【ドナルド・トランプ氏とアメリカ保守派について】
アメリカ共和党の大統領候補にドナルド・トランプ氏が指名されることが確実となりました。放言を繰り返し、早々に予備選挙から撤退すると見られていたトランプ氏がここまで支持を伸ばした背景には、5月1日のブログ記事でもお伝えいたしましたように、メディアの好意的な扱いがあると思います。私は、4月下旬から5月下旬まで、アメリカに滞在する機会がありましたが、アメリカのメディアは、トランプ氏を好意的に扱い続けました。

当初、私は、アメリカのメディアがトランプ氏を頻繁に取り上げるのは、視聴率を上げるためと思っていました。しかしながら、トランプ氏が共和党指導部と話し合い、2位のクルーズ候補が撤退し、共和党の保守派重鎮からもトランプ氏に好意的な談話が発表されるという流れを見ると、トランプ氏は、アメリカの保守的な経済界、産業界と取引きし、本格的な支持を取り付けたと見ることが出来ると思います。
アメリカのメディアをコントロールしているのは、アメリカのビジネスです。最近のトランプ氏の発言をみると、フラッキング(水圧破砕による石油・ガス採掘)を賛美し、アメリカを縦断する重質石油パイプライン(KEYSTONE XL PIPELINE)の建設に賛成するなど、石油・ガス産業を擁護する姿勢が見られます。メディアが一貫してトランプ氏を頻繁に取り上げ、好意的に扱い続けたのも、トランプ氏の人気を見て、途中から、保守的な経済界、産業界が、メディアに働きかけた結果と思われます。

オバマ政権の下、民主党政権が8年間続きました。その間、アメリカ軍はイラクから撤退し、防衛予算も一貫して減少し続けています。この流れを変えるために、石油・ガス産業を始めとする、アメリカ保守派が本格的にトランプ氏を支持・応援し始めていると思われます。
もしそうだとすると、民主党大統領候補に指名されることが予想されるヒラリー・クリントン氏とトランプ氏との大統領選挙本選は、予想以上に接戦になるかも知れません。
すでに、アメリカ議会の上院も下院も共和党が多数を占めています。もし大統領選でも共和党候補が勝利すると、アメリカの内政・外交が、保守の方向に大きくブレることが予想されます。

現在のところ、アメリカの防衛産業は、ヒラリー・クリントン氏を支持する傾向にあります。ヒラリー・クリントン氏が国際問題への積極的な関与を主張しているのに対し、トランプ氏は、NATOや日本からのアメリカ軍の撤収をほのめかしているためです。しかしながら、もしトランプ氏が、オバマ大統領が導入した国民皆保険制度(オバマ・ケア)を廃止して、防衛予算を増やすと主張し始めれば、防衛産業もトランプ氏支持に変わるかも知れません。トランプ氏がNATOや日本からの撤収をほのめかしているのも、NATO諸国や日本により多くの負担金を拠出させるための取引材料と思われます。
アメリカは、急速に保守化しているのかも知れません。再生可能エネルギー産業を始めとする次世代の成長産業を伸ばすことよりも、今あるものを守ることに専念しているように感じられます。
参照資料:
(1) Trump taps climate change skeptic, fracking advocate as key energy advisor, Reuters, May 13th 2016
(2) Trump’s Energy Plan: Save Coal by Unleashing Fracking?, Scientific Anerican, May 27th 2016
(3) Donald Trump vows to green-light Keystone XL if elected, CBC News, May 26th 2016
アメリカ共和党の大統領候補にドナルド・トランプ氏が指名されることが確実となりました。放言を繰り返し、早々に予備選挙から撤退すると見られていたトランプ氏がここまで支持を伸ばした背景には、5月1日のブログ記事でもお伝えいたしましたように、メディアの好意的な扱いがあると思います。私は、4月下旬から5月下旬まで、アメリカに滞在する機会がありましたが、アメリカのメディアは、トランプ氏を好意的に扱い続けました。

当初、私は、アメリカのメディアがトランプ氏を頻繁に取り上げるのは、視聴率を上げるためと思っていました。しかしながら、トランプ氏が共和党指導部と話し合い、2位のクルーズ候補が撤退し、共和党の保守派重鎮からもトランプ氏に好意的な談話が発表されるという流れを見ると、トランプ氏は、アメリカの保守的な経済界、産業界と取引きし、本格的な支持を取り付けたと見ることが出来ると思います。
アメリカのメディアをコントロールしているのは、アメリカのビジネスです。最近のトランプ氏の発言をみると、フラッキング(水圧破砕による石油・ガス採掘)を賛美し、アメリカを縦断する重質石油パイプライン(KEYSTONE XL PIPELINE)の建設に賛成するなど、石油・ガス産業を擁護する姿勢が見られます。メディアが一貫してトランプ氏を頻繁に取り上げ、好意的に扱い続けたのも、トランプ氏の人気を見て、途中から、保守的な経済界、産業界が、メディアに働きかけた結果と思われます。

オバマ政権の下、民主党政権が8年間続きました。その間、アメリカ軍はイラクから撤退し、防衛予算も一貫して減少し続けています。この流れを変えるために、石油・ガス産業を始めとする、アメリカ保守派が本格的にトランプ氏を支持・応援し始めていると思われます。
もしそうだとすると、民主党大統領候補に指名されることが予想されるヒラリー・クリントン氏とトランプ氏との大統領選挙本選は、予想以上に接戦になるかも知れません。
すでに、アメリカ議会の上院も下院も共和党が多数を占めています。もし大統領選でも共和党候補が勝利すると、アメリカの内政・外交が、保守の方向に大きくブレることが予想されます。

現在のところ、アメリカの防衛産業は、ヒラリー・クリントン氏を支持する傾向にあります。ヒラリー・クリントン氏が国際問題への積極的な関与を主張しているのに対し、トランプ氏は、NATOや日本からのアメリカ軍の撤収をほのめかしているためです。しかしながら、もしトランプ氏が、オバマ大統領が導入した国民皆保険制度(オバマ・ケア)を廃止して、防衛予算を増やすと主張し始めれば、防衛産業もトランプ氏支持に変わるかも知れません。トランプ氏がNATOや日本からの撤収をほのめかしているのも、NATO諸国や日本により多くの負担金を拠出させるための取引材料と思われます。
アメリカは、急速に保守化しているのかも知れません。再生可能エネルギー産業を始めとする次世代の成長産業を伸ばすことよりも、今あるものを守ることに専念しているように感じられます。
参照資料:
(1) Trump taps climate change skeptic, fracking advocate as key energy advisor, Reuters, May 13th 2016
(2) Trump’s Energy Plan: Save Coal by Unleashing Fracking?, Scientific Anerican, May 27th 2016
(3) Donald Trump vows to green-light Keystone XL if elected, CBC News, May 26th 2016