煮え切らない、そのワケ。 | ★ON→バリバリやってるデキル女風☆OFF→ホントは疲れ切ってる負け犬女★

煮え切らない、そのワケ。

手紙みり、今日はありがとね。

  かなりゆっくり過ごせたよ。

  明日も頑張ろうね。


彼が帰り道の電車の中からメールをしてきた。

別れ際、不機嫌だった私のことが気がかりだったに違いない。

でも、私のその不機嫌な理由に敢えて触れようとしない、

彼のその反応が気に入らなかった。


ラブレターわたしのこと、めんどくさい女だって思ってるんでしょ。


手紙そんな風に思ってないよ。

  たまに考えてることがわからない時もあるけどさ。


ラブレター多分、お互いそうだよね。

  何考えてるのか、わからない時がある。

  何のために私といるのかわからないよ。


手紙頼りになるし、落ち着けるからかな。

  癒されるっていうかね。


ラブレターそんな都合のいい理由、女には通用しないわ。


手紙そうかもしれないね。

  甘えすぎかもな。ごめん。


ラブレターそういうところが「計算高い」って思うところよ。




終わりを覚悟した。

今日一日は楽しく一緒に過ごしたのに。

これ以上、曖昧な関係で一緒にいると

余計苦しくなると思ったから。

これで彼が離れていっちゃったらしょうがない。

ハッキリさせない関係は建設的じゃない。


翌朝、彼からメールが来た。



件名:みりへ


色々悩ませてごめん。

みりには正直に話さないといけないね。

実は俺には借金が200万近くあるんだ。

今必死に返済してる。

呆れるだろ。

それを返済し終えるまでは誰とも付き合えない。

というか、借金男なんてイヤだろ。

黙っててごめんな。



頭を後ろから殴られたような気がした。

雲の上から突き落とされたような気分だった。

一瞬、その意味がわからなかった。

半年以上も一緒にいて、そんなことは微塵も感じなかった。

気付かなかった?

多分、彼が気付かせなかったんだと思う。


会うときはほとんど外食で、

深夜のタクシーはガンガン乗っちゃうし、

お互い、だいたい交代で出すから総じて半分ずつだけど

私と時間を過ごすのはお金がかかる。

それにクリスマスにはプレゼントも・・・

「高かったんだから!」とくれたネックレス。


全然気付かなかった。

10万や20万ならまだしも、200万なんて。

眩暈がした。


ギャンブル?

実はバツイチ子持ちで養育費とか?

慰謝料?


そうではない、と彼は言った。

つもりにつもったものだと。


朝から彼のカミングアウトで、

私はどう反応したらいいのかわからなかった。


ラブレター何を考えながら私といたの?


手紙何も考えてないよ。

  単純に頼りになるし。

  何より一緒にいて落ち着けるから。

  それだけ。


ラブレターよくわからないよ。

  黙ってたのは誰のため?

  自分のため?


手紙わかんない。

  自分自身かな。

  みりに変な心配させたくなかった。

  情けないじゃん、俺。

  みり見てると刺激されるんだ。

  このまま今の仕事続けても返済はできるけど

  先が見えてるし。

  転職考えてはいたけど動かなかった。

  でも少しだけ働くキッカケもらえた。

  それはみりに刺激されたからだと思う。


彼が私を見て動く気になった。

それは私が彼を見ていてもわかったし

私も嬉しいと思っていた。

私に心配させたくなかった、というのも。


ラブレター今まで黙っていたのは、少なくとも私と一緒にいたかったから?

  私の反応が怖かった?


手紙そう、一緒にいたかったからだと思う。

  話したことで誤解されたくなかったから。

  ある意味怖かった。


ラブレターだから俺から離れたほうがいいよ、とか、言わないの?

  これからも私と一緒にいたいと思うの?


手紙別に終わりにしたいから話したわけじゃない。

  みりが離れたいなら仕方ないけどさ。

 

彼の気持ちはよくわかった。

ガシガシやってる私を見て、

余計自分が情けないと思ったに違いない。


私は微妙に複雑な気分だった。

けど、彼のことを励ますしかできなかった。


ラブレター私にできることなら何でもするよ。

  だから死ぬ気でやりなさいよ。

  転職活動もちゃんとするのよ。

  話してくれてありがとう。


それが精一杯で。


でも、ひとつ安心したのは

彼が別に遊びだったわけじゃなくて。

私に核心をついたことも言わなかったのも

特定の人を作る気にならないと言ったのも

そのせいだったんだって。

その事実を聞いた瞬間から、

彼はものすごく私を好きでいてくれてるんじゃないかと。

そんな気分に包まれた。


でも、やっぱりキモチは多少微妙で。

私は傍にいるよ、と言ったものの

彼へのキモチが少し萎えてしまったのも事実。


もう、お金にルーズなだめんずはこりごり。

そう思ってたから。

まさか彼までそんな男だとは思いたくなかった。


けど。


受け入れるまでに少し時間がかかる。

私は彼とのメールのやり取りが

ほんの少し億劫になってしまった。