【野党が国民のみなさんに選択肢を示す必要性について】
小選挙区制では、その性質上、選挙ごとに各党の議席数が大きく振れます。このため、次の総選挙で、与党が大きく議席数を減らす可能性もあると思います。野党が、有効な対立軸を立てることが出来るか、国民のみなさんに選択肢を示せるかどうか、にかかっていると思います。
以下、各争点ごとに、対立軸・選択肢を検討させて下さい。
1. 安全保障・憲法
安倍首相は、来年の通常国会で、集団的自衛権関連法案を説明出来ない状態だと思います。安倍首相は、靖国神社参拝、河野談話検証、秘密保護法制定、などに表れているように、あまりにも民族主義的・非民主主義的であるため、国民の不安を招き、日韓関係も破綻し、アメリカは、アジアにおける安全保障政策の絵が描けない状態です。このため、仮に与党が総選挙で議席数を大きく減らした場合、一部野党を取り込むと同時に、安倍首相から石破茂氏へ総理が交代する事態もあるかも知れません。その上で、集団的自衛権関連法案の制定、憲法改正を進めるかも知れません。ただ、いずれにせよ、石破氏でも、説明は破綻すると思います。石破氏は、安倍首相の個別的集団的自衛権をさらに進めた、一般的集団的自衛権論者だからです。
ちなみに、11月4日のアメリカ中間選挙では、共和党が上下両院で多数を占めましたが、これに先立つ9月、CHENEY元副大統領が共和党議員の集会に出席し、共和党内に拡がりつつある孤立主義に釘を刺し、軍事力の強化とイスラム国掃討に言及したそうです。日本に対し自衛隊派遣の要請が来るかも知れません。
このような状況の下、野党は、現在のように、ただ受動的に与党に反対するというだけでは不十分だと思います。国民にアピールする代替案が必要です。国民のみなさんは、自ら安全保障政策を判断し、決定したいと思っています。そのため、国民のみなさんの声がより安全保障政策に反映されるよう、現行憲法をより民主化するという能動的な対抗軸を立てるべきだと思います。
ちなみに、現行憲法の条文を、9条も含め、全て維持しつつ、情報開示など、新たに民主的な文民統制の規定を加えるという憲法改正試案を作成いたしましたので、ご参照いただけましたら幸いです。今夏、ハーバード大学の教授・講師のみなさんの指導の下、作成した論文の文末資料として添付したものです。下記URLで、ご参照いただけます。
オリジナルの英語版の論文は、こちらでご参照いただけます。
論文の日本語訳は、こちらでご参照いただけます。
2. 外交
APECにおける日中首脳会談前に発表された、日中合意文書は、典型的な官僚作文であり、日中それぞれが自国に都合良く解釈し、国内向けに説明するための、表面的な、単なるつじつま合わせにしか過ぎませんでした。尖閣問題も、靖国参拝問題も、日中間の問題は全く解決していません。
大切なことは、政治が大局を見て、大きな決断をすることだと思います。2、3年先のことを考えるのでなく、20年先、50年先の世界を見透すことが必要だと思います。
20年先、50年先には、中国とアメリカがスーパーパワーとなっていることが予想されます。同時に、情報化の進展と分散型エネルギーの普及を通じ、各国中央政府の権力が弱まり、地方政府の力が強まっていることが予想されます。日本の高齢社会化・人口減少も一層進んでいるでしょう。
そのような状況を前提とした場合、日本の外交方針は、その時その時で、中国寄りになったり、アメリカ寄りになったりするのではなく、「米中が21世紀の建設的・協力的な二国間関係を形成・維持するにあたり、これを一貫して側面から支援する」ということに重点を置くべきだと思います。
これを実現するためには、アメリカの国益、中国の国益を、細部に至るまで、正確に理解する必要があります。そして、その理解に基づき、日本から、双方の国益が充たされる建設的な提案を行ない、日本の出来る範囲でひとつひとつ着実に実行して行くことが必要だと思います。
日本が行なう提案の中には、北朝鮮の国際社会への参加や朝鮮半島の統一、アジアの安全保障実現へ向けての米中の軍事的・外交的協力、北東アジア非核兵器地帯の実現、地球温暖化対策における技術的支援、再生可能エネルギー普及へ向けてのAPECや発展途上国における米中日の協力推進、よりオープンで民主主義的な統治の実現、等々が含まれると思います。
3. エネルギー政策
野党は、これまで通り、脱原発を主張すべきだと思います。また、石油・天然ガスは、価格の振れが非常に激しいです。シェールオイル・シェールガスの供給過剰により、現在、一時的に価格は低迷していますが、多数の業者が淘汰されたのち、価格高騰の時代が来ることが予想されます。
このような状況の下、野党は、再生可能エネルギーの普及を加速させるため、再生可能エネルギー法を改正し、電力会社に、再生可能エネルギー電力の優先的買い入れ、および、電力系統の拡充を義務付けるべきだと思います。先に九州電力等が実施した、再生可能エネルギープロジェクトに対する系統接続保留は、逆にスマートグリッドを実用化する、ビジネスチャンスだと思います。各電機メーカーが、スマートグリッド技術を蓄積することで、発展途上国へのインフラ輸出にもつながります。
4. 消費税増税
5%から8%への消費税増税が景気に与えた影響は深刻でした。10%への消費税増税の決定の前に、徹底した行政改革および議員定数削減を実施すべきだと思います。
参照資料:
(1) "Cheney Urges House G.O.P. to Abandon Isolationism", September 9th 2014, The New York Times
(2)「関東地方知事会、再生エネ普及で要望へ インフラ整備など」日本経済新聞、2014年10月23日
(3)「『空押さえ』解消を 県が再生エネ買い取り中断で緊急提言へ」福島民報、2014年10月28日
註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
