民進党の岡田克也代表が、5月26日付のSankeiBizに、民進党の成長戦略について、寄稿されました。同寄稿文は、その包括性、的確性、先進性、民主的性格において、まさに日本の成長戦略の決定版とも言うべき、たいへんに素晴らしい内容なので、全文ご紹介させて下さい。

ちなみに、アベノミクスでは、金融・財政政策に頼るのみで、結局、第3の矢と称する成長戦略は不発に終わりました。

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【2016参院選 経済政策を問う!】民進党・岡田克也代表
SankeiBiz 2016.5.26 05:00

 ■財政・金融政策に依存せず生産性向上で成長を

 民進党は国民一人一人が幸せな生活を送ることが政治の目的であり、そのための手段として、持続的な経済成長は非常に重要だと考えている。その実現に向けては「成長と分配の両立」が不可欠だと考える。今回はこのうち「成長」について説明する。

 安倍晋三政権は「3本目の矢」として「民間投資を喚起する成長戦略」を掲げるが、これは民進党の基本的なコンセプトと一致する。ただし、派遣労働の拡大など具体的な政策では考えを異にするところも多い。実は、政府として「成長戦略」を策定したのは旧民主党政権が初めてだった。それまでの政権には公共事業の追加、現金給付など一時的な需要を追加する「景気対策」はあったが、中長期的な視点から総合的・体系的な成長戦略を定めたことはなかった。

 民主党政権が定めた「新成長戦略」では、省エネ・再エネ技術を生かしたエネルギー産業、高齢化による需要拡大が想定できる医療・介護などの健康関連産業、そして観光産業を明確に「成長産業」と位置づけた。昨今、外国人観光客、とりわけ中国人観光客の「爆買い」が話題になっているが、これも「新成長戦略」で「中国人のビザ取得要件緩和」「オープンスカイ(航空運賃や路線設定の原則自由化)」を定めたことがきっかけとなっている。

 民主党政権の「新成長戦略」の方向性は正しかったと考えているが、さらにこれをバージョンアップしていく必要がある。本格的な人口減少時代を迎える中で、持続的な経済成長を実現するためには生産性の向上が不可欠だ。さまざまな機器がインターネットにつながるIoT、ビッグデータなどを活用した効率化・高付加価値化、規制改革による民間企業の活動範囲の拡大、サービス残業や長時間労働の解消などを進めていく。また、民進党が目指す「2030年代原発稼働ゼロ」の実現に向けた省エネ・再エネ技術の進展は、海外需要の取り込みも含め、関連産業の飛躍的な成長に繋がると考えられる。

 さらに経済政策の考え方を転換する必要があると考えている。一昨年、経済協力開発機構(OECD)は「格差拡大は経済成長を抑制する」というリポートを公表し、また昨年は仏経済学者のピケティ氏が格差拡大に警鐘を鳴らした。民進党は、かねてから格差是正が持続的な経済成長に資すると主張してきた。過度に金融政策や財政政策に依存することなく、生産性向上による成長と「人への投資」を中心とする公正な分配を両立させることが、今後の持続的成長を実現するための経済政策だと考えている。

 次回は、格差を是正し持続的な経済成長につながる「分配」について説明をさせていただく。

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 27日は共産党を掲載します。民進党の2回目は6月9日掲載予定です。

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【プロフィル】岡田克也

 おかだ・かつや 民進党代表。外相、副総理、民主党代表、幹事長、政調会長などを歴任。東大法学部を卒業後、旧通産省入省。1990年2月の衆院選で自民党から初当選。新生党、新進党などを経て98年の民主党結党に参加。当選9回。62歳。三重県生まれ。


参照資料:
【2016参院選 経済政策を問う!】民進党・岡田克也代表、SankeiBiz、2016年5月26日