【軍事ケインズ主義 VS 平和主義・所得再分配】

今回の参議院選挙の争点は、安全保障と経済(格差是正)であると思います。そして、実は、このふたつは密接に関係していると思います。

アベノミクスは、金融政策と財政政策により、経済成長を促進させ、一部の富裕層および企業に富を集中させる経済政策でした。しかしながら、富が一部に集中し、格差が拡大すると、中間層の個人消費による経済成長が難しくなります。

そのため、一部の富裕層および企業・政府は、戦争を行って、無理にでも需要を創出しようということになります。戦争による有効需要の創出、いわゆる軍事ケインズ主義(Military Keynesianism)が始まります。それがアベノミクスの行き着く先です。安倍政権が安保法制を成立させ、集団的自衛権の行使を出来るようにしたのも、新自由主義から軍事ケインズ主義へ向かおうとするためです。それは、格差をいっそう拡大します。憲法を改正して、世界中で戦争が出来るようにすることが、その論理的帰結となります。

これに対し、民進党を始めとする野党は平和主義の立場に立ちます。そして、政府が公正な所得の再分配を行うことにより、分厚い中間層を維持・育成します。その結果、介護・医療産業や健康産業、省エネ・再エネ技術を活かしたエネルギー産業、観光産業など、平和産業を通じた持続的な経済成長が可能となり、ひとりひとりの国民の自由と福利が拡大します。

現在の日本国憲法は、9条で平和主義を唱え、25条で健康で文化的な国民生活を保障しています。まさに、民進党を始めとする野党が進める平和主義と所得の再分配を、法的に支える最高法規であると言えると思います。

今回の参議院選挙および次の衆議院選挙は、歴史的な選挙になると思います。軍事ケインズ主義に突き進むアベノミクスと、平和主義と所得の再分配の対決であると思います。そして、国民の良識は、平和主義と所得の再分配を選択すると思います。国民の幸せのために、野党は勝利する義務があります。