中国とアメリカという二つの大国の対立が背景となって発生しているものです。言い換えると、東アジアおよび東南アジアにおける緊張は、中国とアメリカが対話を行い、建設的な二国間関係を築いて行くことにより、必ず解決する問題です。
社会主義体制と資本主義体制という異なった社会・経済体制が激突していた、かつての冷戦時代と異なり、現在は、全ての主要国が市場経済を採用しています。そのため、たとえ利害の対立が生じても、妥協や取引を通じ、必ず話し合いで解決することが可能です。2020年代には、中国が世界一の経済大国となると予想されています。拡大する中国経済を取り込む、新しい経済秩序を構想・構築することが必要です。
そして、地球温暖化や気候変動への対策、あるいは、化石燃料エネルギーから再生可能エネルギーへの転換などの分野で、中国とアメリカは協力すべきです。中国とアメリカが協力することにより、人類は非常に大きな進歩を遂げるでしょう。逆に、中国とアメリカが対立すれば、それぞれの中央政府に権限が集中し、一部の者のみに、富が集中して行くでしょう。
政策的に冷戦構造を作り、中央政府に権力を集中し、防衛産業や石油・天然ガスで高い利益を上げるという時代は終わりました。これからは、地方分権の下、再生可能エネルギー産業や情報産業、医療産業、観光産業などが、高い収益と雇用を生む時代に入ります。
今後、仮に米中間の新冷戦が進めば、日本は、その最前線に立たされ、日本が戦場になるリスクが高まります。もしそうなったら、日本の内政外交の舵取りは非常に難しくなるでしょう。日本は、国民の支持の下、外交による安全保障の実現を最大限追求するとともに、米中間の話し合いと包括的な軍縮を提案すべきです。それこそが、日本の真の国益に適い、国民が求めていることだと思います。
岡田代表、そして、民進党におかれましては、国会の議論において、日本が外交優先の安全保障の実現を目指すよう主張していただけましたら、幸いと存じ上げます。経済政策に続き、安全保障政策においても、一部の企業や富裕層ではなく、国民全体の一般福利の実現を目指した政策を、一貫して、力強く、主張していただけますよう、お願い申し上げます。
引き続き、民進党主導による野党協力並びに政権交代を支持、応援させて下さい。