デートレポート vol.5 | ★ON→バリバリやってるデキル女風☆OFF→ホントは疲れ切ってる負け犬女★

デートレポート vol.5

つづき。


再び渋谷の街の人ごみに紛れた2時間後。


「何食うかー?」


彼は前を向いたまま私に尋ねた。


「あ、お好み焼き、食うかー?」


私が昼間に「お好み焼き食べたい!」って言ってたから。


「うん」


彼の左手を、私は両手で握り締めて、

できるだけ彼に寄り添って歩いた。

夜の風が肌に冷たい。

でも、心はすこし、暖かかった。


とにかく彼は私の手を引いて

ぐんぐん人混みの中を歩いていく。

そのリードされる感じは、私にとっては初めてに近いことで。。。


駅近くの店に入って、窓際の席に座った。

再び向かい合って座るとハズカシイ。。。


さっきまでのことを思い出して

ひとりでドキドキしてしまっていた。


相変わらず涼しい顔でタバコを吸う彼。

その長い睫も細い指も

とにかく愛しくて仕方なかった。


全然気取ることもなくて

カッコつけるでもなくて

私のこと

どう思ってるかなんか

まったくわかんなくて。


くそぉー。

読めない。

まったく読めない。

彼の心が。

意図するところが。。。


ふたりでキャッキャいいながら

お好み焼きを焼いて食べて、

好きな食べ物の話とか、

休みの日に家で何してるとか、

彼は映画好きで、一週間に何本もDVD借りて見てるとか、

そんな話をして

楽しい時間はあっという間に過ぎた。


「そろそろ行くか?」


ちらっと時計に目をやって彼が言った。

もう10時。


「俺明日6時起きだぜー」


一日しかない休日、しかもこの日も早朝から用事をこなし、

明日も早いのに、私に時間を使ってくれたことは嬉しかった。


「お前、何時起き?」


彼の問いに、私は少し考えて答えた。


「・・・7時」


(ホントは8時だけど・・・)


「お前!俺に悪いと思って早めの時間言っただろ」


( ̄□ ̄;)!!


(バレてる・・・)


言葉に詰まった私を見て、

彼がケラケラ笑った。


もっと一緒にいたかった。

改札まで見送ってくれた彼の手を

私はなかなか離せずにいた。

何かを言いたくて、でも何も言えなくて。

ただ、彼の手を握ったまま、私は彼を見上げていた。

彼も、私の気持ちを察していたのだろうけど、

優しい言葉をかけてくれるでもなく、

ただ見つめ返すだけだった。


肝心なことは言ってくれない。

私が欲しい言葉もくれない。


「また連絡するよ」


とか


「また遊びに行こうな」


とか。


私たちの微妙なこの関係を

はっきりと浮き彫りにさせるようなことを、

私がほっとするようなことを、

彼は何一つ言ってはくれなかった。

敢えて、言わなかったのだと。


私は思った。


やっぱり、ずるい。


帰宅して、無事に帰ったことと、今日は楽しかった、

という内容のメールを送った。


でも、返事は来ない。


あの一日は夢だったのか。

そんな風にさえ思う。

返事をくれない。

もう、しばらく

私からメールをするのはやめておこう。


彼が私に会いたいと思ってくれなきゃ。

彼から会おうって言ってくれなきゃ。


だけど

たった一日だけでも

甘い夢を見れたことは

やっぱり幸せだったわけで。


彼から、連絡が、来ますように。