【安保法案に反対する地方議会決議の拡大について】

安倍政権が成立を目指している、憲法違反の安保法案に対し、これに反対する動きが、地方政府・地方議会に拡大しています。

都道府県や市区町村の議会は「公益に関する意見書を国会に提出することができる」と法律で定められていて、地方の民意を国政に反映させる手段として活用されています(地方自治法99条)。

報道によると、去年7月の閣議決定以降、先週までに、全国の地方議会のおよそ14%に当たる246の議会から安保法制に関する意見書が提出され、国会に受理されているそうです。

さらに、それぞれの議会の意見書の内容を調べたところ、賛成の立場が3つの議会、反対の立場が181の議会、慎重な審議を求めるものが53の議会などとなっているそうです。

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以下、反対の意見書および慎重な審議を求める意見書のうち、インターネットで参照可能なものをご紹介させて下さい。

三重県議会が意見書「安保関連法案の強行容認できぬ」、2015年6月16日、朝日新聞

三重県議会・安全保障法制の慎重な審議を求める意見書、2015年6月16日

愛知県豊明市議会・国民的合意のないままに安全保障法制の見直しを行わないよう求める意見書、2015年5月15日

埼玉県比企郡滑川町議会・国際平和支援法、安全保障法整備に反対する意見書、2015年6月4日

神奈川県足柄上郡中井町議会・安全保障法制関連法案の今国会での成立急がず、慎重審議を求める意見書、2015年6月11日

埼玉県比企郡鳩山町議会・安全保障法制関連法案について十分な審議を尽くすことを求める意見書、2015年6月17日

大宜味村議会、国に9条厳守要求 決議を全会一致で可決、2015年6月10日、琉球新報

なお、地方政府の首長からも安保法案に反対する声があげられています。

集団的自衛権 川勝知事「違憲」、2015年6月4日、2015年6月21日、静岡新聞

中央政府・地方政府を問わず、全ての政府の権限は、ひとりひとりの国民に由来します。国民が自らの権限の一部を地方政府に委ねることで地方政府が成立し、さらに地方政府がその権限の一部を中央政府に委ねることで中央政府が成立します。

一般的に、国民は、中央政府に安全保障の問題を担当させています。しかしながら、中央政府が国民や地方政府の権利と自由を無視し、暴走するときは、国民および地方政府は、その固有の権限を行使し、中央政府の暴走を押しとどめることが必要となります。

今後、国会審議が進むにつれ、安保法案に対し、その撤回を求める決議が、さらに多くの地方政府・地方議会に拡大して行くものと思われます。

地方政府・地方議会で安保法案反対の動きが拡がることは、非常に大きな効果があります。国会議員は、地元選挙区の有権者の声にきわめて敏感だからです。

地元選挙区で反対が拡がり、地元で突き上げをくらえば、与党の中からも、安保法案先延ばし・安保法案撤回の声が出てくるでしょう。


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。