【熊本地震、衆参ダブル選挙、台湾新総統就任について】

4月14日以降、熊本地域において地震活動が続いています。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族への心からのお悔やみと、被災者のみなさまへのお見舞いを申し上げます。

報道によりますと、政府・与党は、今回の地震の影響を考慮し、消費税引き上げ時期延期の検討に入ったと伝えられています。

さらに、与党内から、震災の影響が残る間は、衆議院選挙をすべきではないとの声が出ているということが伝えられました。

しかしながら、与党内から衆参ダブル選挙をすべきではないとの声が出ているというのは、政府・与党側の陽動・撹乱作戦である可能性が高いと思われます。野党に油断させ、気を緩ませておいて、一気に衆参ダブル選挙を行うという可能性は高いと思われます。

というのも、客観的状況としては、今後、景気の後退が予想されるからです。円高になり、輸出企業の利益が頭打ちになる傾向にあります。また、熊本地震の影響で、九州地方を中心に生産・流通に支障が生じています。さらに災害報道の影響で、消費が冷え込むことも予想されます。今後、景気の後退が続けば、それとともに安倍内閣への支持率も急速に低下するでしょう。

であるとすれば、安倍首相にしてみれば、出来るだけ早い時期に衆議院を解散し、総選挙を実施したいと考えるのが自然であると思います。衆参ダブル選挙の可能性は高いと思います。

ちなみに、5月20日に、蔡英文・台湾新総統が就任します。独立派の蔡英文新総統が、就任演説で、どこまで台湾独立に関し、踏み込んだ発言を行うかが注目されますが、これにともない、5月20日へ向け、今後、徐々に台中関係が緊迫の度合いを強めて行くことが予想されます。

今後、中国と台湾の間で、台湾独立をめぐり、激しい言葉の応酬があったり、場合によっては、中国が、台湾を威嚇するため、台湾海峡付近で軍事演習の準備に取りかかるかも知れません。安倍首相は、台中関係の緊迫を、安保法制と集団的自衛権の正当化のために利用しようとするでしょう。

このため、次の党首討論において、野党側は、安倍首相に対し、「集団的自衛権を認めると、台湾が独立への歩みを進め、台中間で軍事的紛争が起こった場合、日本は攻撃されていないのに、中国を攻撃することになるのではないか?。そして、日本本土が中国の反撃を受けることになるのではないか?。それで本当に日本の安全が守れるのか?。」という質問を行い、説明を求めて行くことが大切と思われます。それによって、安倍首相が、台中関係の緊迫を、安保法制と集団的自衛権の正当化に利用しようとする試みを阻止することが可能となります。