サンタフェの第一印象は 突き抜けている感がものすごい! 事です。天に繋がっているのとは違うんですが、頭から全身を掃除機のようなもので吸われて、今にも足が浮いているぐらい突き抜けている。
セドナの突き抜けている感は大地に足が引っ付いて離れないけど身体の上半身が持っていかれる感じ。
サンタフェのそれは地面に足が付いていなくて全身が浮きながら、それ以上に頭が持って行かれる感覚です…伝わってますか?
サンタフェは標高約7000Ft(≒2100m)にある都市なので、その標高の高さも少しは関係しているとは思うのですが、じゃあいつもツアーで宿泊するグランドキャニオンの宿泊施設やブライスキャニオンでそういう感覚があるかというとそれらとはまた違う感覚なんですね。
そこがサンタフェのとても好きなところです。山岳地帯のコロラドやユタのスキー場周辺ともまた違います。
なんといってもその標高であればグランドキャニオンやブライスキャニオンのようにポンデロッサパイン(マツ科の植物)で覆われた森の中にあるはずなのですが、ここサンタフェはその標高なのにセドナ以上に植生が無い。フェニックスか?ってぐらい植物は少ない。その標高なので森林限界を超えているから植物が無いのか?いいえ、そうではありません。サンタフェの北の方の山にはそのパイン達がひしめき合っています。
サンタフェの年間降雨量約15インチ(380㎜)、降雪量は26インチ(660㎜)、セドナの年間降雨量10インチ、年間降雪量26インチ、むしろセドナの方が降雨量は少ない…のにサンタフェの方が植物が少ない。セドナのように山間地帯ではなく、川の中州のような場所に平たく街が存在しているので植物が少なく感じます。
そんな地理条件を抑えて置いて、街を見て行きましょう。
ただ始めに断っておきますが、サンタフェもアルバカーキのようにオールドタウン以外はさして象徴的なものはありません。なので忙しく予定を詰め込んで観光する場所ではなく、じっくり、ゆっくりその地の指向性を身体に馴染ませるという何もしない贅沢を満喫する高原リゾート地なのだという点を申し上げておきます。
さて、先ずは地図をゲットしましょう。サンタフェに限らずアメリカの街は(アメリカに限らず世界共通でしょうが)宿泊したホテルに必ず街の観光案内図がありますから、それを現地でゲットします。
アメリカでよく見つけるのが下記のような「Discover Map」です。
※マップはダウンタウンです。
見る箇所はダウンタウン(オールドタウンもしくはヒストリックディストリクト)が主になり、ダウンタウン内のプラザエリアとレイルヤード(Rail Yard)エリアが主な場所です。各エリア内は散策で歩くことをおススメしますがエリア間は離れているので歩く事は得策ではありません。
レイルヤード(Rail Yard)は、アメリカ西部ではとても有名なサンタフェ鉄道の駅がかつてあった場所が今では広場(ヤード)として一般に開放しているものです。
サンタフェ鉄道はアメリカでも最も古い鉄道の一つでルート66と並行して走るためルート66として有名なセリグマン周辺を通る鉄道も昔はサンタフェ鉄道と呼ばれていました。セドナ近郊のフラッグスタッフを走る鉄道も同じものです。ただ今ではBNSF鉄道が運営しています。アメリカは実は鉄道はとても古い伝統を持っています。鉄道というとヨーロッパや日本のイメージですがニューヨークからロサンゼルスまで鉄道で行く事もできるほどです。個人的には車で走ってもらいたいアメリカですが、情報として鉄道の話もいつかお話ししますね。
レイルヤードはごく最近建物もリニューアルされお洒落な雰囲気に変わりつつある場所です。週に2回ファーマーズマーケットも開催されています。ロックダウン中ではありましたが運よくこれだけは見ることが出来ました。近隣の農家が宣伝を兼ねて店を出店するものです。
地元のハニーやリストラ(Ristra)、農産物が主です。リストラ(Ristra)は乾燥させたチリを千羽鶴のように繋げてぶら下げて置くもので、健康と幸運をもたらすお守りとしてニューメキシコやアリゾナで作られているものです。セドナのショップでも売っている場所があるので見られた方もいるかもしれませんね。メキシコ原産かと思っていましたが違うようですね。
※リストラ(Ristra)
また、ニューメキシコは実はピスタチオの産地としてとても有名なのでこういう場所で地元のピスタチオが手に入ります。
レイルヤードは古い文化と新しい息吹が融合しているクリエイティブな空間でとても気持ちの良い場所です。ぶらぶらと3時間ぐらいの散歩が出来る場所ですね。
レイルヤードからプラザエリアまでは車で10分は掛かりません。ただプラザ近くになると数本の道が一方通行(One-way)になるので道を憶えるまでは目的地に着くまでにグルグル回ることになるかもしれません。ただ、都会とは違ってエリアは狭いのですぐに道は憶えますからご心配なく。
プラザとロレッタ教会には必ず行くのでその近くのパブリック有料駐車場を探してパークするか、道路沿いのメータ式パーキングに車を停めます。メータ式は場所によりお金を払っても2時間以内の制限があるので要注意!