小選挙区制では、その性質上、選挙ごとに各党の議席数が大きく振れます。このため、次の総選挙で、与党が大きく議席数を減らす可能性もあると思います。野党が、有効な対立軸を立てることが出来るか、国民のみなさんに選択肢を示せるかどうか、にかかっていると思います。
以下、各争点ごとに、対立軸・選択肢を検討させて下さい。
1. 安全保障・憲法
安倍首相は、来年の通常国会で、集団的自衛権関連法案を説明出来ない状態だと思います。安倍首相は、靖国神社参拝、河野談話検証、秘密保護法制定、などに表れているように、あまりにも民族主義的・非民主主義的であるため、国民の不安を招き、日韓関係も破綻し、アメリカは、アジアにおける安全保障政策の絵が描けない状態です。このため、仮に与党が総選挙で議席数を大きく減らした場合、一部野党を取り込むと同時に、安倍首相から石破茂氏へ総理が交代する事態もあるかも知れません。その上で、集団的自衛権関連法案の制定、憲法改正を進めるかも知れません。ただ、いずれにせよ、石破氏でも、説明は破綻すると思います。石破氏は、安倍首相の個別的集団的自衛権をさらに進めた、一般的集団的自衛権論者だからです。
ちなみに、11月4日のアメリカ中間選挙では、共和党が上下両院で多数を占めましたが、これに先立つ9月、CHENEY元副大統領が共和党議員の集会に出席し、共和党内に拡がりつつある孤立主義に釘を刺し、軍事力の強化とイスラム国掃討に言及したそうです。日本に対し自衛隊派遣の要請が来るかも知れません。
このような状況の下、野党は、現在のように、ただ受動的に与党に反対するというだけでは不十分だと思います。国民にアピールする代替案が必要です。国民のみなさんは、自ら安全保障政策を判断し、決定したいと思っています。そのため、国民のみなさんの声がより安全保障政策に反映されるよう、現行憲法をより民主化するという能動的な対抗軸を立てるべきだと思います。
ちなみに、現行憲法の条文を、9条も含め、全て維持しつつ、情報開示など、新たに民主的な文民統制の規定を加えるという憲法改正試案を作成いたしましたので、ご参照いただけましたら幸いです。今夏、ハーバード大学の教授・講師のみなさんの指導の下、作成した論文の文末資料として添付したものです。下記URLで、ご参照いただけます。
オリジナルの英語版の論文は、こちらでご参照いただけます。
論文の日本語訳は、こちらでご参照いただけます。
2. 外交
APECにおける日中首脳会談前に発表された、日中合意文書は、典型的な官僚作文であり、日中それぞれが自国に都合良く解釈し、国内向けに説明するための、表面的な、単なるつじつま合わせにしか過ぎませんでした。尖閣問題も、靖国参拝問題も、日中間の問題は全く解決していません。
大切なことは、政治が大局を見て、大きな決断をすることだと思います。2、3年先のことを考えるのでなく、20年先、50年先の世界を見透すことが必要だと思います。
20年先、50年先には、中国とアメリカがスーパーパワーとなっていることが予想されます。同時に、情報化の進展と分散型エネルギーの普及を通じ、各国中央政府の権力が弱まり、地方政府の力が強まっていることが予想されます。日本の高齢社会化・人口減少も一層進んでいるでしょう。
そのような状況を前提とした場合、日本の外交方針は、その時その時で、中国寄りになったり、アメリカ寄りになったりするのではなく、「米中が21世紀の建設的・協力的な二国間関係を形成・維持するにあたり、これを一貫して側面から支援する」ということに重点を置くべきだと思います。
これを実現するためには、アメリカの国益、中国の国益を、細部に至るまで、正確に理解する必要があります。そして、その理解に基づき、日本から、双方の国益が充たされる建設的な提案を行ない、日本の出来る範囲でひとつひとつ着実に実行して行くことが必要だと思います。
日本が行なう提案の中には、北朝鮮の国際社会への参加や朝鮮半島の統一、アジアの安全保障実現へ向けての米中の軍事的・外交的協力、北東アジア非核兵器地帯の実現、地球温暖化対策における技術的支援、再生可能エネルギー普及へ向けてのAPECや発展途上国における米中日の協力推進、よりオープンで民主主義的な統治の実現、等々が含まれると思います。
3. エネルギー政策
野党は、これまで通り、脱原発を主張すべきだと思います。また、石油・天然ガスは、価格の振れが非常に激しいです。シェールオイル・シェールガスの供給過剰により、現在、一時的に価格は低迷していますが、多数の業者が淘汰されたのち、価格高騰の時代が来ることが予想されます。
このような状況の下、野党は、再生可能エネルギーの普及を加速させるため、再生可能エネルギー法を改正し、電力会社に、再生可能エネルギー電力の優先的買い入れ、および、電力系統の拡充を義務付けるべきだと思います。先に九州電力等が実施した、再生可能エネルギープロジェクトに対する系統接続保留は、逆にスマートグリッドを実用化する、ビジネスチャンスだと思います。各電機メーカーが、スマートグリッド技術を蓄積することで、発展途上国へのインフラ輸出にもつながります。
4. 消費税増税
5%から8%への消費税増税が景気に与えた影響は深刻でした。10%への消費税増税の決定の前に、徹底した行政改革および議員定数削減を実施すべきだと思います。
参照資料:
(1) "Cheney Urges House G.O.P. to Abandon Isolationism", September 9th 2014, The New York Times
(2)「関東地方知事会、再生エネ普及で要望へ インフラ整備など」日本経済新聞、2014年10月23日
(3)「『空押さえ』解消を 県が再生エネ買い取り中断で緊急提言へ」福島民報、2014年10月28日
註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。