【外交を優先した国家安全保障政策の推進と民主的文民統制の確立の重要性について】

1. 集団的自衛権に関する首相記者会見や集中審議、党首討論を通じ、現行法制の下でも、民族主義的な政権が、その気になれば、いかに情報を開示せず、いかに他党の声に配慮せず、いかに国民の意思を無視して、防衛政策を押し進めることが出来るか、ということが示されました。国民の過半数のみなさんは、現政権の、非民主主義的で、拙速な防衛政策の進め方に、非常に不安を感じていると思います。

そのため、その国民のみなさんの需要に応えるために、野党は、集団的自衛権を含む国家安全保障政策について、まず、しっかり時間をかけて国会で議論すること、そして、公正な議論が出来る土俵・環境を整えるということを、主張すべきだと思います。政府に、国民への説明と情報開示を義務付ける必要があります。

現在のような不十分な情報開示の下では、たとえいかに、文言上、限定的に集団的自衛権の要件を定めても、規範力がきわめて弱いと思います。その後の運用が、恣意的に行なわれる危険性がきわめて高いと思います。

2. そして、野党は、国民のみなさんに「選択肢」を与えるという役割を果たすことが必要だと思います。

民主主義が成熟したアメリカにおいては、国民および産業界が、ふたつの政党を使い分けることによって、国益の実現をしています。共和党のレーガン・ブッシュ政権で、強いアメリカを実現したあと、民主党のクリントン政権で、IT産業に代表される経済的繁栄を実現しました。次の共和党のブッシュ政権は、テロとの戦いを推進し、民主党のオバマ政権は、イラクからの撤退と国民皆保険(OBAMACARE)を実現しました。

現在の日本の与党政権は、経済再生・景気回復を求める国民の声に応えて成立した政権だと思います。しかしながら、現在、与党政権は、海外での武力行使を可能とする集団的自衛権の容認を推進しています。

このため、野党は、(1)経済再生の果実が広範な国民に及ぶようにすること、そして、(2)外交を優先した国家安全保障政策の推進および民主的文民統制の確立、を主張の柱にすべきだと思います。

3. 私は、現在、各野党内で行なわれている、集団的自衛権に関する党の見解をまとめる議論が、単に集団的自衛権の限定的容認を認めるか否かという狭い議論にとどまるのでなく、外交を優先した国家安全保障政策の推進と民主的文民統制の確立という、より高い次元へと昇華することを期待しています。

そうすることで、野党は、与党政権を、政策的にも、理念的にも凌駕する、より高い立ち位置を獲得します。それは、今後の野党連携の過程において、野党が、与党に対する、政策的主導権を発揮することにもつながります。


参照資料:

(1)「民主党:集団的自衛権で調査会 政府への見解まとめる方針」、毎日新聞、2014年06月17日

(2)「集団自衛権に賛否=民主合同総会」、時事通信、2014年06月17日

以上


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。