まずはプラザエリアの中心であるプラザに向かいます。プラザは文字通りプラザ=広場になっている場所です。メキシコに行くとダウンタウンは中心にプラザ(広場)があり、そこから放射状に街が広がっている場合が多く、ここにもメキシコの雰囲気がありますね。
プラザの北側に白い建物がありますが、それが1607年に建物されたPlace of Governorsでヌエボメヒコの首都がおかれた由縁になった建物です。改修はされていますが当時の建物がそのまま残されています。
※Place of Governors
現在ではその軒先にネイティブアメリカンの人々が市場を作っています。ネイティブアメリカンの凋落の原因となったその場所で子孫が商売をしているのは、時代の変化とはいえ複雑な気持ちです…まあ、そんな古いことを言いだしても何もなりません。数世代前の日本の方からみたら敵国のアメリカに移住なんて!って言ってるのと変わりませんよね。時代は進んでいるんです!
その場所、今回は誰もいませんでしたが2015年に訪れた時には11月の閑散期の平日にもかかわらず大勢の人がジュエリーやラグ、アパレルなどを売っていてかなり賑わいがありました。サンタフェはインディアンジュエリーの街としても有名ですし、実はセドナよりも価格はお手頃感があります。
プラザから東へ10分ほど歩いたところにサンタフェで最も有名なロレッタ教会があります。
ロレッタ教会は奇蹟の階段が有名です。
1878年にロレッタ教会の建設が完了した際6.8mの高さにある2階部分のロフトには狭い室内空間だったため階段が作れずに梯子が唯一の手段でした。ただ梯子は不安定だったため、あるシスターが大工の聖人であるSt,Josephに祈りを捧げたところ、9日目の最終日に、金槌と工具を持った男が大工の仕事を求め現れ、1か月後にとても美しい回廊階段を作り上げました。でも、作業が終了した後その大工は支払いもお礼も受け取らず忽然と消えてしまった為、教会は街中彼を探しましたが消息は一切不明、しかも彼が存在していた痕跡さえなくなっていたといわれています。さらに不思議なことはこの階段に支柱になるものが一切なく、しかも釘が一本も使われていないのだそうです。その大工はまさに聖人St.Josephだったのではと云われています。
※奇蹟の階段
ロレッタ教会は今ではサンタフェの中心的な存在でサンタフェウェディングと云えばロレッタというほどです。教会の隣にあるホテルLa Fonda on the Plazaはロレッタウェディングを主催するホテルでレストランやカフェもお洒落ですからロビーぐらいは除くことをおススメします。高いけど宿泊もイイのでは…
プラザエリアで買い物、食事で恐らく1日は過ごせます。僕は3日間居ても飽きないと思っています。
最後にサンタフェまで来たら、ぜひ立ち寄りたいのは Pecos National Historical Parkです。かなり大きなPueblo先住民が住んでいた遺跡があります。
遺跡に興味が無くても周囲の森も含め突き抜け感が味わえるとても気持ちの良い場所です。サンタフェから40分ほど車で南東に向かった場所になります。
サンタフェは本当に異質な場所です。カリフォルニアやニューヨークや東側のいわゆるアメリカという言葉から想像する者とは違います。でも、その文化が入るメキシコとも違う! コロラドデンバーに似ているが、そことも違う! 不思議な空間の気持ちよさがあります。
いつか是非訪れてください。







